【全3話】新卒で塾の教室長になり、適応障害で新卒カードを捨て・鬱に悩み、人生が狂った2年半

三色ライト

エッセイ①:新卒で塾の教室長になり、半月で適応障害になった話

【こちらは2023年5月に公開したエッセイです。②、③は新作です】



 すぐ仕事をやめる・逃げるZ世代。

 えぇ、私もそれです。


 2023年4月中旬。

 私は適応障害と診断され、診断書が出て退職しました。

 初めて明かすことですが、私の仕事内容は塾の教室長でした。


 2022年4月。

 私は念願の内定をいただきました。

 憧れだった塾の教室長。大学4年間で塾講師のアルバイトを2年半ほど頑張っていました。その延長で、塾の教室長を目指すことになりました。



 元々子どもが好きで、夢を応援するのが好きで、ポジティブなことが好き。私の作品を読んでくださっている方は、なんとなく理解していただけるんじゃないかなと思います。

 だから地元の子どもたちの夢を、背中を押したくて、塾の教室長になることを選びました。



 大きなグループとフランチャイズ契約をした、中規模な会社でした。社長が直接インターンや会社説明会を担当するような、そんな規模です。

 社長はとてもいい人で、「この出会いを大切にしたい」「我々は人に寄り添った会社です」と何度も言ってくださりました。



 私は地元での就職が希望で、それは何度も社長にお伝えしていました。



「そうなんですね。会社という組織な以上100%応えられるわけではありませんが、尊重したいと思います」



 そして、お決まりの「この出会いを大切にしたい」「我々は人に寄り添った会社です」という言葉。私はもう、夢が叶ったと思いました。



 2023年2月。


 私の配属校舎は地元から離れた場所に決定しました。


 最初、何を言われているのかわからなかったです。心の中で遠くに配属される可能性もあるだろう、そう思っていましたが、そこはリ○ナビ2023・マ○ナビ2023の勤務候補地に書かれていない場所でした。ここから、不信感という小さな重りがのしかかり始めました。



 大慌てで、賃貸を探しました。

 引越し費用・家具家電・初期費用……もろもろで60万円ほどでしょうか。そのほとんどを、祖母や両親からの就職祝い金で支払ってもらいました。今思えば申し訳なさすぎて、どんな顔して生きていればいいのかわからなくなります。

 どうして社員証をつけて、向こうで死んでこなかったのか。そう後悔する夜も未だ多いです。



 話は変わって2023年4月3日。

 入社式です。

 緊張・不安・同期と顔合わせ。色々混じりながらも、そこそこ上手に入社式のスピーチを話せたと思います。


 入社式を終えると、前年の表彰式が始まりました。

 新規生徒数・売上・夢・金・金・金。


 だんだん、私のイメージしていた子どもたちの夢を応援する塾から、利益を求める塾に様相が変化していきました。

 特筆すべきは会長挨拶でした。一言目から最後まで、金。ベテラン社員を労う場でも、金。

 子どもを応援する気持ちを感じられないな、そんな不安感と不信感がまた一つ積もりました。


 表彰式も終え、ついに自分の配属校舎へ移動になりました。


(みんな新規生徒獲得や売上UPばっかりだけど、自分は今いる生徒の夢を応援してあげよう)


