ページ23
シーン㉓
地獄のピクニックはお酒だけが進み、気づけば無くなっていた。
「俺、買ってくるわ。」
この大輔の提案に颯太も着いていくことにした。
颯太は澪に目配せをする。
澪も颯太と目を合わせて頷く。
「俺が大輔を宥める。その間に澪は陽菜を頼む。」
「オッケー。こっちは任せて」
颯太と澪の目配せではこう言った会話が無言で交わされた。
正式に付き合ったことか、この雰囲気のせいか二人のシンパシーは前よりも息を合わせ、無言の会話まで成立させた。
女性陣2人と離れると先に切り出したのは大輔だった。
「やっぱ俺と陽菜ちゃんは合わないのかな〜」
気を遣われている。
颯太はそう感じた。
陽菜を紹介したのが颯太である手前、無下に陽菜を批判は出来ない。
あれだけの態度だと普通は怒ってもしょうがないが、ここで気を遣うのが大輔という人間だ。
「やっぱり大輔には彩花ちゃんだったんだろうね。」
ふと零れた。
でも本音でもあった。
「やっぱり諦めるにしてもきっぱり振られないとな。」
大輔のそのひと言に颯太は驚いた。
大輔の落ち込みようから、てっきり振られたもんだと思っていたからだ。
でもよく考えたら「別れた」という報告しか受けていない。
颯太には経験がないから分からないが、好き同士でも別れるということはあるのだろうか。
ニュースでよく聞く「価値観の違い」による離婚も
ピクニックの途中、俺と大輔は二人きりになった。俺は、大輔が新しい恋を見つけられるように、話しかけた。
「大輔にも、新しく好きな人できればいいな」
俺の言葉に、大輔は何も返事をしなかった。沈黙が流れる。俺は、気まずさを感じ、話を無理やり変えた。
「…陽菜って、好きな人いるのかな?」
俺の言葉に、大輔はポツリと答えた。
「…お前だよ」
「そんなわけないだろ!」
俺は笑いながらそう言った。しかし、大輔は真剣な顔で俺を見つめていた。
「俺が好きな人、誰だと思う?」
大輔の言葉に、俺は何も答えられなかった。大輔は、俺の返事を待つことなく、静かに言った。
「…お前だよ」
俺の心臓は、ドクンと音を立てた。まさか、大輔が俺のことを好きだったなんて。俺は、何も言えずに、ただただ立ち尽くすしかなかった。
その日、キャンプが終わるまで、俺と大輔は一言も話すことがなかった。同性が好きだと告げることでの気まずさが、二人の間に重くのしかかっていた。
俺たちが二人の元に戻ると、陽菜と澪は楽しそうに話していた。何事もなかったかのように、ピクニックは終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます