第2話 モンスターの名前? 知らん
地面に叩きつけられた。 痛いかどうかは、よく分からなかった。
「……ここ、どこだよ」
草がある。空がある。白くはない。 少なくとも、さっきの空間よりは「世界っぽい」
立ち上がろうとした、その瞬間。
「た、助けてー!」
叫び声が聞こえた。 反射的にそちらを見ると、森の端で女の子が追いかけられている。
モンスターだった。 犬っぽい。牙がある。たぶん凶暴。 名前? 知らん。
「ちょ、ちょっと待て」
俺は自分の手を見た。 武器はない。魔法の詠唱も知らん。 ステータス画面を開く。
剣術:知らん
魔法:知らん
戦闘経験:知らん
「無理だろこれ……!」
次の瞬間、モンスターがこっちに気づいた。
「え、俺!?」
飛びかかってくる。 避け方が分からない。 だから俺は……
「もう知らん!!」
訳もわからずそう叫んでしまった。
するとその直後、なぜかモンスターが空中でひっくり返り、 自分の牙に自分で引っかかり、 そのまま爆発した。
「ギャオオオオオオオンッ!!」
「……は?」
俺は、倒れたモンスターと自分の手を交互に見た。
「……何これ」
助けを求めていた女の子が、恐る恐る近づいてくる。
「だ、大丈夫ですか……?」
「いや、それはこっちのセリフで……」
「すごいですね! 一瞬で!」
「いや、知らんけど……」
「その技、なんていうんですか?」
「知らん」
「流派は?」
「知らん」
「師匠は?」
「知らんって!」
女の子は少し考えて、うんうんと頷いた。
「なるほど……深いですね」
「何が!?」
納得される理由が一切分からない。
「ありがとうございます。私、村に戻らないといけなくて」
「村?」
「はい」
「どんな村?」
「知らないです」
「……は?」
「気づいたら住んでました」
この世界、やばくないか?
歩きながら話を聞くが、何一つ情報が増えない。
「この国は?」
「知らないです」
「王様は?」
「見たことないです」
「通貨は?」
「たぶんあります」
「魔王とかいる?」
「噂では」
「噂かよ……!」
頭が痛くなってきた。
やがて、木造の建物が見えてくる。どうやらあれが村らしい。
村の名前はもちろん知らん。
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