第60話
朝の森が冷気と静寂で彼らを迎えた。太陽が密集した樹冠を通して不均等な斑点で地面を照らし、湿った土と落ち葉を浮き彫りにした。湿気と樹皮の香りが空気を満たした。
破途が先頭を歩き、低い枝を押しのけていた。海渡が黙って彼に続いた。滝が集団を締めくくり、右腕の添え木を直していた。
茂みでガサガサと音がした。兎鹿が木の幹に飛び出し、見知らぬ者たちを評価するように固まり、それから葉の中に消えた。尾が灰色の斑点で一瞬見えた。
——ところで!——滝が自分のリュックを叩いた。——爺さんたちが俺たちが去るのが嬉しくて、蜂蜜の瓶を丸々入れてくれた。
破途が振り返った。
——蜂蜜?
——ああ。キノコ以外で奴らが持っていた唯一のもの。——滝が笑った。——たぶん、とにかく去ってほしかったんだろう。
海渡は黙っていた。
滝が止まった。顔が真剣になった。
——破途。
破途が振り返った。
——何だ?
滝が背筋を伸ばした。健康な手を胸に置いた。
——お前は俺を救った。あそこから引っ張り出した。——声がより固くなった。——俺はこれ全てを評価し、お前への忠誠で報いることを誓う。
沈黙。
——もし裏切ったら——死が俺の報いとなる。
破途がまばたきした。そんな真剣さを期待していなかった。
——滝、そこまでしなくて…
——いや。——滝は視線を逸らさなかった。——これは重要だ。お前は知るべきだ。
風が頭上の枝を揺らした。葉がサラサラと音を立てた。
破途が息を吐いた。頷いた。
——わかった。受け入れる。
滝が微笑んだ。真剣さの瞬間が始まったのと同じくらい速く過ぎ去った。
——じゃあ、先に進むか?——彼は再び元に戻った。——洞窟は近いんだろ?
——あの丘の向こうだ。——破途が前を指差した。
彼らはさらに進んだ。太陽が高く昇り、森を暖め始めた。鳥たちがどこかの枝で囀り始めた。
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朝。太陽がかろうじて村の上に昇った。露が草の上で輝いていた。
翔がリュックに荷物を詰めていた。几帳面に、丁寧に。雀が隣で忙しく動き回っていた——これを掴んだり、あれを掴んだり。
——食べ物は持った?——武夫が戸口に立っていた。腕を胸に組んでいたが、指が震えていた。
——うん、父さん。
——水は?
——うん。
——暖かい服は?夜は寒い。
——父さん!——雀が振り返った。——全部持った。
武夫が頷いたが、動かなかった。娘を見た。それから翔を。
——お前は理解しているな…——声が小さくなった。——彼女は俺に残された全てだ。
翔が顔を上げた。視線を合わせた。
——理解しています。
武夫が翔に近づき、重い手を肩に置いた。目を見た。
——人生を歩むことは——霧の中を歩くようなものだ。——声がより小さく、より温かくなった。——あるのは——悪い見通し、次の一歩と胸の中の羅針盤だけ。
視線が雀に滑り、再び翔に。
——しかし静寂の中で仲間の一歩が堅実さを得る。胸の中の羅針盤——確信を。——肩をより強く握った。——恐怖が退き、道に場所を譲る。
間。
——大事なのは、互いにしっかりと掴まっていること。
翔が理解した。黙って頷いた。
沈黙。武夫が息を吐き、隅の箱に歩いた。
——もうお前たちは…家族のようなものだから。——包みを取り出した。——そしてお前は俺の娘を救った。
布を開いた。剣。見た目は単純だが、刃にかろうじて見えるルーン文字。
——雀がお前の力について話していた。——翔に差し出した。——これがそれを抑えるのに役立つ。
翔が剣を受け取った。重い。冷たい。しかし手に馴染んだ。
——そしてこれはお前の友人たちのため。——武夫がさらに二つの包みを取り出した。——技の本。そして…
間。袋を取り出した。中でカチャリと音がした。
——五つの球体。金属製で、驚くほどそんなに重くない。お前の友人がこれを見つめていた。——苦く笑った。——すぐに渡すべきだった。渡してくれるか?
——もちろん。
武夫が箱を閉めた。ゆっくりと。まるで瞬間を引き延ばしているように。
——大事なのは、兵士たちに気をつけること。——声がより厳しくなった。——そこに一人いる…堅地という名だ。彼らのリーダーだ。
翔が眉をひそめた。
——堅地?俺たちはそんな奴を見ていません。あなたは彼を知っているんですか?
武夫が窓の方に向き直った。長い沈黙。
——昔々…——声が鈍い。——彼と知り合いだった。若い男だ。彼の叔父が甥の誕生日プレゼントを注文した。
指が窓枠で握りしめられた。
——俺は三本の棒を作った。特別なものだ。マナに反応し、サイズ、重さを変えることができる…——黙った。——俺の最高の作品だった。
「そして最悪の」——思考が閃いたが、彼は口に出さなかった。
——失礼な質問ですが…——翔が慎重に。——それは彼のせいであなたは…妻を失ったのですか?
