その高い木の上の橙

 ごきげんよう、なっちゃんです。

 ここまででもわたしが少しずつ疲弊していったのをご理解いただけるでしょうか。笑

 お祓いのご提案をありがとうございます。時間が取れないので代わりにここでカキカキして厄払いです。笑

 でもね、まだあんのよ。まだまだあんのよ!


 今日は上の子くんですね。

 あれは、いやあれも、一年前の一月でした。まだわたしが首の骨を折る数日前、といった頃だったでしょうかね。いや折った後だったかもしれない。どっちでもいいや。上の子くん、晴れて春から中学生になりました。おかげさまで立派な思春期を迎えまして、学校生活にも慣れてきた頃からお手本のような反抗期に入っておりました。

 わたしの育て方が良いもんですからね、うちの子らはお外ではとても礼儀正しい良きぼっちゃんたちなんですよ。ほんとに、自他ともに認める行儀の良さ、学校でもご近所でもお姑さまにでも道行く知らないババ様集団にでも、どこに出しても恥ずかしくない受け答え、挨拶、愛嬌、お返事ができます。お外では。

 下の子くんほどではありませんが、上の子くんもいい感じにマザコン気味なので、例え思春期だろうが反抗期だろうが唯一母に対してだけは一線引いてお利口さんにしておりました。その代わりに、弟と父、あと一部のお友達に対してはもんのすんごい当たりがきつくなりまして、中でもとりわけ父に対しての態度がとんでもないことになっていました。

 父さんと呼んでいたはずが「この人」呼ばわり。言葉尻はきついわ蔑んだような態度は取るわ、顔を見れば嫌そうな顔をしながら自室に籠るわ。弟に対しても暴言を吐きまくって泣かせ、旦那もそんなに気が長いほうではないので血管切れそうになりながらも、そんな時期だからと我慢をしてくれていました。

 勿論そんなもんを放置していたわけではありません。怒鳴ったところで聞かないので、毎回毎回話し合いという名の説教を繰り返してきました。あなた今こうこうこういう時期だから精神的にああなってこうなって、そういうメカニズムだから、成長の一環なので自然なことなんだけれどもああだのこうだの。最終的には毎回、父と弟に当たるなと何度も何度も話してきました。

 んで。旦那が限界迎えて爆発しまして。

 深夜のことです。家族みんなでホラー映画を観ていました。怖くないと聞いていたのにわりとちゃんと怖くて、怖いねえ、思ってたより怖いわあ、などと話しながら途中まで観ていました。遅い時間だったので、下の子くんが「眠いけどひとりで階段登ってお部屋まで行けない」と言うので、旦那が「お父さんトイレ行くからついでに一緒に階段上がってあげるよ」と言いました。なーんてことない会話です。そしたら、突然上の子くんが旦那に噛みついたんです。なんて言ったっけなあ、「弟くんが迷惑だろ!」みたいな感じのことを言ったんですよ、きつーい口調で。下の子くんはそんなこと言ってません。ありがとうと思ってました。上の子くんが唐突にとんちんかんな絡み方をしたんです。そこで旦那がとうとうブチ切れました。当然の流れでした。

 さーてここで、上の子くんにとって人生初めてのお父さんとの親子喧嘩です! お父さんのほうは昔っから喧嘩っ早いのでやり合うのには慣れております! あと体格がいい! 上の子くんは力では絶対に敵いません! お父さんガチ切れで怒鳴っております! 上の子くんはあまりにも不利です! でも自分から吹っかけた手前後には引けません!

 どうするんかと思ったら、彼は突然ヒヨりだしまして、ふてくされたみたいにもういい、とかなんとか言いながら二階の自室に上がって、布団にくるまってしまったんですね。逃げた。なんっちゅうへたれ。

 が、積もりに積もった腹立たしさを抱えていた旦那がそれで許すはずがありませんでした。わざわざ部屋まで追いかけて行き、出てこんかい! と敷き布団を一回蹴りました。

 そしたら上の子くんが慌ててスマホを取り出して、なんと警察に通報してもいいかとわたしに聞くのです。前回の話で下の子くんが警察のお世話になったときに、「いつでもなんでも頼っていいからね」と優しく言ってもらっていたからでした。

 警察はあなたの思ったようにはしてくれないと思うよ、蹴ったの敷き布団であってあなたには当たってないし、とわたしは言ったんですが、喧嘩なんてしたことのない上の子くんは他にどうすればいいのかわからなかったみたいで、そのまま本当に通報してしまいました。お父さんが蹴ってきます、お父さんどこかにやってください、と。

 おかげさまで我が家に十人近くのお巡りさんと、子ども事案なので刑事さんまでやってきましたよ、夜中の静かな住宅街にね。刑事さんたちは旦那と上の子くんを別の部屋にやってそれぞれから話しを聞いてくれました。通報の段階でわたしが電話を代わって「すみませんまじでただの親子喧嘩です、蹴ったの敷き布団です、本人に一ミリも当たってません」と伝えていたので、刑事さんたちも慣れたもん、くらいの感じでした。

 旦那から話を聞き、上の子くんから話を聞き、わたしと下の子くんからも話を聞いてくれて、「お父さんお酒入ってます?」と聞かれたので「あの缶全部ノンアルです!」と素直に答えました。総合的に判断した刑事さんは上の子くんに向かって「うん、お前が悪いな」と言いました。上の子くんはお父さんを逮捕してもらえると本当に思っていたみたいで、鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔になってました。んなわけねえだろばかめ。刑事さんは旦那にもほどほどに、と言ってくれて、そこからは上の子くんへの説教が始まりました。優しかったけどね、わたしよりも。言ってることはわたしと同じでしたが、やはり相手が違うときちんと話を聞くもんで、泣きながら反省したような態度を取っていました。

 刑事さんが帰っていき、大量のお巡りさんが退散し、やれやれと思いながら居間のこたつに集合して、お互いにごめんなさいしなさい、両方悪いんですよ、などと言いまして、上の子くんは素直にごめんなさいをしましたが、今度は旦那が俺何も悪くないと言い出したのでそんなこともない、あなたは常日頃の態度からうんぬんかんぬん、とそこからまた諭しに諭す時間を費やし……で夜が明けました。とんでもねえホラー体験でした。

 でもまあそこから両者ちょっとだけ歩み寄りを見せて、今では旦那も上の子くんもちょっと大人になったかな、と。

 でもねえ、子ども事案だから、その後まだありまして、今度は児童相談所から電話かかってくるんですよ。ほーんとうに面倒でした。上の子くんには、「安易に通報すると後がこんなに大変なのよ、もっとよく考えて生活してください」と伝えておきました。


 しかしあれだね、同じことを言っても、わたしじゃない人だと素直に言うことを聞くのはなんなのかね。上の子くんの刑事さんとか、旦那の病院の先生とかさ。わたし前からあなたたちに同じこと繰り返し言ってんだけど、みたいなさ。腹立たしいわ。

 

 あ、上の子くんは今はナイフみたいに尖ってる時期を抜けまして、代わりに受験勉強なんてしたくないんだよタイムに入っております。ばかです。

 旦那はしばらく変わりませんでしたけども、今度書きますが先日別件でわたしをたいへん激怒させたために今はとてもお利口さんにしています。

 ではまた〜。

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