第6話 公正報道委員会:的場文官の記録

 公正報道委員会。公正なる報道の自由を監督する国家行政委員会だ。公正法務省の外局に位置する。主にオカルト事件の隠蔽などを行うことが多い。国民を不安にさせるのは精神衛生的によろしくないという判断らしい。

 なぜ、所管が衛生保健省じゃないのだろうか。それは簡単だ。公正法務省こそ、最も公正に動く国家行政省だからだろう。少し笑ってしまいそうだ。公正? どこにあるのだろうか。真実はいつも闇の中。私ですら知らないことが多いが、知りたくもない。それは私の仕事ではないからな。


「こんにちは、お昼の放送です。まず始めにこちら、不明のビラが拡散されているニュースです」


 うーむ。放送を止めるべきだろうか。悩ましい問題だ。


「日の入りラヂオと書かれたこちらのビラ。私たちの取材によると、この団体は戦前より存在しているが判明しています」


 しかしな、調べればこの程度はわかる情報だ。この程度の情報に介入していては、国民からの信用にすら関わる。


「こちらの印刷会社から寄せられた情報です。商務経営省が……」


 商務経営省はまずいかな。流石に政府が動いていると思われるのはよろしくない。


かじくん、ここは切らせろ」


 これはリアルタイムで流れている放送じゃない。タイムラグがある。だからこそ切ることができるのだ。


「ここで一旦、CMです」


「政府広報より。国民の皆様へのお願いです。教育課程で嘘を嘘と見抜ける勉強を終えている皆様には不要な心配でしょう。しかし、それでも騙される人はいるのです。慢心せず、しっかりと向き合い調べ、確かめましょう。情報に囚われてはいけません。情報は受け取り、見るものです。不要な活動はやめましょう。政府広報より」


 政府のプロパガンダかな? そう思ってしまう。内閣情報分析庁の作成するコマーシャルにはセンスがない。もう少しなんとかならないのだろうか。胡散臭さが抜けていない。

 さて、商務経営省が動いているのか、例のビラには。まあ、私の仕事には関係ないな。


「今日の天気のコーナーです」


 いつの間にか、天気予報のコーナーになっていた。まあ、いつものことだ。さっきのようなことは滅多にない。止める必要がないのが普通なのだから。

  正直、公正な報道を見続けるのはとても忍耐のいることだ。私は暇である。ようはつまらないのだ。だが、それでも、この仕事はなくてはならない、国民最後の砦の一つになり得るだろう。情報の公正性は大切だ。

 行政委員会である点、政府からの独立性は担保されている。国民からもそう思われていてほしいと思っている。私たちの静かなる情報戦は、国家を守っているのだ。

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2026年1月11日 21:03

嘘つきだーれだ・嘘つき拡散希望〜 壊れたガラスペン @deck-

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