第3話 【神回】寝ている間に同接12万!? Sランク美女に「責任とって養わせて」と迫られました。一方、俺を追放した元パーティは炎上中

「……おい、嘘だろ。同接12万……?」


 雨が上がり、月明かりが差し込む代々木ダンジョン公園。 俺の手元にあるタブレット端末は、通知の嵐でフリーズ寸前だった。


 配信を慌てて停止した後も、アーカイブ(録画)の再生数が異常な速度で回り続けている。 SNSを開けば、トレンド欄は俺たちの話題で埋め尽くされていた。


『#放送事故』 『#氷の女帝アヘ顔』 『#謎の支援師』 『#神回』


 誰かが切り抜いて動画サイトにアップした『【放送事故】Sランク美女、謎のバフで絶頂しながらボス瞬殺www』という動画は、投稿からわずか10分で100万再生を突破している。


『なんだこの火力w バグだろ』

『いやそれより声! エロすぎんだろ!』

『俺もこのバフかけられたい』

『この支援師、こないだまで「ジャスティス・ブレイブ」にいた奴じゃね?』

『あー! あの後ろにいた地味な人か! クビになったって噂だけどマジ?』

『こんな有能をクビにしたとか、ジャスティス無能すぎワロタ』


 コメント欄は、「俺の魔法への驚愕」「レナの艶姿への興奮」、そして「元パーティへのざまぁ」で溢れかえっていた。  ……どうやら俺は、ヤケ酒を飲んで寝ている間に、一夜にして「時の人」になってしまったらしい。


「……ねえ、君」


 呆然とする俺の袖を、誰かがクイクイと引っ張った。 振り返ると、ミノタウロスを瞬殺したSランク探索者、神代レナが、潤んだ瞳でこちらを見上げていた。 破れたドレスから覗く肢体はまだ桜色に火照り、肩で息をしている。


「……責任、とってくれるわよね?」


「せ、責任?」


「だって……こんな身体にされたの、初めてだから……」


 レナが恥ずかしそうに太ももを擦り合わせる。 俺の【限界突破支援】は、一度味わうと脳がその快感を記憶してしまう。薬物ではないが、魔力回路が拡張されたことによる「飢え」のような状態になるのだ。


「身体が……まだ熱いの。君の魔力がないと、落ち着かない……。……お願い、連れて帰って」


「連れて帰るって、俺は家なしの無職だぞ?」


「……じゃあ、私の家に来なさいよ。……Sランクの稼ぎ、舐めないで」


 レナはふらつく足取りで立ち上がると、強引に俺の腕を抱きしめた。 柔らかい感触と、甘い香りが脳を揺らす。


「拒否権はないわ。……私の専属支援師(パートナー)になるって誓いなさい。そうすれば、衣食住もお給料も、全部私が面倒見てあげる」


 ……これは、いわゆる「逆玉」というやつだろうか。 俺はため息をつきつつ、彼女の身体を支え直した。 行くあてはない。それに、この震える美女を放っておけるほど、俺は聖人でも悪人でもなかった。


「……わかったよ。お世話になります、お嬢様」


 ◇◇◇


 一方その頃。 港区のタワマンの一室は、お通夜のような空気に包まれていた。


「な、なんだよこれ……! ふざけんな!」


 『ジャスティス・ブレイブ』のリーダー、カズマがスマホを壁に投げつけた。 画面には、ユウトの切り抜き動画が大写しになっていた。


「同接12万だと!? 俺たちの最高記録でも5万だぞ!? なんであのゴミ裏方がバズってんだよ!」


「カズマ……コメント欄、見て」  


 魔導師のリナが、青ざめた顔でタブレットを差し出す。


『ジャスティス見る目なさすぎw』

『こんな凄い支援師を「卑猥だから」ってクビにしたの?』

『お前らが雑魚だったのって、ユウト君がいなくなったからバレるんじゃね?』 『チャンネル登録解除しました』


 ユウトを追放したことが特定され、彼らのチャンネルには批判殺到の「炎上」状態になっていた。 登録者数も、ここ数時間で1万人以上減っている。


「う、うるさい! あんなのマグレよ! たまたま放送事故でエロい声が出たから釣られただけでしょ!」  


 聖女のアリスがヒステリックに叫ぶ。


「そうよ。あんな下品なバフ、長続きするわけないわ。私たちはクリーンな路線で売ってるんだから」


「そ、そうだ……! 俺たちは間違ってねえ!」


 カズマは震える手で髪をかきむしった。 だが、彼らの目には焦りの色が濃く浮かんでいた。 ユウトがいなくなった今、明日のダンジョン攻略配信で、彼らは「真の実力」を晒すことになる。  


 その恐怖に、彼らはまだ気づこうとしていなかった。


~~~~~~~~~~~

#1~#3までお読みいただきまして、ありがとうございます!

#4は1月4日の19:20 #5は同日22:20に公開し、

以降も、同じように、日ごとに2話ずつ公開して参ります。


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