EP12


夕暮れ時の茜色に染まった王城の広場。

今日も訓練を終えたクラスメイトたちが、

ボロ雑巾のように疲れ果て、城の中へと消えていく。


前回の遠征。いわゆる当たりスキルを当てた者たちが

大敗し、意識失って王国の兵士に担ぎ込まれてた光景は、

クラスメート達に少なからず動揺を与えた。

しかも、意識があった一部の生徒によると、

相手はたったの一人だったそうだ。

異世界を舞台にした、漫画やゲームで、主人公が活躍する作品に多く触れていた者にとって、この事実は重くのしかかっていた。

これは紛れもない現実だと。

この件を重く見た王国側は、

生徒を有用なものとそうでないものに分け、

強力なスキルを持つものは個別指導、そうでないものには、

「スキル向上」という名目の過酷な特訓を強いていた。

指導に当たるのは、血も涙もない王国騎士団だ。

毎日、日が昇る前から日が落ちるまで、

筋肉痛になる暇もないぐらい、訓練が続き、

すでに何人かの心は折れかけていた。


「お疲れさまです、ナルセ様!」

麗しい美少女メイドたちが並び、聖剣士というスキルを当てた

爽やかなイケメンに挨拶をする。彼はやあと笑顔で声をかけながら差し出された、冷えた飲み物と香りの良いタオルを受け取る。

一部のメイドは自ら進んで成瀬の汗を拭い、密着して甘い声を上げている。

それを羨ましそうに、あるいは憎々しげに眺めているのは、

いわゆる「普通スキル」持ち、二軍・三軍扱いの俺たちだ。

過酷な訓練終えた俺たちの前にはメイドどころか、

水一杯すら用意されていない。


「はぁ……今日も疲れたな……」


建物を背に、その不公平な光景を見ていた俺

―田村は、力なく呟いた。


俺のスキルは【錬成】。

元の世界のアニメやラノベなら主役級のスキルだが、

この国では同じスキルを持つ職人が腐るほどいるらしい。

結果、俺は「予備の装備を直す係り」として

三軍に放り込まれていた。

3軍はヘタをすれば、追放という罰が待っており、

これまでも何人かが王城を去っている。


「もー、成瀬君は私が拭いてあげるんだから!」

ドキッとする声がして、思わず目視線をそちらに向ける。

クラスのマドンナの美咲が、

甲斐甲斐しく成瀬の世話を焼き始めた。

「あはは、サンキュ美咲。

やっぱりお前の癒やしが一番効くわ」

成瀬が当然のように美咲の腰を引き寄せる。


思わず、開いた口が塞がらなかった。

いつの間に、あの二人はあんな関係に……。

周囲を見ると、俺と同じく美咲に

淡い恋心を抱いていた男子たちが、

絶望と驚愕の表情で固まっている。

俺も、ショックのあまり視界が滲んだ。


そういえば、彼ら、いわゆるクラスでのトップカーストである5人組には、国王からありがたいチーム名が与えられていた。

チーム名「聖なる輝き」だそうだ。

思わずだっさという言葉が出かかったが、飲み込んだ。

聖なる輝きのメンバーに与えられたのは名前だけではない。

例えば、

先ほどのような、麗しいメイド達によるお世話や、

食事は、王族並みの豪華な肉料理や果物が並ぶが、

俺たちの前に出されるのは、石のように硬く、

なんだかカビの臭いがするパンと、

じゃがいものようなものが少し入ったスープだけ。

外に出れば、コンビニやファストフードが

あった世界がものすごく懐かしい。


寝る間には全員お風呂にはいれるが、

有名なセリフに、

「風呂は命の洗濯よ」なんて言葉があるが、

この城では命を削る場所だ。

一番風呂は当然、成瀬たち「聖なる輝き」の特権。

彼らは自分たちの世話をする、

メイドを全員引き連れて風呂場に入り、

二時間ぐらいは出てこない。

ようやく俺たちの番になる頃には、

お湯はほぼ水だ。おまけに、なんだか獣のような、

生臭い、不快な匂いが充満している。

これじゃまるで「性の輝き」だ。


「……ふざけんなよ。俺たち、仲間じゃないのかよ……」


2,3軍の俺達の恨みは日に日に高まっていた。


そんな時、遠征の話がきまった。

おれは、スキルを使用していつか作ろうと思ていたものを

急いで作成した。幾ら錬金術師がこの世界にいようとも

この発想は自分にしかできないはずだ。

色々な要素を盛り込んだ資料と一緒に

聖なる輝きのもとへ、持っていくことにした

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追放されたバッドスキル【締め切り】持ちの俺、異世界で同人誌を配ったら、魔王軍の四天王がアシスタントになりました〜 @task7

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