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「これは35分の価値があるよ。」
颯太はバイト帰りに澪の言葉が頭をよぎった。
「……35分の価値がある、か」
その言葉の意味を理解しようとして、全くできなくて。
結局、澪の笑顔を思い出して「まあいっか」と浮かれていた。
家に帰ると、母が不機嫌な顔で玄関に立っていた。
どうやら、頼まれていた買い物を忘れていたらしい。
「全く、あんたはすぐ忘れちゃうんだから。しっかりしなさい!」
怒られながら、冷蔵庫に準備してもらっているご飯を取る。
レンジで温めている間も母のお叱りが聞こえてくる。
颯太は現実逃避をするように箱の中でオレンジ色の光を灯されながら回るお皿を眺める。
これが俺の現実だ。
バイトが終り、ご飯を食べ、お風呂に入り、眠りにつく。
ネットカフェのバイトがあるときは、お風呂の後にまた外にでる。
そして朝が来たら学校に行く。
これが俺の現実で日常で。
でも今日は眠れなかった。
俺の日常に非日常が襲い掛かる。
また会えるかなと脳内にいる天使に話しかける。
またよぎる「35分の価値という言葉。」
今度会ったら聞いてみよう。
そう思い、颯太は眠りについた。
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