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シーン⑬

澪とのデートを初めて数週間。

今日もデートの日だ。


いつもの服装。

いつものヘアセット。

出来るだけ同じにすることで澪に早く覚えてもらおうと颯太は必死だった。


今日は快晴だ。

雲ひとつない。

悪いことが起きる時は大抵が雨の日だ。

物語だといつもそう。


でもこれは現実だ。

俺の携帯のバイブがなる。

大輔から電話が来ていた。

嫌な予感がした。

今から雨が降るんじゃないかと。


「もしもし。」

「もしもし大輔だけど。」

「どうした?」

「突然で悪いんだけど、今日バイト代われない?

 就活対策の講義出たいんだよね。」


颯太たちの専門学校では就活対策の講義が全員必須のものと任意で受けたい人だけが受けるものがある。


任意なものは企業が来てくれることもあるため、狙っている企業がある人や就活に早めに取り組む人が受けることが多い。

大輔は真面目だからこういう情報は早めに調べて、バイトの休みを取って置きそうなものだ。


「珍しいな。休み取ってなかったのか。」

「それがさ、元の来るはずだった企業でインフルが流行って来週の企業が急遽、今日来ることになったんだよ。」


なるほど。急にバイトを代わることになった理由は分かった。


でも今日はデートの日だ。


最初は毎週土曜日にしていたデートだが、少しづつ日数や曜日も変わってきて、今日は平日だがバイトも休みなためデートの約束をした。


「ごめん。今日は予定入っててさ。」

「例の彼女とのデートだろ?毎週してるんだし今回は代わってくれないかな?来週の休み希望は俺が代われるし!」


あえて言わなかった断る理由を当てられて動揺した。

そして来週代われるというのはさっきの話からして、来週出るはずだった就活対策講義は繰り上げになったため出ないからだろう。


たしかに毎週デートはしているし、代わりの提案もしてくれている。

しかし、澪に断る勇気が出なかった。

一度でも断ると、もう二度と会えないのではないかとふあんだったのだ。





 ある日、俺はバイト中に大輔から呼び止められた。


「望月、悪いんだけど、明日のシフト代わってくれないか?」


明日は、澪と水族館に行く約束をしていた日だ。俺は、ごねるように言った。


「悪い、明日は水族館に行かなくちゃいけないんだ」


俺の言葉に、大輔は真剣な顔で俺を見つめた。


「…お前、本当に大丈夫なのか? その子、お前のこと覚えてないんだろ? もしかして、利用されてるんじゃないのか? 周りに迷惑をかけてまでやることか?」


大輔の言葉は、まるで俺を責めるようだった。彼の言葉は、俺への忠告だった。だが、その言葉の裏には、俺への想いが無意識のうちに現れているような気がした。


俺は、大輔の言葉に言い返すことができなかった。そして、その日は水族館に行くことを断ってしまった。


その日の夜、俺はバイトを終え、大輔の言葉を思い出していた。本当に、俺は彼女に利用されているのだろうか。

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