第18話 〈設計者〉が“保護=拘束”を暴く
――守られている者ほど、動けない
〈設計者〉は、
数を数えていた。
〈共感者〉の周囲にいる人間の数。
偶然を装った、
王派の配置。
「増えたな」
独り言のように、
呟く。
〈共感者〉は、
不安そうに笑う。
「心配されてるだけでしょ」
その言葉が、
もう答えだった。
〈設計者〉は、
否定しない。
「うん。
心配だと思う」
間を置く。
「だからこそ、
怖い」
〈共感者〉は、
首を傾げる。
〈設計者〉は、
焚き火の周囲を
ゆっくり指差す。
「今さ」
「君がどこ行っても、
“たまたま”誰かいるだろ」
〈共感者〉は、
気づいてしまう。
確かに。
水場。
見張り。
焚き火。
休憩。
全部、
誰かが先にいる。
「これ、
守り?」
〈設計者〉は、
優しく聞く。
〈共感者〉は、
言葉を探す。
「……善意?」
〈設計者〉は、
頷く。
「うん。
完全に善意」
「だから、
厄介なんだ」
〈設計者〉は、
石を一つ拾う。
地面に、
円を描く。
「ここが、
君」
円の外に、
線を重ねる。
「これが、
保護」
さらに、
太くする。
「で」
少し間を置く。
「これが、
檻」
線は、
同じだった。
〈共感者〉の、
息が止まる。
「守られてる間は、
逃げられない」
「でも」
「逃げようとした瞬間、
“裏切り”になる」
〈設計者〉は、
視線を合わせる。
「王は、
君を信頼してる」
「だから」
「君が動くと、
“信頼を裏切った”
って物語が完成する」
〈共感者〉の、
指先が震える。
「これ、
処刑より綺麗だろ」
〈設計者〉は、
淡々と言う。
「殺さない」
「閉じ込める」
「しかも、
感謝されながら」
〈共感者〉は、
小さく呟く。
「……優しい」
〈設計者〉は、
即座に答える。
「優しいよ」
「だから、
否定できない」
〈観測者〉の記録。
設計者、
王の支配構造を
言語化
共感者、
状況を認識
精神拘束:成立
〈共感者〉は、
しばらく黙っていた。
そして、
聞く。
「……じゃあ、
私はどうすればいい?」
〈設計者〉は、
少しだけ笑う。
「檻は、
中から壊せない」
「でも」
焚き火の向こうで、
王派の誰かが
こちらを見ている。
「外から
“守る理由”を
無くせばいい」
〈共感者〉は、
理解する。
自分が安全である限り、
檻は完成する。
夜。
〈共感者〉は、
初めて思った。
――誰かに
守られたいなんて、
思ってない。
そして〈王〉は、
まだ知らない。
自分の
最も美しい統治が、
最も醜い言葉で
説明可能になったことを。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます