第9話 フードコート⑨

たまには寄り道も悪くないものです。

今度はどこに行きましょうか?

そんなことを考えながら、私は家路についたのでした。

王都の中でも有数の大通りであるブラッド通りを歩いていると、突然声をかけられた。

振り返るとそこには、私と同じように覆面で顔を隠した女性が立っていたのです。

よく見ると、腰にはポーチのようなものをつけているようです。

どうやら旅人のようだが……一体何者だろうか?


少し警戒していると、彼女が再び話しかけてきた。


「あの……貴方は、この街の住民ですか?」

と聞いてきた。

なので正直に答えることにした。


「はい、私はこの街の住人です」


そうすると彼女は安心したような様子を見せた後、一枚の紙を私に差し出してきたのです。

なんだろうと思って受け取ると、そこにはたくさんのお店の名前が書かれていました。

それを見ているうちに段々興味が湧いてきましたので聞いてみたところ、彼女は丁寧に説明を始めてくれたのです。

まず最初に紹介されたのは、大通りにあるお店でした。


名前は

『グリル』

といい、主にステーキを中心に提供しているようです。

値段もリーズナブルで味も良いということで評判だそうです。

次に紹介されたのは、路地に入ってすぐのところにあったお店でした。

こちらは小さなカフェのような雰囲気で、店内には落ち着いたBGMが流れていました。


メニュー表を見ると、パスタやカレーといった定番のものから意外な組み合わせのものまでありましたのでかなり迷いましたが……最終的にはハンバーグセットを頼むことにしました。

料理を待っている間、店内を見回してみると、落ち着いた雰囲気の内装になっていて居心地が良い感じがしました。

また、店員さんも親切で愛想がよく、好感が持てました。

しばらくすると、注文していたものが出てきました。

ハンバーグは肉汁たっぷりでとてもジューシーでしたし、付け合わせのポテトサラダとスープも絶品でした。

特にスープは濃厚な味わいで、思わずお代わりをしてしまいたくなるほどです。

このお店を選んで正解だったと思いました。


その後も、街の大通りを散策しながら様々なお店で食事を楽しむことができました。

その中でも特に印象に残っているのは、最後に立ち寄ったカフェ&バーです。

店内はまるで映画のセットのようにレトロな雰囲気があり、とても落ち着いた雰囲気に包まれていました。

メニュー表を見ると、コーヒーや紅茶はもちろんのこと、軽食やデザートまで幅広く揃っており、目移りしてしまいましたが……結局私はチーズケーキとホットコーヒーを注文することにしました。


運ばれてきたチーズケーキはとても濃厚でクリーミーな味わいでしたし、コーヒーともよく合いました。

窓から見える景色を眺めながらゆったりとした時間を過ごすことができたのは、とても贅沢な時間でした。

また行きたいと思います。

そして、お腹がいっぱいになった後は、街の中心部にある広場にやってきました。

ここでは定期的に市が開かれているようですので、お買い物も兼ねて行ってみることにしました。


露店には多くの人が訪れており、賑わっていましたが、その中でも特に目を引いたものがありました。

それは大きな熊の置物でした。

大きさは5メートルくらいはあるでしょうか?

とても迫力のある作品です。

値段は100万円ということでした。


さすがにそこまでお金はありませんので諦めましたが、いつか余裕ができたら手に入れてみたいと思います。

また、少し離れた場所にはアクセサリーを扱っているお店もありましたので覗いてみることにしました。

店内に入ると、様々な種類のアクセサリーが並んでいる光景に目を奪われてしまいました。

どれもこれも素敵で迷ってしまいますが……最終的に私が選んだのは指輪でした。

青い宝石がついたシンプルなデザインのものを選びました。


値段は少し高かったのですが、思い切って買ってしまいました。

早速指にはめてみると、まるで最初からそこにあったかのようにぴったりとはまりました。

とても満足感に浸りながら帰路につきました。

その後、街の中心部にある宿屋に泊まることにしました。

ここは比較的安めの料金設定だったのと、設備が充実している点が気に入ったので決めました。


部屋に入ると、ベッドの上で横になりながら今日の出来事を振り返っていました。

最初は不安だらけでしたが、実際に行ってみると楽しかったですし、良い経験になったと思います。

また機会があれば訪れたいと考えています。

そうしていると、突然ドアをノックする音が聞こえてきました。

どうやら来客のようです。


扉を開けると、そこには覆面をかぶった女性が立っていました。

彼女は一礼すると、すぐに本題に入ろうとしてきました。

彼女は私に依頼したいことがあると言ってきましたが、その内容を聞いた私は驚愕しました。

なぜなら、それは信じられないようなものだったからです。

覆面の女性が話しかけてきます。


「実は、あなたに協力してほしいことがあるのですが…………」


そう言うと、彼女はバッグの中から一冊の本を取り出して見せてきました。

それは古びた日記帳のようなものでした。

表紙には何も書かれていないので、タイトルは不明です。

ページをめくると、そこにはびっしりと文字が書き込まれていました。

最初のページには、日付と簡単な挨拶が書かれていました。


次のページには、何やら難しい言葉が並んでいましたが、意味はわかりませんでした。

その後のページにも同様の文章が続いていたので、おそらくこの本の著者の日記か何かだと思うのですが……それにしてもすごい量です。

全部読むのは大変そうです。

とりあえず、ぱらぱらと流し読みしてみることにしました。

そうすると、気になる文章を見つけました。


そこには、以下のようなことが書かれていました。

私はこの国に住んでいるが、最近異変を感じているのです。

どうやら、王宮に怪しい人物が出入りしているようなのだ。

もしや、何か企んでいるのではないかと思う。

念のため調べてみたほうがいいかもしれない。


そう思うのは、私だけではないはずだ。

しかし、下手に動けば危険が及ぶ可能性もあるのです。

だからこそ、慎重に行動しなければならないのだ。

まずは情報収集から始めようと思う。

何かわかるかもしれない。

というわけで、今日はここまでにしておこう。

また明日も続けていこうと思う。

そう締めくくられていました。


それ以降のページにも似たような文章が続いているようでしたが、流石に全部読むのは時間がかかりすぎると思い、諦めることにしました。

覆面の女性に目を向けると、彼女も同じことを考えていたらしく、肩をすくめながら苦笑いをしていました。

どうやら彼女も内容を把握できていないようです。

そんな彼女に向かって、私は尋ねてみました。


「ところで、この本は一体何なのでしょうか?」


そうすると、彼女は困ったような表情を浮かべながら答えてくれました。

どうやら、この本は彼女の友人が残したものらしく、詳しいことはわからないということでした。

ただ、一つだけ確かなことがあります。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

フードコートが大好きな令嬢の食いしん坊と食べログな日々~私にはこれしかない~ 一ノ瀬 彩音 @takutaku2019

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画