珈琲
青山 翠雲
第1話:沸騰
珈琲を淹れるのは、お湯を沸かす時点から始まっている。やはり、沸騰したお湯でないとダメだ。ちょっとでもぬるいお湯では台無しになる。ポツポツと沸き立ってくる気泡を経てグラグラと沸騰したお湯で淹れたものとでは、段違いの差が出てくる。
忙しい時に飲む即座即席に出来るインスタントコーヒーは便利である。が、珈琲がもたらしてくれる至福の時を享受しようと思ったら、やはり、豆から挽いた粉にじっくりと熱々のお湯をかけ、丁寧に蒸らし、抽出するレギュラーコーヒーに断然軍配が上がるのは論を俟たないところだろう。
それは、やはり手間と時間をかけた分だけ、立ち昇る馥郁とした香りと味が違うのである。珈琲には酸味がエッジとして効いているキリマンジャロ、コクが豊かなコナ、フルーツのような香りを放つケニアなど数多く種類あれど、筆者が普段、愛飲するのは、苦味の中にもほんのりとした甘みが感じられるモカだ。
そして、ミルクを入れ、わざと混ぜずに自然とゆっくりとブラックコーヒーの中に白いミルクが溶け合っていく様を見つめるのが、何度見ても、なんとも言えずに好きなのである。人生が感じられるかのようだ、と言っても過言ではない。
滅多に入れないが、たまーにちょっと身体が弱ったときなどに砂糖を入れて飲んでもまた優しさに包まれたようで、心が解放される気分になる。
そして、小説の執筆時や気合を入れて勉強をする時など、覚醒や集中、アドレナリンやカンフル剤としての効用もあり、かつ、また沈静と落ち着き、リラックス効果も同時にもたらしてくれるというなんとも不思議なオトナを魅了してやまない液体が珈琲である。
この苦み走った子どもの時分には、到底理解不能と思われた不思議な飲み物と一緒に人生や文筆というものを味わっていきたいと思う。そのために、私もここ数日、語りたいテーマとして脳内に生じつつあった気泡を限界まで
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