蛮族「炎」が全てを蹂躙す
駄文亭文楽
炎の冒険
炎行(えんこう)
剣ひと振りを道連れに
炎は行くよ どこまでも
血の匂いを風に乗せ
焼け残るものを許さずに
いつか虹の根 踏み越えて
神の国まで足を伸ばし
居並ぶ神の白き首
まとめて撥ねて 雲の下
女神を奪い 孕ませて
雷の寝床を踏み荒らし
笑い声だけ残したまま
再び地上へ舞い戻る
敵なき炎は地を穿ち
地下深くへ潜り行く
冥府の川を泳ぎ切り
骸の舟など蹴散らして
冥王相手に立ち回り
契約も掟も叩き斬り
死を殴り倒したその果てに
不老不死を 掴み取る
燃える限りが生の証
止まる時こそ終わりなり
世界が灰に沈もうと
炎はなおも 歩き続ける
⸻
炎終(えんしゅう)
不死身の炎に 敵は無く
大地すべてを 舐め尽くす
天も地も 口を閉ざし
無頼を黙って 受け入れた
世界はただ 耐え忍び
燃え残る日々を 数えていた
やがて女神は 子を成した
炎の子は すくすくと
父を憎み 炎を憎み
その憎悪を 剣に鍛え
ついに炎と 相対する
炎は笑った
敵手として これ以上は無い
七日七夜
天は割れ
地は砕け
血と火花が 昼夜を消した
――そして
炎は 息子を打ち倒す
だが炎は 勝利を祝わない
亡き子のためではない
その身に仕込まれた
毒のためだ
息子の憎悪が
刃となり
毒となり
不死の肉を 静かに蝕む
苦しむ炎は 不死身の身
死ぬことさえ 許されぬ
叫びも
怒りも
もはや燃え尽き
炎は 火山へ身を投げる
この身を蝕む この毒は
大地の炎で 浄化する
溶岩は包み
炎は溶け
概念だけが 地に還る
世界は ようやく息をする
炎の話は
これで終い
蛮族「炎」が全てを蹂躙す 駄文亭文楽 @Geoconfreak
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