〈中編〉

 買い物から帰ってきたニカと一緒に食事をする。その後、私は勢いのままに小説を書き上げ、無事脱稿することができた。


「はぁあああ~……二日ぶりにお風呂入れるぅ……」

「先輩、すでに発酵しかけてますもんね」

「言い方っ!」


 まいったな……執筆に頭を使いすぎたせいか、ろくな反論が浮かばない。

 私が言い淀んでいるうちに、ニカは話題を切り替える。


「ところで、さっき脱衣所チラッと見たんですけど、体重計どこに仕舞ってるんですか~?」

「体重計? そんなのウチにないけど」

「は? 体重測るときどうすんですか!?」


 そう聞かれて、素直に答えたのがマズかったようで。


「えっ、体重とか気にしたことない。どうせ太んないし」

「…………。めぐ先輩、いま全あたしを敵に回しましたからね?」


 いよいよニカの目つきが怖い。私は逃げるようにお風呂場へと駆け込んでいくのだった。




 勘違いされると困るから言っておくけど、私も普段はお風呂には毎日入ってる。

 まあ、忙しい日はシャワーで済ませちゃうことも多いけどね。今回はそれすらも億劫なぐらいテンパってただけで。

 ……なんて、誰に対して言い訳してるんだろう。


 それにしても、ニカが部屋に来ているせいか、何となくいつもより念入りに体を洗ってしまう。

 ああ、私ったら何を期待してるんだか。




 私が再び部屋に戻った時。


「お風呂上がりには爪を切らなきゃですよね~」


 ニカが爪切りを二刀流にして待ち構えていた。それ意味あるの?


「夜に爪切るのはダメだよ! ヘビが出てきちゃうんだから!」

「それ何かとごっちゃになってません? とにかく、ちゃんと短くしてヤスリもかけてくださいね~。じゃないと……あたしのカラダに傷がついちゃいますし」


 面と向かって言われると、いくら鈍感で臆病な私でもわかってしまう。

 私、今からこの子を――抱くんだ。


「わ……わかった。そうする」

「急に素直になっちゃう先輩やらしぃ~!」


 そう言いつつ満更でもない表情のニカを見て、私は熱い高まりを抑えきれなくなっていた。

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