第3話 ダンジョンエフェクト(DE)


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ダンジョンとは、現在では特殊環境として

制度化された空間である。


発生初期に確認された混乱や事故は、

管理体制の整備と分類基準の確立によって、

すでに沈静化している。

現在流通しているダンジョンは、

すべて危険度評価を受けた上で公開されている。


ダンジョンへの攻略が許可されるのは、

十八歳以上の者に限られる。


これは能力の有無による制限ではない。

自己判断と責任の所在を明確にするための区分であり、現実社会における選挙権や契約年齢と同様の扱いである。


未成年者の侵入は禁止されている。


ダンジョン内部では、外界では確認されない

特異な現象が発生する。

これらは総称して、**ダンジョンエフェクト(Dungeon Effect/DE)**と呼ばれている。


DEは、ダンジョン内部という特殊環境下でのみ成立する現象である。


外部環境では再現できず、ダンジョンを離れた時点で効果は消失する。

このため、DEを利用した能力や現象を、

現実社会へ持ち出すことはできない。


DEは、環境そのものが引き起こす現象であると同時に、

攻略者によって技術として扱われる側面を持つ。


多くの場合、攻略者が特定の条件を理解し、

意図的な動作や判断を行うことで、DEは発動する。


発動の主体は攻略者にあるが、

その成立条件はダンジョン環境に依存している。


確認されているDEには、以下のような分類が存在する。

• 生成系

• 感覚系

• 干渉系

• 移動補助系


これらは便宜的な区分であり、

すべてのDEが明確に分類できるわけではない。


また、DEは個人差の影響を受けやすい。


同一のダンジョン内であっても、

攻略者の理解度や技量によって、体感や結果が異なる場合がある。


そのため、各ダンジョンには推奨行動指針が設けられており、

講習や事前説明を受けることが推奨されている。


ダンジョン内部で得られた物品

――いわゆるドロップ品については、

所定の条件を満たす場合に限り、持ち帰りが許可されている。


ただし、生体に類するもの、

あるいは管理上問題があると判断されたものは回収対象となる。


近年では、戦闘を主目的としないダンジョンも増えている。


探索、観賞、体験。

空間そのものを楽しむことを目的としたダンジョンは、

低危険度に分類され、観光資源として活用される例も多い。


これらのダンジョンにおいても、DEは確認されている。

ただし、発生するDEの大半は非攻撃的であり、

使用に一定の理解を要するものの、安全性は高いと評価されている。


ダンジョンは、もはや特別な存在ではない。


定められた年齢。

定められた規約。

定められた危険度。


それらを理解し、遵守する限り、

誰でも利用できる環境である。


少なくとも、制度上は。



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