第2話 能力の目覚め
ライザはブルーフォールの拠点、
アクアール城塞都市のギルド前に立っていた。
「今日こそ、試せるかもしれない」
小さくつぶやき、手元のスキルリストを確かめる。
ファルマ、ボールド、メルマ、モーガン。
まだ顔なじみではないが、彼らの視線には期待が混ざる。
「ライザ、準備はいいか?」
ファルマの声が、仲間としての初めての確認になる。
「はい、お願いします」
ライザは深く息を吸い、ダンジョンの入口を見つめた。
ダルク渓谷――初心者向けとはいえ、
予測不能な罠やモンスターが待ち受ける場所だ。
一歩踏み出すと、冷たい空気が肌を刺す。
光は少なく、岩壁が陰影を作っている。
「ここで力を試せる……」
心臓の高鳴りを感じながら、彼女は集中した。
最初の部屋。
小さなゴブリンが二匹、岩陰から姿を現す。
「ふむ……まずは相手の情報を」
ライザはスキルを発動した。
「鑑定」――
光が手のひらに集まり、ゴブリンのステータスが視界に浮かぶ。
攻撃力15、防御力10、レベル3。弱小。
しかしライザの心には計算が走る。
「もし、この数値を……」
次の瞬間、光が広がり、ゴブリンの攻撃力と彼女の数値を入れ替えた。
「え……?」
仲間たちの剣や魔法が届く前に、戦況が一変する。
ゴブリンの動きが鈍くなり、こちらの攻撃は的確に命中した。
ボールドが驚きの声を上げる。
「今の……何をした?」
ライザは冷静に説明する。
「鑑定で、ステータスを入れ替えただけです」
簡単に言ったが、その力は圧倒的だった。
「攻撃力も防御力も……入れ替えられる」
メルマが目を見開き、理論を整理する。
「さらにレベルまで……?」
ライザは小さく頷く。
「はい。でも制御は慎重に。間違えると危険です」
次の部屋。
ゴブリンに加え、スケルトンが現れた。
ライザは瞬時にステータスを読み取り、仲間のボールドと入れ替えを試みる。
防御力の高いボールドの体にスケルトンの力を移す。
スケルトンは鈍重になり、簡単に倒せた。
ファルマが剣を振りながら言う。
「なるほど……ライザ、お前は戦わなくても戦況を支配できる」
ライザは照れずに微笑む。
「これで、私も役に立てますね」
ダンジョンの奥で、光が差し込む空間にたどり着く。
強力なモンスター、森の魔獣が現れた。
レベルは15、攻撃力は高く、普通の冒険者では歯が立たない相手だ。
ライザは深呼吸し、手のひらに力を集める。
「鑑定……最大出力」
光が放たれ、魔獣のステータスと自分たちのパーティーの能力を入れ替える。
一瞬の沈黙。
魔獣の動きが鈍く、パーティーの攻撃は的確に決まる。
ボールドが盾を構え、ファルマが剣を振る。
メルマの魔法が炸裂し、モーガンの回復魔法も完璧に連携する。
戦闘が終わり、魔獣は地面に倒れた。
「……信じられない」
モーガンが小声でつぶやく。
「あなた、本当に鑑定士なの?」
ライザは息を整え、少し笑った。
「はい。でも、これはまだ序章です」
仲間たちは頷き、彼女を信じる目で見た。
外に出ると、夕焼けが谷を染める。
風が心地よく、冒険の匂いが街へと流れる。
ライザは小さく拳を握る。
「これからだ……本当に、ここから」
ランキング二十万位の少女が、
異世界で最強を目指す――その物語は、
まだ始まったばかりだった。
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