第33章 —ついに、答えが来た
――答えが来た。
言葉ではない。
警告でもない。
殲滅だった。
今回は空は裂けなかった。
剥がれた。
現実の層が一枚ずつ引き剥がされ、
その下にある“見てはいけないもの”が露出する。
アレン・ノクティルは四方からの圧力に叩きつけられ、膝をついた。
「ぐ……!!」
膝が地面を抉る。
【エコー暴走】
【強制抑制開始】
「触るな……ッ!!」
遅すぎた。
空気が悲鳴を上げる。
“存在”が降りてきた。
落ちるのでも、現れるのでもない。
――主張した。
すべてが止まる。
燃え盛る炎。
宙に浮く瓦礫。
音すら死んだ。
そして――
声。
『お前は、許容存在域を超えた』
反響しない。
振動もしない。
現実を書き換える声。
アレンは歯を食いしばり、血を垂らしながら顔を上げた。
「やっと喋ったな……」
前方の空間が折り畳まれ、
一つの輪郭が形成される。
翼も顔もない。
頭部の位置には王冠のような歪み。
『己の罪を理解しているか』
アレンは笑った。
壊れた。
歪んだ。
正気ではない笑い。
「ああ」
掠れ声で言う。
「存在したことだ」
圧力が跳ね上がる。
肋骨が砕け、
背骨が歪む。
「アアアアァァァァ!!!」
叫び。
反抗ではない。
怒りだ。
それでも立ち上がる。
血を吐きながら、指を突きつける。
「お前らが殺した」
「見てた」
「何もしなかった」
沈黙。
そして――
『ルネスラは不要と判断された』
世界が壊れた。
アレンは咆哮した。
エコーが球状に爆発し、周囲を蒸発させる。
「不要だとォォォ!!!?」
現実が裂け、
歪みは初めて後退した。
声が割れる。
「泣いてた」
「助けを求めてた」
「信じてたんだぞ!!」
拳が震える。
「それを……不要だと?」
突進。
瞬間移動ではない。
走った。
一歩ごとに空間が砕ける。
歪みが腕を上げる。
遅い。
隕石のように衝突。
衝撃が街を引き裂く。
空が黒く血を流す。
「見ろォォ!!!」
何度も殴りつけながら叫ぶ。
「これが!お前らの作ったモノだ!!」
『エラー』
『エラー』
『観測不能』
王冠が砕けた。
存在が悲鳴を上げる。
音ではない。
次元を跨ぐ悲鳴。
アレンは吹き飛ばされ、地面を削り、皮膚が裂け、骨が露出する。
動かない。
一瞬。
そして――笑う。
低く。
掠れ。
生きている笑い。
「……悪くない」
【致命的損傷】
【生命信号:不安定】
ふらつきながら立ち上がる。
血塗れの手を空へ掲げる。
「次は」
「もっと連れて来い」
圧力が消える。
空が閉じる。
――恐怖から。
アレンは片膝をつき、咳き込んだ。
「……逃げろ」
「覚えてるうちにな」
遥か彼方で――
古き存在が、確かに震えた。
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