第3話 Fランクからの飛躍
朝日が町を染める中、ダリルはギルドの前に立っていた。
今日は初めてのランク昇格クエストの予備調査だ。
Fランクの冒険者が挑むには、少し無謀かもしれない。
しかし、少年の胸には自信と決意が満ちていた。
ギルドのカウンターには、受付の女性が書類を手に待っている。
「ダリル君、今日の依頼は少し危険かもしれません」
「わかっています。でも、挑戦したいです」
少年はうなずき、手続きを済ませた。
依頼の内容は、森の奥深くに出現した中型モンスターの討伐。
報酬はFランクにしては破格だが、危険度は高い。
だが、ダリルにとっては格好の練習場でもあった。
荷物持ちの枠を超える力を示すチャンスだ。
森に入ると、昨日よりも緊張感が漂う。
鳥の鳴き声は少なく、風が木々をざわめかせる。
視界の奥から、敵の影が忍び寄ってくる。
「……来たな」
少年は荷物を背中で揺らし、投擲の姿勢を取る。
中型のスライムが地面から姿を現した。
厚い表皮で普通の攻撃は通じない相手だ。
だが、ダリルの投擲は必中。威力は倍加し、
クリティカルも発生する規格外の能力を持っていた。
「まずは距離を測る……」
手にした石を軽く握り、正確に投げる。
石はスライムの弱点を狙い、深く刺さった。
敵は泡立ち、体を揺らす。だが、まだ倒れない。
「なるほど……一撃では足りないか」
少年は冷静に次の手を考える。
荷物から取り出したのは、小型の鉄球だ。
重さで威力を上げ、スライムの硬い表皮を破壊する作戦だ。
鉄球を投げると、スライムは泡立ち、地面に崩れ落ちた。
「よし……倒せた」
ダリルは胸をなでおろし、森の奥へ進む。
しかし、ここからが本当の試練だった。
森の奥深く、木々が密集する場所で、
異様な気配を放つ巨大なスライムが現れた。
その大きさは人間の背丈を超え、地面を揺るがす。
「……これは……やばい」
少年は荷物を背負い直し、戦闘態勢を整えた。
巨大スライムは襲いかかり、足元の地面をねじる。
ダリルは石を投げるが、弾かれてしまう。
「普通の攻撃じゃ通じない……!」
少年はアイテムボックスを開き、中から特殊な結晶を取り出した。
手に触れると、結晶から微かな魔力があふれる。
「……これを投げれば、なんとかなるかも」
ダリルは結晶を狙いを定め、投げた。
空中で光が弾け、スライムに直撃。
巨大スライムは泡立ち、体を縮め、ついに倒れた。
森は再び静寂を取り戻す。
少年は息を整え、背中の荷物を揺らした。
「……やった」
胸の高鳴りと達成感が、全身に広がる。
ギルドに戻ると、受付の女性が目を丸くした。
「Fランクで、こんな成果……!?」
「はい……でも、まだ始まったばかりです」
ダリルは笑みを浮かべ、次の目標を見据えた。
今回の経験で、投擲とアイテムボックスの可能性を理解した。
石や鉄球だけでなく、魔力を帯びた結晶も投擲可能だ。
スキルは普通の冒険者とは次元が違う。
少しずつ、彼はFランクの枠を超えつつあった。
その日の夜、宿屋で一人、ダリルは日記を書いた。
「今日の戦いで、少し自信がついた」
「投擲とアイテムボックス……まだまだ使い方がある」
胸の中で決意がさらに燃え上がる。
「次はCランク……絶対に上がってやる」
ダリルは眠りにつき、明日への準備を始める。
Fランクの荷物持ちは、もう単なる荷物持ちではない。
未知の力を秘めた少年として、世界に名を刻む存在だ。
ギルドの掲示板には、新しい依頼が次々に貼られる。
ダリルは荷物を背負い、目を輝かせた。
「……行くしかない」
少年の冒険は、ここからさらに加速する。
未知の力、特殊スキル、そして伝説への道が待っているのだ。
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