第2話『ヤケクソ』
「あー、もう無理。限界……」
少女はそう吐き捨てると、自分の頭髪に指を突っ込み、乱暴に上に引き上げた。
ベリリッ、と
中から現れたのは、手入れもされずボサボサに広がった、ウルフカットの金髪だった。
彼女はさらに、顎のあたりに爪を立てて薄いシリコンの
「ふぅ……。暑っ。マジで死ぬ。なにこれ、今の女子高生って正気? スカート短すぎだし、風通し良すぎて腹壊すわ」
彼女は、胸元に詰め込んでいたパットを
「胸盛るのにも労力使うの意味わかんない。今の子はみんな可愛いね、ホント。中身が『兵器』としてしか育てられてないと、こういうコスプレ、精神的苦痛でしかないわけ。ねえ、聞いてる? おじさん」
背中を壁に預けて震えていた男――かつて裏社会で名を馳せた伝説の情報屋は、ガチガチと歯を鳴らしていた。
「お、お前……あの業界で噂だったあいつか……?」
「そうだよ、将来の最強予定だった殺し屋。あんたが余計なタレコミしなかったら、今頃殺し屋業界も組織もあったはずなんだ。私の初任務、当日の朝なくなってさ、信じられる? ずっと暗いところで、友達もいないで、殺人技術だけ叩き込まれて。やっと社会に出て金
彼女はジト目のまま、フラフラと男に歩み寄る。その足取りは危ういように見えて、重心が一切ブレていない。
「職もない。金もない。将来もない。住所不定無職の二十三歳。全部あんたのせい。あんたが『業界を浄化する』なんて正義感出したせいで、私はただの『人殺ししかできないニート』になっちゃったんだよね。これ、完全に詰んでるでしょ?」
「待て、それは……みんなを解放してやるために……!」
「解放? 笑わせんな。腹減るんだよ、人間は。解放されたところで、コンビニの廃棄弁当を
彼女は
ドゴォッ! という、肉体の音とは思えない破壊音が響く。
厚さ20センチはあるコンクリートの壁が、彼女の拳の形に
「いっ……てぇ……っ!」
彼女は即座に手を引っ込め、涙目で拳を振った。
「あー、マジ痛い。力加減ミスった。これだから
痛みでさらに機嫌を悪くした彼女は、太もものホルダーからナイフを抜き身で取り出す。
「もういいや。あんたを殺して、闇サイトに動画流して
金髪をかき
その身勝手で切実な願いはナイフに込められていた。
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