マモル(ホラー)

せら

マモル

燃える。

二軒先の、昔から良くしてくれていたおばあちゃんち。


燃えている。

一緒に暮らしていた大型犬、命名権はぼくにくれたんだっけ。<マモル>。一緒におばあちゃん守ろうねって約束したんだ。


燃え尽きかけている。

救急隊が到着した。



そして。


その灯は、--静かに。心に思い出というぬくもりを残して。

救急車は、【サイレンを鳴らさずに】、戻っていく。




灯が消えているから線香は煙しか出ないのかな、そんなことを考えながら、遺体もない箱を前に手を合わせる。

原因は、放火だったらしい。

マモルも、一緒に亡くなっていたとのこと。


その子だけなら逃げれてたはずなのに。おばあさんを助けようとしたらしい。


ぼくがつけた名前の通りだ。


ばかだなぁ。死ぬまでその名前の意味を死守しなくてよかったのに。



あれから半年たった。

おばあさんちはそれなりのいい家だったので相続でもめているって聞いた。ぼくにはまだよくわからないけど、ずっと放置されてある。いわゆる廃墟化しつつある。おばあさんの家が欲しい人がいたら手入れしたら相続権もらえるかもなのにね、ってお母さんにいったら、「そういうものでもないのよ」っていわれた。



夜、勉強してたら、高校生くらいのお兄さんたちの声が今夜も聞こえてきた。

「廃墟には霊が出る」「廃墟には隠し財産がある」とかいわれてるらしい。

毎晩のように騒ぎがある。僕が寝るときもうるさくて。

でも、僕が朝には静かになっている。


霊が出るなら会いたいよ。「おばあちゃん、こないだのテストで79点取れたよ」とか「死ぬまでおばあちゃんのこと守ろうとして偉かったね」とかいいたい。


でもいいんだ。お兄ちゃんたちが騒いでる日の夜は必ず、マモルに会えるんだ。一緒になって、悪いゴブリンを斧で切りつける夢なんだよ。ボク、夢のなかではどんな戦闘クラスなのかなぁ?




今日も聞こえてくる。四人くらいなのかな?うるさいなぁ。

でも、それならじゃあ、今夜もマモルに会えるかもな。

夢の中でもあえるの、うれしいな。



■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■


ふぁあ、おはよう、今日もたくさんゴブリン倒したぞ!4人ゴブリンがいて、ぼくは3人、マモルが1人倒した!!!

レベルアップとかあればいいのにな。


リビングに行くと、お母さんがまた神妙な面持ちで電話している。

なにがあったのかきくと、「子供は知らなくていい。でも、今日の学校はお母さんと行くわよ」と言われた。お父さんも「また起きたのか。警察は何やってるんだ」っていってる。なにかあったのかな?


ある日ね、あの家っていつかなくなっちゃうの?って聞いたことあるんだ。そしたらお父さんもお母さんも、「早くなくなったほうがいい」「もう若い子がこんな事件に巻き込まれるのはごめんだ」って。

何があったのか聞いたら黙っちゃった。


また別の日にはね、知らないお姉さんに声かけられた。

二軒先のおばあさんちに先日の夜向かったきり、学校に来てないおともだちがいるんだって。近所のことして何かしらないかなんて聞かれたけど、僕そのころ寝てるもん。知らないよ。

それと、変なことも言ってたな。


「子供と、犬の霊が出るってもっぱらのうわさ」


犬の霊はわかるよ。多分マモルだ。でも、あの家に子供なんかいないのに。何言ってるんだろうこのお姉ちゃん。


でも、気になるな。最近お母さんたちが様子おかしいのもおばあちゃんちに何かあるのが原因?

今度、おばあちゃんちが騒がしかったら、こっそり夜中抜け出して行ってみようかな・・・。


その日の夜、またうるさくなった。「今から動画回しまーーす」だって。怖いけど、おばあちゃんは僕とマモルが守るって決めたんだ。守るの霊もいるなら、ぼくも行かなきゃ!!!


『はーーーい,ここが例の、子供と犬の幽霊がでるとこでーーす!ww』

『隠し財産見つけてやるーーwww』

『ここに来たのやつらは行方不明になってるっていうけど、俺ら怖いもんありませーーーーんwwww』


いた。怖いなぁ・・・。あっ、<<ガタッ>>『!!!だれだ!!!!』やばい、足滑らせちゃった!!


『ガキ発見ーーーー!!撮ろうぜ!!!』

『おい、生きてるのはさすがにやめてやれwww』

『むしろ、なんでこんなことにいるんだよ』

『てか、このガキ、ほんとに生きてるの?実はあの幽霊なんてこと、ない?www』


こわい、こわいよ。たすけて。



マモル。



その瞬間、目の前のお兄さんが地を噴き出して倒れた。


そばには。


ガルルルルと、うなっている、半透明のマモルの姿が。


『やっぱこいつらじゃん!!』

『塩まけ塩』

『くらえファ〇リーズ!!』


や、やめてよ、やめて。マモルにも。僕にもそんなのかけないで。


『てか、このガキ、やっぱこっちは生きてね?』

『もうこれ正当防衛っしょ!!!』

『殺っていいだろ!!!』


僕に向かって。薪ストーブ用の斧が振り下ろされる。


目を開けた時には。マモルがお兄ちゃんの首を引きちぎって咥えていた。


目の前に血だらけの斧が転がっている。



ーーー敵は、あと2人。


え?今僕何を?


ーーーいつものように斧を取って。


いつものように???

斧を取ると、強烈なデジャブを感じる。


ああ、そっか。


僕。ずっと。


毎晩のように。



マモルと、


オバアチャン チ ヲ マモッテ イタンダネ


■■■■■■■■■■■■■■■■■■



翌朝、僕はベッドで目を覚ました。また夢か。そうだよね。僕に廃墟に夜中こっそり行くなんて勇気があるわけがない。


すべては。夢なんだから。


テレビのニュースには、高校生含む数名が行方不明事件また発生という、興味もわかない特集がやっていた。


僕の興味は、<<次またいつマモルとゴブリン退治できるのか>>それしかなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

マモル(ホラー) せら @thera

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

同じコレクションの次の小説