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シーン㉓

地獄のピクニックはお酒だけが進み、気づけば無くなっていた。

「俺、買ってくるわ。」

この大輔の提案に颯太も着いていくことにした。


颯太は澪に目配せをする。

澪も颯太と目を合わせて頷く。


「俺が大輔を宥める。その間に澪は陽菜を頼む。」

「オッケー。こっちは任せて」

颯太と澪の目配せではこう言った会話が無言で交わされた。


正式に付き合ったことか、この雰囲気のせいか二人のシンパシーは前よりも息を合わせ、無言の会話まで成立させた。


女性陣2人と離れると先に切り出したのは大輔だった。

「やっぱ俺と陽菜ちゃんは合わないのかな〜」


気を遣われている。

颯太はそう感じた。

陽菜を紹介したのが颯太である手前、無下に陽菜を批判は出来ない。

あれだけの態度だと普通は怒ってもしょうがないが、ここで気を遣うのが大輔という人間だ。


「やっぱり大輔には彩花ちゃんだったんだろうね。」

ふと零れた。

でも本音でもあった。


「やっぱり諦めるにしてもきっぱり振られないとな。」

大輔のそのひと言に颯太は驚いた。

 

大輔の落ち込みようから、てっきり振られたもんだと思っていたからだ。

でもよく考えたら「別れた」という報告しか受けていない。


颯太には経験がないから分からないが、好き同士でも別れるということはあるのだろうか。

ニュースでよく聞く「価値観の違い」による離婚もという理屈だけではないのだろう。

 






ピクニックの途中、俺と大輔は二人きりになった。俺は、大輔が新しい恋を見つけられるように、話しかけた。


「大輔にも、新しく好きな人できればいいな」


俺の言葉に、大輔は何も返事をしなかった。沈黙が流れる。俺は、気まずさを感じ、話を無理やり変えた。


「…陽菜って、好きな人いるのかな?」


俺の言葉に、大輔はポツリと答えた。


「…お前だよ」


「そんなわけないだろ!」


俺は笑いながらそう言った。しかし、大輔は真剣な顔で俺を見つめていた。


「俺が好きな人、誰だと思う?」


大輔の言葉に、俺は何も答えられなかった。大輔は、俺の返事を待つことなく、静かに言った。


「…お前だよ」


俺の心臓は、ドクンと音を立てた。まさか、大輔が俺のことを好きだったなんて。俺は、何も言えずに、ただただ立ち尽くすしかなかった。


その日、キャンプが終わるまで、俺と大輔は一言も話すことがなかった。同性が好きだと告げることでの気まずさが、二人の間に重くのしかかっていた。


俺たちが二人の元に戻ると、陽菜と澪は楽しそうに話していた。何事もなかったかのように、ピクニックは終わった。

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