原作でモブの私に、なぜか秘密の合言葉があるんですが!?
「「――アマナイよね(かなぁ)」」
言った言葉が丸々一緒だった。私たちは再び目を合わせ「あ」と呟いた。
アマナイ。それはこの世界に登場する、素晴らしい遊び場だ。
基本的には遊園地のような娯楽施設だが『アマナイ』は色々と違う。
「やっぱアマナイが候補に出るわよね、最近人気らしいし」
「だよね、でも私が行っても浮かないかな……」
こんな私見たいなモブが行ったら浮いてしまうような気もする。
アマナイとは『アマイナイトプール』という名前の略で、女性だけのスイーツパラダイスとナイトプールを合わせた、いわばパーティーのようなものだ。
「よくその見た目で自信が持てないわね……」
由愛は自分の胸をちらりと見て、ため息をついた。ナイトプールともなれば水着にもなるわけで、そういう大きさも気になってしまうのだろう。
「私だって、高校生になったら多少成長すると思ったのに……」
「まぁまぁ、まだ長いから大丈夫。絶対成長するよ」
私は知っている。由愛のその小さなものは、今後ほとんど成長しないことを。
「そうね、ありがとう。でもアマナイいいんじゃない? 結構話せるスペースもあるらしいし、かなり楽しいらしいよ」
「考えてみよっかな。ありがとう由愛」
由愛に微笑むと、呆れた顔で微笑み返してくれた。
「いいわよ、友達の悩みだしね」
「えっ、友達認定してくれるの?」
由愛は人のことを友達認定するまでかなり時間がかかるタイプだったのに。
由愛はなぜか恥ずかしそうに言った。
「……べ、別に深い意味はないから」
そう言って由愛はそっぽを向いた。私はその横顔を見ながらなぜか安心してしまった。
か、可愛い……。
*
結局由愛とは連絡先も交換し、完全な友達になった。ベッドにダイブし、少し考える。
まさか由愛と話すことができるとは。最初はどうなることかと思ったけど、展開的には多分問題ないし、すずめちゃんたちをくっつけるアドバイスももらったし一石二鳥かな。
頭の中で由愛のことを思い浮かべる。
っていうか、同い年とは思えない可愛さしてたな。
「って、明日すずめちゃん来るんだから片付けておかないと……」
眠くなっていたところ、私は無理やりベッドから起きて部屋を見渡す。
前世のくせからか、部屋を片付ける習慣が身についていなさ過ぎて、至る所に漫画やゲーム、服が散らばっていた。
私は結局夜中まで片づけをする羽目になるのだった。
*
「うはー……」
私は席に着いた途端机にペタっと頭を付けた。すると、隣にいたすずめちゃんが声を掛けてきた。
「おはよう……って、大丈夫?」
「うん……」
前世とは違う体だからか、徹夜に慣れてなさ過ぎて体が重い。
昨日は色々あって疲れたし、尚更か。
「ちょっと更紗ちゃん?」
「はい!」
聞いたことのある声が聞こえ、重い体も反射的にびくっと起きた。私の目の前に立っていたのは栞ちゃんだった。
「どうしたの?」
「どうしたのじゃなくて、私昨日連絡するねって言ったよね?」
呆れた声色でそう問い詰められた。
連絡連絡……昨日のお昼……。
「…………あ」
そういえば夜に見たとき来ていたのを確かに見た。でもすぐに連絡を返したらモブでは居られない気がして、結局後回しにしたんだった。
……やってしまった。
「ごめんなさい……」
私が真剣に謝ると、一拍開いてから……。
「ふふ」
「……え?」
「あ、ごめんごめん。実はそんな怒ってたわけじゃないんだ」
栞ちゃんはからかうように少し笑いながら話を続ける。
よかった、私まで仲が悪くなっちゃったら元も子もないからな。
「でも、ちょっと悲しかったんだからね」
「ですよね、スミマセン……」
「その代わり、今日も連絡するから話してよね!」
「もちろん!」
私は意気揚々と返事をした。すると栞ちゃんも満足したように、自分の席へ帰っていった。
「なんか、栞ちゃんってあんな明るいタイプだったっけ」
「いや、まっっったく違う」
すずめちゃんが不思議に思ったようでそう訊いてきた。だが私は全面的に否定をする。
原作でも最初はかなり大人しい性格だった。というか、すずめちゃんと仲良くしていくうちにどんどん明るくなって行ったはずだ。
でもおかしい、こんな序盤であんな明るくなるわけがない。今日の夜訊いてみよっと。
「あ、そうだ。今日放課後遊ぶ約束大丈夫?」
「ああ、もちろん大丈夫だよ」
「おっけー。じゃあ久しぶりに”あれ”お願いねっ」
「…………”あれ”?」
嬉しそうにニコッと口角を上げた。まるで秘密の合言葉を話しているみたいだ。
ちょっと待って、”あれ”ってなんだ!?
原作では義井更紗はただ最初に友達になっただけの”モブ”なはず……主人公とも特に特別な関係などはない。
私は嬉しそうに授業の準備をするすずめちゃんを見て、私は嫌な予感を感じていた。
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【あとがき】
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