エッセイ②:適応障害になり『普通の人間』になろうと焦った結果、鬱状態になった話

 2023年4月

 私は塾の教室長になり、前話のことを経て適応障害と診断され、退職しました。



 2023年5月16日。

 私は何を血迷ったかこのエピソードをエッセイにし、某小説投稿サイトに投稿しました。当時連載していた小説より反応が多く、複雑な心境になったのを今でも色濃く覚えております。



 今回綴るは、その続き。



 貴重な新卒カードを半月で捨て、心を壊した詰み状態の人間が歩んだ2年半。


 そのリアルを、お届けしたいと思います。




 2023年4月。

 私は実家に帰ってきました。

 もちろん居心地は最悪でした。といっても親との関係は良好で、自分で言うことではないですが恵まれた家庭に生まれたと思っています。


 ただ、自分を責める気持ちが日々膨らみ続けたのです。



 大卒無職

 無駄になった学費

 無一文

 精神病



 大好きだった名古屋グランパスの試合でさえ、楽しいと思うことができませんでした。



 しかし、私を支えてくれたのは私が勝手に居心地の悪さを感じていた家族でした。


 両親は私が気に病まないよう、年金などの支払いは隠れて裏でやってくれていました。もちろん支払いの義務は理解していましたが、物理的に収入0円なので、どうしようもなかったです。

 それがまた情けなくて自分の心を追い詰めるのですが、両親はそれを理解してか私に黙って支払いをしてくれていました。



 情け無い話ですが、助かりました。



 そして2人の全肯定お婆ちゃん。


「間違っているのは僕じゃない。間違っているのはこの世界だ」

 なんて有名漫画のセリフでありますが、それを現実で聞くことになるとは思いもしませんでした。

 もし私が自己肯定感の高い人間だったら、色々勘違いして拗らせて今頃変な活動家になっていたかもしれませんね(焦


 もし私がそうなったら読者の皆さま、私をグールだと思って優しく殺してね(パチンコでしかグール知らないのでこの辺にして、)



 もちろんお婆ちゃん達は善意100%で私を全肯定してくれていたと思いますし、正直80代の祖母が精神病を患った孫をケアしてくれるって凄いなと今では思います。



 家族に恵まれ、順調な回復を送れた。じゃあこのエッセイはここでハッピーエンドか!


 そうなれば……良かったのですがねぇ。




 2023年11月。

 私の心は確かに回復していました。


 が、回復すると今度は焦りが生じるのが我が面倒なメンタル。


「友達は立派に社会人1年目をやっているのに、私は子供部屋で何を毎日小説書いて遊んでいるんだ」



 そんな自責の念が日に日に強まり、私はある決断をします。



 アルバイトをしよう



 別に大した決断ではない。むしろ当たり前の決断でした。


 応募したのは(花粉の原因)薬局。人手不足なのか、即日採用されました。


 店長「週何日くらい働けますか?」


 私「週4で1日6時間働かせてください!」


 馬鹿です。大馬鹿です。

 パチ屋で「うわ1000回転当たりなしやんエグいて! 絶対次の1000円で当たるやん」とか言ってる謎のショルダーバッグニキより馬鹿です。


 あの日の私に言いたい。

 なぜ1日6時間も入る。お前は病人だぞ

 なぜ週4で入る。お前は病人だぞ

 と。


 でも「焦り」は止められないのです。


 だって当たり前じゃないですか。普通の人間は週5・8時間に残業があります。休日出勤されている方もいるでしょう?

 半月とはいえ、私もそれをこなしました。


 だったら週4・6時間くらい余裕で働けなくてはダメだ。そう強く思い込んでしまったんですね。



 お分かりと思いますが、当時の私の脳を支配していた考えは


『普通の人間に戻らなくてはならない』


 でした。


 普通の心を失ってしまった人間が、です。



 2024年1月。

(花粉の原因)薬局での業務ははっきり言って余裕でした。レジも品出しも、2年間の100均バイト経験が活きて簡単にこなせましたし、薬のことは資格持ちのパートさんにお任せ。


 週4・6時間だろうと余裕だ。そう思っていました。


 ……が、ここで私に襲いかかったのは超王道な社会人の悩み。


『人間関係』


 でした。


 基本的には優しいパートの方々が面倒を見てくれましたが、



 ・私を完全に無視するパートのおばさま


 ・私にもパートにもお客さまにも高圧的な50代男性正社員



 この2人が私の心を再び締め上げてきました。


 前者は他のスタッフとはアニメの話で盛り上がってるのですが、私のことは初回挨拶からフル無視。業務連絡も無視されるが、たまに唐突に叱られる。


 後者はお客さまにも暴言を吐くクレイジーなおじさまでした。「あんたは薬の何を理解して俺に質問してるだ」

 私のレジの横でお客さまにそう言い放った時は耳を疑いましたね。普通に副作用を尋ねられていただけなのに。



 ですがみなさん、こんな人間、普通にみなさんの職場にいませんか?


 どこにでもいるんですよこんな人間。

 塾でも、100均でも、学校・Twitter・友達の職場……etc


 ありふれているんです。こんな人間関係の悩みくらい。



 しかし、私の心には大きなダメージが蓄積されていました。



 当時の私は過眠という形で心の不調が身体の不調に出ました。

 まず9:00〜15:00までバイトですね。


 で16:00〜19:00まで寝ます。ご飯を食べてお風呂に入り、20:00〜寝ます。幼稚園児かよ。


 で8:00に起きて、9時からバイトでした。


 1日のうち6時間バイト。1時間が通勤、1時間が食事、1時間で風呂・トイレを済ませ、15時間寝ていました。



 何が苦しいのか。こんな人間関係の悩み、世の中にありふれてるじゃないか。友達だってそれで頑張って普通の社会人をやっているじゃないか!



 私が1番苦しかったのは、『普通の人間』が当たり前に直面する悩みに対して『苦しい』と思っている自分に対して苦しかったのです。


 なぜ私は普通でいられない。

 なぜ私はまた心を病んでいる。

 なぜ私は愚かなのだ。



 自分で自分を責め、追い詰め、過眠を続けた結果。


 2024年1月下旬。


 私は「鬱状態」と診断されました。


 人生2度目のメルタルクリニックからの診断書。


 紙切れ一枚を受け取る手に、鉛のような重さを感じたのを今でも覚えています。


 先生は言いました。


「1度心に傷を負った人間は、また傷付きやすいのです。紙をくしゃくしゃにして、それを元に戻しても皺は残ったままですよね? それと同じです」


 と。


 え?


 じゃあ先生……


 私はずっとこのままってこと?


 私はもう、『普通の人間』になれないってこと?


 私は…………





 エッセイその③に続きます。

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