第3話 村の名前? 知らん

「ここです」

「やっとか……」


 村人たちが集まってきた。


「おお! 無事だったか!」

「モンスターは?」

「倒しました」

「えっ、この人が?」


 視線が俺に集中する。


「どんな方法で?」

「知らん」

「……は?」

「知らんけど勝ちました」


 村人たちは一瞬沈黙し、次の瞬間――


「さすがだ……」


「高次元の戦士だ……」


「説明を省くタイプ……!」

「ちがう! 本当に知らんだけだ!」


 誰も聞いていなかった。

 そのとき、ステータス画面が勝手に開いた。


 ――【初期イベント:救出】


 ――【結果:成功(理由:知らん)】


 俺は空を見上げた。


「なあ……この世界、もう少し説明してくれてもよくないか?」


 返事はなかった。
あるのは、知らん顔をした世界だけだった。


村人たちに迎えられ、女の子も安心した顔をしている。


俺はと言えば、肩で息をつきながらステータス画面を眺める。


HP:知らん
 

MP:知らん


やる気:知らん


「……さて、次は何すんだ」


 すると、村の長老らしきおじいさんが俺の前にフラフラと現れた。


「おぉ、若者よ。ちょっと頼みがあるのじゃ」

「はい?」

「隣の丘にある石……持ってきてくれんかの?」

「え、石ですか?」

「そう、青い石じゃ」

「……何のために?」

「知らん」

「知らんのかよ!」


 おじいさんは満面の笑みで頷く。


「ただ、古くからの習わしでな。持ってきてくれれば皆が喜ぶのじゃ」


 俺は空を仰いだ。
 やっと落ち着くかと思ったら、次の目標は石運びだった。

 女の子も微笑む。


「それ、重要なのか?」

「いや、知らないですけど。でも、やれば喜ばれるらしいです」


 俺は拳を握りしめた。


「俺の人生、こんなことで次の冒険が決まるのか……!」


 村人たちは拍手した。


「さすがじゃ! 若者よ、よろしく頼む!」

「うるさいよ!」


こうして知らん石を探しに行く冒険が始まった。

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