第30章 — 最初に降りてきた神
空が――開いた。
穏やかでも、
儀式的でもない。
引き裂かれた。
暴力的な光柱が降り注ぎ、
空気を押し潰し、
瓦礫を粉砕し、
数キロ圏内のすべてを地に伏せさせた。
神性。
生。
剥き出し。
傲慢。
光の中から、
現実を歪める光輪を纏った存在が降り立つ。
足は地に触れていない。
神だった。
「これ以上進めば」
声が四方から響く。
「この区画ごと消去する」
アレン・ノクティルは――笑った。
優しくもなく、
正気でもなく。
喉が焼けるまで笑った。
「やれよ」
掠れた声で言う。
「消せ」
神の眼が細まる。
「慈悲を弱さと履き違えるな、スローン・ブレイカー」
アレンが一歩踏み出す。
地面が砕けた。
「生き残っただけだ」
「許した覚えはない」
システムが悲鳴を上げる。
【警告】
【神格の直接介入】
【生存確率:3.1%】
アレンは血を拭い、笑った。
「十分だ」
神が手を上げる。
空間が潰れた。
見えない圧がアレンを叩きつけ、
骨を砕き、
血が口から噴き出す。
普通なら即死だ。
アレンは――叫んだ。
痛みではない。
憎悪で。
「AAAAAAAAA!!」
何かが壊れた。
力ではない。
“鍵”だ。
虚無。
鎖。
ルネスラの最期。
天の嘘。
エコーが燃え上がる。
世界が反転した。
圧が消える。
神の表情が変わった。
――恐怖。
アレンは立ち上がり、
震えながら、
血に濡れたまま見上げる。
「一人で来たのが間違いだ」
距離が折り畳まれた。
次の瞬間、
拳が神の身体を貫く。
爆発ではない。
玉座が割れるような――**音**。
神が悲鳴を上げる。
黄金の血が空を染めた。
「あり得――」
顔を掴み、
地面に叩きつける。
一度。
二度。
何度も。
「俺を裁くなッ!!」
光輪が砕け、
光が死んだ。
残ったのは、
這いずる神。
アレンは見下ろす。
息を荒くし、
赤い瞳で。
「帰れ」
低く唸る。
「そして伝えろ」
屈み、
震える声で囁く。
「俺は血を流す」
「だが次は――」
笑った。
「殺す」
神は砕けた光となり消えた。
空は閉じた。
沈黙。
アレンは膝をつき、
血を吐き、
弱く笑う。
「……ああ」
「今のは、効いただろ」
その上で――
天は、怯えた。
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