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シーン⑳

観覧車を降りると、ここで解散しようと彩花が提案をする。

3人もその提案に乗り、ダブルデートは終わった。


終わったのに終わってなかった。

心がモヤモヤする。


澪と大輔の楽しそうな先程の風景。

それを思い出したと思ったら、ふと未来が見えた。

澪の隣には、颯太ではなく大輔がいた。


「あひょ」

急に間抜けな声が出た。

「あはは」と目の前で澪が笑っている。

それを見て、さっきの間抜けな情けない声が自分のものと分かった。


脇腹をつつかれたのか。

これがイチャつきか?沸点の低い颯太の恋愛脳は先程の悩みから一転して、こんなことで湧き上がる。


「ほんとに脇腹弱いんだね」

まるで誰かから聞いたかのような言い方だ。


颯太の恋愛脳は冷めるのも早い。

先程は沸点と表現したが、液体よりも個体のが近いだろう。

鉄の熱伝導率はとてもよく、熱しやすく冷めやすいというし。


おそらく大輔から聞いたのだろうと、颯太にも簡単に予測できた。

それがモヤモヤを強くする。


颯太には芽生えてしまっていた。

澪は自分のものだという気持ちが。

独占欲や傲慢と似ているが少し違う。


特別感。

それがモヤモヤを産んだ元凶だ。


水族館のデートまではこの特別感は颯太1人のものだった。

しかし、澪の好意にも取れるようなLINEや仕草がを生み出した。


この特別感は不思議なことに、「嫌だ」という感情を生み出す。

この「嫌だ」は嫉妬だ。


今説明しているのはただの嫉妬の説明だ。

羨ましいと嫉妬の違いはこの「嫌だ」という感情があるかないかだと思う。



観覧車を降りると、俺と澪の間に、どこかぎこちない空気が流れていた。大輔への嫉妬で、俺は澪との会話もままならなかった。


「…そういえば、重大発表って?」


俺は、意を決して、澪に尋ねた。


すると、澪は少しだけ微笑んで、俺の目をじっと見つめた。


「…私、颯太くんが告白してくれた時のこと、覚えてるよ」


その言葉に、俺の心は驚きと喜びで満たされた。


「…だから、私、颯太くんと付き合いたい」


澪の言葉に、俺は何も言えなかった。ただ、彼女の手を強く握りしめることしかできなかった。


その日の帰り道、俺は彩花から別れを告げられた大輔に会った。大輔は、なぜ振られたのかわからず、ただただ落ち込んでいた。自分の俺への気持ちに確信がなかったためだ。彩花は、大輔が俺を好きだと気づいていたからこそ、別れを告げたのだ。


俺と澪、そして大輔と彩花。それぞれの恋心が、遊園地という非日常の中で、複雑に絡み合い、そして、新しい関係へと変化していった。

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