 そう思って校舎に向かいました。


 塾の教室長はその仕事内容上、基本的に正社員は校舎に1人です。

 新入社員ですので先輩が付いてくれましたが、その場の責任者は私です。入社1秒目の、私です。


 いきなり初日から、というか校舎に入って数秒で問題が発生しました。汚すぎる。

 溜まったホコリ、テープ跡、ズタズタの椅子、落書き、剥がれた壁紙。

 こんなところで子どもたちを迎えていたのか。唖然としました。


 この会社では私の知る限り3種類の校舎に振り分けられます。

 ①新規開校

 ②この会社内での引き継ぎ校舎

 ③別会社・もしくは個人で運営されていたところからの引き継ぎ校舎


 私は③でした。つまり私の会社とは関係のない前任者がいて、その方から引き継いだわけです。


 すでにお察しの通り、前任者の方はめちゃくちゃで、フランチャイズ契約のルールを守らない方でした。


 ①やらなければいけない模試を生徒にやらせていない

 ②配らなければいけない配布物を配っていない

 ③保護者の方に断りなく、生徒に一方的に告げる形で授業入れ替えをする

 ④振替は当日連絡だとできないのに、当日連絡でも振替対応をしていた

 ⑤アルバイト講師の方のシフトを把握していない。それを我々に伝えてくれない

 ⑥保護者の方とのコミュニケーション不足

 ⑦毎授業ごとのメール送信を行わない・溜まったら一斉に送る

 ⑧月謝が間違っている。保護者の方の許可なく勝手にオプションを入れて売上を上げていた


 はい、これらすべての問題が入社1秒目の私に降りかかってきました。

 この時の私はまだまだ頑張る気でした。なんといっても入社1秒目。諦めるには早すぎます。


 だいたいの掃除が終わると上司からの指示で、交代面談のための電話掛けが始まりました。

 交代面談とは教室長が私になったので、前任者の時に言えなかったことをお気軽に言ってくださいという場です。

 1軒1軒、電話しました。


 Z世代は電話を嫌う。そう言われますが私自身、電話は嫌いではありませんでした。


 しかし挨拶と面談のお知らせに加え、上記8つの問題点から生まれた月謝の間違いなど、何か発覚するたびに電話をしました。この会社はとにかく電話。電話が命という考えでした。


 でも考えてみてください。1週間に何度も同じところから電話がかかってくるんです。もちろん保護者の方も仕事があります。中にはシングルで育てられていて、とても忙しい方もいます。

 何度も何度も電話すると、流石にお怒りになられる家庭が出てきました。私の責任でないところで、私が怒られるのです。社会の厳しさを知った1週目でした。


 2週目も、相変わらず電話です。振替は当日連絡ではできないというルールが知られていない・前任は当日振替を行なってきたため、「前はやってくれたのに」という不満が保護者の方から出始めてきました。

 この頃にはもう、生徒たちに力を注ぐことはできなくなっていました。


 アルバイト講師の方も、「この日は出れないって前任者に伝えていましたよ」「来月から出られないって前任者に話していました」「今月で辞めるんですけど聞いてないんですか?」という状況。

 教室長という責任者の立場のため、すべての問題が私に降りかかってきます。


 この頃にはもう、家に帰ったら1人で泣いていました。

 夜はなかなか眠られない。寝ても悪夢(仕事の夢)で目覚める。朝は早く起きて二度寝できない。頭が痛い。楽しいと思っていたことがもう楽しくない。味がしない。時間があると、yahooで自殺について色々調べる。

 心と身体に、不調がきたしていました。


 私はもともとメンタルクリニックに通っていましたので、持薬が切れるタイミングで配属先近くのメンタルクリニックに予約を入れていました。

 メンタルクリニックに行って今の症状を話すと、あらびっくり適応障害と診断されました。


(えっ、自分が鬱症状……そうかぁ)


 信じられない思いでした。

 そこからの展開は目まぐるしく、すぐに退職の旨を直属の上司に伝え、親に迎えにきて貰いました。

 親曰く、「半月で痩せたな」とのことでした。


 こうして私はたったの半月で適応障害になり、退職し、地元に逃げてニート生活・療養生活を送っているのです。


 退職した理由をまとめると、

 ①大前提、私が弱い人間である

 ②入社1日目で教室長という責任者になる重圧

 ③杜撰な引き継ぎ。しかも「譲渡校舎は毎回こうなるんだよね」と3人の上司に言われたため、会社側は譲渡校舎では苦労すると理解していて新人に任せた

 ④利益主義・業績主義による子どもの放置感に耐えられなかった

 ⑤就職サイトに記載のない校舎への配属による不信感。地元での就職希望を蔑ろにされた

 ⑥電話・電話・電話。お怒りを受け、さらに別問題でまた電話の日々

 ⑦弱音やマイナスなことを日報に書くと、『課長が三色ライトさんの日報を問題視しています』と言われる。弱さを、辛さを、受け止める気のない上司

 ⑧前任者の杜撰な校舎運営がそのまま残っている。それが私にすべて降りかかった。


 以上になります。


 これを読んでくださった方には厳しい意見をお持ちの方もいると思います。

「社会を舐めるな」

「学生気分でいるな」

「甘えるな」


 逆に、寄り添われる方もいると思います。

「自分も大変だった」

「仕事辞めたい」

「辛かったね」


 どんな方においても、私の作品を読んでくださっているあなた。そこのあなたのおかげで、なんとかこの小さい、か細い命が続いています。


 人生が一度狂ってしまいましたが、私は私なりに、弱者は弱者なりの生き方をしていこうと思います。




 エッセイ②に続く

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