第2話 目覚め
「…………っ!」
意識が浮上した瞬間、全身を突き抜けるような激痛に襲われた。
特に後頭部が熱い。何かに強く打ち付けたような、ドクドクという不快な拍動が止まらない。
「お嬢様! ルーシャリアお嬢様!!」
「先生! 先生を呼んで! 意識が戻られたわ!」
周囲の喧騒が、ひどく遠く感じる。
私は重い瞼をどうにか押し上げ、ぼやけた視界の中で自分の手を見た。
……細く、白く、手入れの行き届いた、綺麗な指。
(私……死んだんじゃなかったの? 信号無視のトラックが突っ込んできて……)
混乱する頭で、私は這いずるようにしてベッドの脇にある姿見へと視線を向けた。
そこに映っていたのは、月光を糸にして織り上げたような、輝く白銀の髪。
激痛に耐え、苦痛に歪んだ表情をしていてもなお、息を呑むほどに美しい少女の姿だった。
(白銀の髪……碧眼……。…嘘、もしかしてこれって『精霊の冠』の……!?)
記憶がパズルのピースのように嵌まっていく。
私は、あの傲慢で残忍な悪役令嬢、ルーシャリアに転生してしまったのだ。
メイドの話によれば、私は「二階の階段から足を踏み外して数日間眠っていた」という。
(待って。ゲームのシナリオだと、ルーシィはこの事故をきっかけにさらに性格が歪んで、お見舞いに来たマリーに当たり散らかすはず……)
状況を整理しようとする私に、追い打ちをかけるような冷たい声が響いた。
「——目覚めたのか。相変わらず、人騒がせな妹だ」
扉の前に立っていたのは、私の実兄、ルージュリオ=シルヴァ。
そしてその隣には、まだあどけなさが残るものの、私を「汚物」でも見るかのような目で見つめる少年——義弟のノアールがいた。
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