第3話 ランキング上昇と試練


ライザたちはダルク渓谷から戻り、

ギルドに戦果を報告していた。


「よくやったな、ブルーフォール」

ギルド長が珍しく笑みを浮かべる。

仲間たちの表情にも、達成感があふれていた。


しかし、ライザの胸は少し高鳴っていた。

ランキングの表示を確認する時が来たのだ。


端末に触れると、画面が光る。

二十万位――そこにライザの名前があった。

そして、戦闘後の評価でステータスが反映される。


「……え?」

小さな声が漏れた。

数秒後、ランキングが急激に変動した。

ライザは二万位に跳ね上がっていたのだ。


「まさか……こんなに?」

メルマが驚きの声を上げる。

「能力だけで……これほどまでに?」

ライザは少し戸惑いながらも、冷静に説明した。


「鑑定で、敵の力と私たちの力を入れ替えました」

「つまり、戦闘での効率が劇的に上がったわけです」

ファルマが感嘆の声を漏らす。

「なるほど……戦わずして戦況を支配するってことか」


その日から、ライザたちの評判は急上昇した。

他の冒険者たちの間でも、ブルーフォールは注目される存在に。


「こいつ……ただの鑑定士じゃない」

通りすがりの上位ランカーの囁きも耳に入る。

しかし同時に、嫉妬や警戒の目も増えていた。


次の挑戦は中級ダンジョン、アストラ洞窟。

難易度が格段に上がり、仲間たちも少し緊張していた。


「準備はいいか?」

ファルマが仲間を見渡す。

「はい」

ライザは小さく頷き、集中を高める。


洞窟の入口に足を踏み入れると、

湿った空気と石の匂いが鼻をついた。

光はほとんど届かず、魔法の光が頼りになる。


最初の敵、暗黒ゴーレムが現れた。

レベルは十、攻撃力も高い。

普通なら苦戦必至だが、ライザは冷静だった。


「鑑定――攻撃力と防御力を交換」

光が手のひらから放たれ、ゴーレムの動きが鈍る。

パーティーは一斉に攻撃を仕掛け、圧倒する。


戦闘が終わるたび、ランキングは上昇していく。

十万位、五万位、二万位――速度が加速する。

仲間たちも、ライザの力に驚きながら信頼を深める。


しかし、外の世界は甘くなかった。

「ふん……あの鑑定士、話題らしいな」

上位ランカーの影が、ライザたちの前に現れる。

「力だけで上がってきたくせに、まだまだ甘い」


その挑発に、ファルマが剣を握る。

「ライザ、気を引き締めろ」

ライザは静かに頷く。

「はい、これが本当の試練です」


洞窟の奥では、罠や迷路のような構造が待ち受ける。

「慎重に……」

モーガンが声をかけ、仲間たちが慎重に進む。


突然、上位ランカーたちが仕掛けた罠が作動する。

落石、魔法の障壁、幻覚――すべてがパーティーを襲う。

しかしライザは冷静に「鑑定」を使い、

ステータス操作で危機を回避させる。


「これで……どうだ?」

光の中、敵も味方も入れ替わる瞬間、

仲間たちは驚きつつも信頼の眼差しを向ける。


洞窟の最深部で待ち受けていたのは、

伝説級モンスター、影の竜だった。

レベルは三十、攻撃力も高く、普通の冒険者では太刀打ちできない。


ライザは目を閉じ、力を集中させた。

「全力で……鑑定」

光が広がり、竜の力とパーティーの力が入れ替わる。


攻撃は正確に命中し、仲間たちはその力を存分に発揮する。

ファルマの剣、ボールドの防御、メルマの魔法、モーガンの回復。

一体となった戦闘が、影の竜を討ち取った。


洞窟を出ると、空は夕焼けで染まっていた。

街に戻ると、ギルドの掲示板には新たなランキングが表示される。

ライザはついに三千位、仲間たちと笑みを交わす。


しかし、ライザは知っていた。

これから先、試練はますます厳しくなる。

上位ランカーたちの妨害、未知のダンジョン、危険な策略。

それでも、彼女の心には決意があった。


「ここから……もっと上に」

ランキング二万位から頂点へ。

ライザの冒険は、まだ序章を超えたばかりだった。

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