すずめちゃん……ナニをしたかったの?

「ふぅ、疲れたー」


「だねー」


 私とすずめちゃんは制服のまま家に向かった。途中でお菓子や飲み物も買って準備万端だ。


 まぁ、例の合言葉がなにか全く見当がつかないことは一番の問題だけど。


 そういえば、私とすずめちゃんが二人で帰っているところを、なぜか栞ちゃんがジトーっと見てたんだよな。


 私じゃなくてすずめちゃんに注目してくれてると信じとこう。


 今日のお昼ご飯は栞ちゃんとすずめちゃん二人でなんか話してたみたいだし、何話してたかはわからなかったけど、めちゃくちゃ尊かった。


 話している二人を思い出してニヤニヤしていると、すずめちゃんが話しかけてくる。


「あの、さ」


「え?」


「栞ちゃんとどういう関係なの?」


「え、あー……」

 

 私はその質問に言葉を詰まらせてしまう。ここでミスをしてしまったら展開に支障が出ると思ったからだ。


 まぁ、無難に友達って言っておくか。


「友達だよ、なんかたまたま公園で会っただけ」


「……ふーん、そうなんだ」


 な、なにその答え方。


 スクールバックをゆらゆらと揺らして、意味ありげに顔を背けた。私は気にしつつも、沈黙を選んだ。


 だが、すずめちゃんは話をそのまま続ける。


「別に、”あれ”には支障ないんだよね」


「え? ああ、うん。多分……」


「ならいいか……」


 だから”あれ”ってなんだよー! と叫びたい気持ちをぐっとこらえて、家までなんとか雑談で繋いでいった。


 そして家に着いた。


 今日はお母さんがいるはずだけど……。


「ただいまー」


「…………」


 返事はなし。つまり出かけてしまっているということだ。


「なんか、誰もいないみたい……?」


「そう……おじゃま、します」


 なぜか顔を赤らめながら、靴をゆっくりと脱ぎ始めた。その姿すらもなぜか絵になる。



「久しぶりに来た気がする」


「まぁ、たしかにそうだね」


 前にいつ来たとか全然知らないんだけど。


 私がベッドに腰を掛けると、勉強机の上にお菓子や飲み物を置いてすずめちゃんもベッドに腰を掛けた。


 そして沈黙が続いた。


 ちょっと待って何? なんでこんなに気まずい雰囲気が出てるの?


 っていうかさっきから顔を赤くしてなんでそんなもじもじしてるの、原作じゃ照れ知らずの無自覚たらしキャラだったじゃん!


「……あの」


「はい!?」


 小さな声で沈黙を破った。私は突然の言葉に声が裏返ってしまう。


「まだ、”あれ”するには時間あるし話したい事ってなに?」


「え、ああ。実は……」


 私はベッドから立ち上がって、本棚を開いた。すると、すずめちゃんの目が次第にキラキラと光り輝いていく。


「え、え。もしかして更紗ちゃんってこういうの好きなの……?」


「そうなんだ、すずめちゃんももしかしたら好きなのかなって……」


 その言葉を聞いたすずめちゃんが、驚いたように目を見開く。


「え……でも私、誰にもそんなこと言ってないし、なんで……?」


「好きな物が一緒の人同士は惹かれ合うんだよ」


「そっか、でもすごい!!」


 私の本棚の中を見て、すずめちゃんが完全に虜になっていた。


 そう、私が話したかったのは漫画やアニメの話だ。


「これ! 私も好きなやつ!」


 一つの漫画を手に取って嬉しそうに私に話してきた。


 この世界の漫画やアニメも受け継がれていたため、すずめちゃんが実は漫画やラノベ、アニメが好きという話題にもついていける。


 そして前世では友達一人おらず、ネットの人と語り合うだけだった私にとって、同級生の女の子とこういう話をするのはとてつもない憧れだった。


 原作ではすずめちゃんのオタクバレはかなり後で、『他のヒロインにオタクということがバレるまでこういう話できたくて寂しかった』とファンブックに書いてあったのだ。


「私もそれ好き!」


 やばいやばい! こんな可愛い女の子、そして夢にまで見た作品の主人公とこんな会話ができるとは……私、もう死んでもいいかも。


 それから小一時間、いや三時間ほどアニメや漫画について話した。


 そして、お菓子や飲み物が無くなってきた頃……。


「あ、もうこんな時間」


「あ、ほんとだ」


 スマホを見ると、18時半を過ぎていた。


 楽しかった。こんなにも語り合うのが楽しいとは知らなかったよー。


 心の中でうれし泣きをしていると、すずめちゃんが目線を落とした。


「嬉しいな。私、アニメに憧れて頑張って明るくしてたけど、こんなに素で話せるなんて思わなかった」


「私も嬉しいよ!」


 私も素で笑顔になってしまっていた。すると、すずめちゃんは、はっと顔を上げて笑い返してくれた。


 楽しかったな、でもなんか忘れてるような……。


「じゃあ、”あれ”しよっか」


「えっと……――」


「――ただいまーって、誰か来てるの?」


 一階から声がした。


 すると、すずめちゃんは焦ったようにバタバタと鞄を隠した。


「って、あれすずめちゃんじゃない」


「あ、お邪魔してます……」


「あら? なんかいっぱい荷物持ってきてるわね、お泊りでもするの?」


 お母さんはなぜかパンパンに膨らんでいるすずめちゃんの鞄を見た。


「いや! ちょっと体育の体操着とかを……」


 あはは、と誤魔化すすずめちゃんをただ私は見ることしかできなかった。そしてお母さんは「あら大変ねー」と一階へ帰っていった。


 すると――。


「……ちょ! なんで今日お母さん帰ってきてるの!?」


「……へ?」


「久しぶりにできると思ったのに……もう!」


「あ、待って――」


 と言い終わる前にすずめちゃんが部屋から出て「お邪魔しましたー!」と大きな声で聞こえた後、すぐに家から出たようだった。


 私はポツン、と家に取り残されたまま呆然としてしまう。


 なにをしようとしてたんだろう。


 すると、ピロンと通知が鳴り、スマホを見るとすずめちゃんからだった。



『家に親がいない時にしてって言ったよね!』



 家に親がいない時にしかできないこと……? って、なに!?



『ゴメン、なにしたかったの?』



 私がそう、メッセージを打つとすずめちゃんから驚きのメッセージがすぐに帰ってきた。





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【あとがき】

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