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シーン④

「チーズケーキ!」

俺の女神がそうご所望だ。

颯太はオリジナルのチーズケーキを作る。

今日の日替わりケーキではないが、この日の為にチーズケーキ用の材料はストックしていた。


・クリームチーズ 大さじ3

・ヨーグルト 大さじ2

・砂糖 小さじ2〜3

・レモン汁 少々

・お好みのジャムやビスケット 適量


冷蔵庫から指定の材料を取り出す。

クリームチーズをレンジで10秒温めてやわらかくする。

そこにヨーグルトと砂糖を加え、スプーンでくるくる、すばやく混ぜる。

混ぜるたびに生地がなめらかに、艶やかになっていく。

レモン汁を少しだけ垂らして、さらにひと混ぜ。

グラスに市販のビスケットを砕いて入れ、その上に生地を流し込む。

上からブルーベリージャムをひとさじ──色彩がきらりと輝いた。

完成まで、わずか5分。

なのに、見た目はしっかり「ご褒美」だった。


出来上がった白い宝石を彼女に届ける。

「美味しい!」

注文をした時と同じ、透き通った天使の声が店内に広がる。

その言葉だけで、俺の心は満たされた。

本当に美味しそうに食べる彼女の横顔を、俺はしばらく眺めていた。その時間は、永遠にも思えた。

颯太の恋心は、気づけばもう底なし沼の深海に沈んでいくように、彼女に捕らわれていた。


「美味しい。」

悔しそうに澪もケーキを褒めてくれた。

これで邪魔者も手懐けられたと少しほっとした。


「よかったです。もう来てくれないかと思ってました。」

その言葉に陽菜がギクっとしたような気がした。

こいつ、わざとこないようにしてたなと俺は少し陽菜を睨む。

でもそんな陽菜の制止を押し切って来てくれたんだろう。

「楽しみにしていた。」「やっとこれた。」

そんな言葉を澪の口から聞けることを颯太は期待していた。

もしかして「あなたに会いたかったか」なんて言葉すら期待していた。


しかし、澪の反応は全く違うものだった。

こちらを見てきょとんとしている。

そして口の中に残っているチーズケーキを咀嚼すると満面の笑みをこちらに浮かべた。

この子は天使じゃない小悪魔だと颯太は自分の中の澪を変換させた。

もしかしてと思い、颯太は尋ねる。

「あの、俺の名前、覚えてますか?」

そう告げると、澪はは日記をパラパラとめくり、何事かを確認している。

そして、パッと顔を上げ、驚いたような、嬉しそうな顔で言った。


「あなたが、望月颯太君!」

よかったと思うと同時に、顔までは覚えてもらってなかったのかと少しショックだった。

でも大丈夫だ。

今日の俺はきっと覚えてもらえるだろう。


澪はケーキを食べ終わると、颯太を見て言った。

「本当に美味しかった!これは35分の価値があるよ。」

35分の価値の意味は分からなかったが、小悪魔が

いややっぱりこの笑顔は天使だ。

その天使が褒めてくれたことを颯太は素直に喜んだ。


この天使との時間は颯太に非日常な時間を味合わせてくれた。

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