第二章

夜が更けるにつれ、三上の視線は群衆をさまよったまま固定される。

音楽の振動に床が揺れ、群衆の体が押し合う。汗と匂い、叫び声と笑い声、靴の軋み、服の擦れる音——すべてが三上の意識に入り込み、圧迫感となって胸を締め付ける。

胸の奥の渇望は増し、冷たい感覚が体中に広がる。

彼女が群衆に溶けるたび、心の奥のざわめきは鋭さを増す。

子供の頃の孤独が甦る。

家の片隅、誰も触れず、話すことも許されず、ただ物陰から人を見つめる日々。

その孤独が、今、目の前の女性を通して現実化する。

「近づかなくても、心はすでにそこにあった。」

その感覚は異常で、安堵で、冷たく熱い。

胸の奥のざわめきは増幅し、視線は群衆に潜む影をなぞる。

誰が触れたのか、誰が笑ったのか、誰が先に彼女に触れたのか——すべてが気になって、視界の端まで捕らえずにはいられない。

赤と青の照明が瞬き、低音が床を振動させる。

群衆の影は揺れ、彼女の輪郭も揺らぐ。

その揺らぎに三上の心は奇妙な熱を帯び、冷たい渇望と執着が混ざり合う。

胸がざわつき、目の奥が熱くなる。

周囲の群衆の誰も、三上に気づかない。

だが、彼の視線だけは確かにそこにあり、影と光の間に存在していた。

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