第24章「新しい世界の設計図」


戦争の終結から一ヶ月後、王都で歴史的な会議が開かれた。


「大陸平和会議」


参加したのは、王国、ヴァルハイム帝国、そして南方の諸国。合計十二カ国の代表が集まった。


そして、特別顧問として、カイトとタケシが出席した。


会議の議題は、「技術の平和利用と戦争の防止」。


カイトが、まず提案した。


「『平和憲章』を制定します。この憲章では、以下のことを定めます」


カイトは、羊皮紙を読み上げた。


「第一条、全ての加盟国は、戦争を放棄する」


会議室が、どよめいた。


「戦争を放棄? そんなことが可能なのか?」


「可能です」


カイトは、断言した。


「ただし、自衛のための防衛力は保持します。ですが、侵略戦争は、全面的に禁止します」


「第二条、技術の軍事転用を制限する」


「具体的には、大量破壊兵器の開発・保有を禁止します。そして、兵器技術の開発は、国際機関の監視下に置きます」


「第三条、技術の国際共有を推進する」


「民生用技術は、加盟国間で共有します。これにより、全ての国が発展できます」


カイトの提案は、革新的だった。


だが、反対の声も上がった。


「そんな理想論が、通用するはずがない!」


「他国を信用できるのか?」


カイトは、冷静に答えた。


「信用は、築くものです。そして、それを支えるのが、技術です」


「技術?」


「はい。僕は、各国を結ぶ『魔導鉄道網』を提案します。全ての国が、鉄道で繋がれば、物流が活発化します。経済が一体化します」


カイトは、地図を広げた。


「そして、経済が一体化すれば、戦争をするメリットがなくなります。戦争をすれば、自国の経済も傷つきます」


その論理に、各国の代表は頷いた。


「さらに、『技術監視委員会』を設立します。この委員会は、各国の技術開発を監視し、兵器技術の拡散を防ぎます」


「だが、その委員会を誰が運営する?」


「各国から技術者を派遣し、国際的な組織として運営します。そして、委員長には――」


カイトは、タケシを見た。


「タケシさんにお願いしたいと思います」


会議室が、再びどよめいた。


「魔王を、委員長に?」


「はい。タケシさんは、技術が悪用される恐ろしさを、誰よりも知っています。だからこそ、適任です」


タケシは、静かに立ち上がった。


「私は、かつて技術で世界を傷つけました。その償いとして、技術が正しく使われるよう、監視する役目を引き受けます」


タケシの言葉には、決意があった。


会議は、三日間続いた。


激しい議論の末、最終的に「大陸平和憲章」が採択された。


全加盟国が、戦争の放棄、技術の平和利用、国際協力を誓った。


歴史的な瞬間だった。


憲章の調印式が、王都の大広間で行われた。


各国の代表が、次々と署名していく。


最後に、カイトも技術顧問として署名した。


拍手が鳴り響いた。


エリシアが、カイトに近づいた。


「カイト、あなたは本当に素晴らしいことを成し遂げました」


「いいえ、みんなの協力があったからです」


カイトは、謙遜した。


エリシアは、微笑んだ。


「カイト、私からお願いがあります」


「何でしょうか?」


エリシアは、少し頬を染めた。


「私と……結婚していただけませんか?」


カイトは、驚いた。


「え……?」


「あなたは、この世界を変えました。そして、私の心も変えました。ずっと、あなたと共にいたいと思っていました」


エリシアの目には、真剣な光があった。


カイトは、しばらく言葉を失っていた。


そして、ゆっくりと微笑んだ。


「はい。僕も、ずっとエリシア様と共にいたいと思っていました」


カイトは、エリシアの手を取った。


「これからも、一緒に、新しい世界を作りましょう」


「はい」


二人は、抱き合った。


周囲から、祝福の拍手が起こった。

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