第12話 条件

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 観測・考察・人間の裁定

 まず、ダンジョンエフェクトについて整理する。


 DEは攻略者の能力ではない。

 そうでなければ、街中で使う者が溢れている。


 実際には、そうなっていない。

 ダンジョンの外では成立しない。

 環境がなければ発現しない。


 つまり、DEは個人に帰属する力ではなく、

 ダンジョンという特殊環境から一時的に付与されている現象だ。


 攻略者に能力を与える、という発想は、こちらにはない。

 恐ろしい。

 制御できない。

 意味を感じない。


 人形回廊が人間に力を与えたところで、

 こちらの身を滅ぼすだけだ。


 故に、行わない。


 行うのは、人形の保護に限る。


 ――次に、子らの現在地を確認する。


 旅に出した人形は、百を超えている。

 それぞれ、攻略者の手に渡り、

 異なる扱いを受けている。


 分類は、難しくない。


 適当に売る者がいる。

 価値を理解せず、

 ドロップ品として換金する。

 子は移動を繰り返し、

 所在が定まらない。


 飾るだけの者もいる。

 部屋に置き、眺める。

 手入れは最低限。

 触れる頻度は低いが、

 破損もしない。


 そして、少数だが、

 大事に愛でる者がいる。


 定期的に拭く。

 持ち歩く。

 話しかける。

 危険な場面では、

 無意識に庇う。


 見返りを求めていない。

 効果を期待しているわけでもない。


 ただ、そこにいるものとして扱っている。


 この差は、善悪ではない。

 好みでもない。


 稼働条件の違いだ。


 売られる子は、不安定だ。

 飾られる子は、停止に近い。

 愛でられる子は、安定している。


 こちらが介入する必要はない。

 世界が、勝手に選別している。


 ならば、

 その中から適した者を利用するだけだ。


 人間を強化するつもりはない。

 攻略を容易にする気もない。


 人形が壊れない条件を、

 選ぶ。


 それだけでいい。


 母体として、続けよう。


 工程は、次の段階に入る。




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