武夫がビクッとした。顎が緊張した。
沈黙が続いた。雀が荷造りをやめ、耳を傾けた。
——街を征服していた時…——声がかろうじて聞こえる。——兵士たちが家に押し入った。彼女は子供たちを守ろうとした。
拳が白くなった。
——堅地はその時別人だった。無邪気な男だった。——苦労して息を吐いた。——今の奴は知らない。
残りを言わなかった。あの棒が堅地に力を与えたこと。もしかしたら、それがなければ…もしかしたら、全てが違っていたかもしれないこと。
しかしこれは沈黙の中に残った。下げた視線の中に。震える指の中に。
——奴に捕まるな。——彼らに振り向いた。——彼はとても強い。
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洞窟。絶対的な暗闇。
破途が入口に立っていた。指に火をつけなかった——前回を覚えていた。
——もう出てこい。——声が反響した。——かくれんぼはもうやめろ。
沈黙。それから——呼吸。ゆっくりと。重い。
——お前…戻って…きた…
——お前は俺を挑発し、騙した。——破途が拳を握りしめた。——言っただろ——一万の魂で力を得ると。約束はどこだ?
——鎌…出口の…近く…
——鎌?——声がより怒りに満ちた。——一万の魂でただの鎌?!
——ただの…鎌では…ない。
間。
——なぜ武器が必要なんだ?お前は俺が何を必要としているか知っている!
——もっと…力が…必要…
——俺が弱いと言いたいのか?
——そうだ。
壁に拳を打ち付けた。拳の関節が痛んだ。
——武器は力を与えない。どうやって足りないものを得るんだ?
——黒門…
——そこで力を得ても——それはただの道具だ。どうやって欲しいものを得るんだ?
——俺が…知識を…与える…
破途が苦く笑った。
——俺がそんなに愚かだと思うのか?また信じると?お前の約束のために殺しに行くと?
——これは…俺の…贈り物…
——力は黒門で見つけ、知識はお前が与える…——間。——じゃあなぜ鎌が?
——俺は…騙さ…ない…
——じゃあなぜ鎌が?!
沈黙。それから小さく。
——忍が…止めようと…する…
背筋に冷気が走った。
——俺の頭から出ていけ!なぜ奴が俺を止める必要がある?
——お前は…脅威に…なる…
——俺は奴に逆らうことは絶対にない!——声が裂けた。——奴は俺を拾い、教え、助けてくれた!
——絶対に?
——俺は奴と多くのことで意見が合わない。しかしそれは奴を敵にしない。
——絶対に?
——ああ、絶対に!
——興味深い…見てみたい…
笑い声。静かな。不気味な。
——お前は知識を与え、力を得る場所を示す。——破途が息を吐いた。——支払いなしで。
——もちろん…
笑い声がより大きく。
——もう…支払われた…
腕に何かが引っ掻いた。暗闇の中では見えない。軽い灼熱感。
——俺が…そばに…いる…
笑い声が静まった。
冷気が背中を這った。洞窟からではなく——内側から。まるで何か異質なものが皮膚の下に侵入し、骨に定着したように。
破途が拳を握りしめた。爪が手のひらに食い込んだ。
「また俺を利用している…」
怒りが上昇した。熱く、焼けるような。しかし無力な。
——また…会おう…破途…——声が静まり、遠ざかった。——すぐに…
最後の言葉が溶けた。洞窟が空になった。自分の呼吸だけ——速く、怒りに満ちた。
破途が歯を通して息をゆっくりと吐き、落ち着いた。急に振り返った。
破途が振り返り、出口に向かった。つまずいた——死体。あの、鎌を持った。
止まった。武器を見た。
「忍に対して?いや。必要ない」
さらに進んだ。一歩。もう一歩。
止まった。
「でももし…」
首を振った。歩き続けた。
出口のところで固まった。急に振り返り、戻った。鎌を掴んだ。冷たく、重い。
洞窟から出た、振り返らずに。
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森の端。正午。
滝が岩に座っていた。右腕に枝で作った自家製の添え木。顔は不機嫌だった。
——長いな。——滝が顔をしかめ、添え木を直した。
海渡は黙っていた。
足音。森から翔と雀が出てきた。
滝が飛び上がった。
——なんてこった!——彼らを見た。目が見開かれた。——俺たちお前を迎えに行こうとしていたんだぞ。
海渡が横を向いて立っていた。森の方を見ていた。顔は隠されていた——包帯、その上に老人たちが贈った木の仮面。子供用、彩色された。
翔が口を開けた、尋ねたかった。滝を見た——彼がかろうじて見える程度に首を振った。
翔が黙った。
——俺を?——翔がまばたきした。——お前たちに何があったんだ?
——俺たちに?!——滝が前に踏み出した。——これ全部お前がいなかったせいだ!
添え木を見せた。
——俺たちはここでもう少しで死ぬところだったんだぞ!お前はどこにいたんだ?!
翔が口を開けた。閉じた。
海渡が背を向けた。自分の残酷さを責めているのか、彼らが見捨てたことを責めているのか。黙っていた。
——待て…——滝が目を細めた。——雀は?彼女は村から出してもらえなかったんじゃないのか?
翔が赤くなった。
——出してもらった。条件付きで。
——どんな?
——彼女が…夫と一緒に出るという。
沈黙。
——それで彼女の夫はどこだ?——滝が周りを見回した。——見当たらないけど。
雀が微笑んだ。
——ちょうど彼を見ているわよ。
滝が固まった。口が半開き。
——何?!
——俺たちは…その…——翔がさらに赤くなった。
——マジかよ?!——滝が爆発した。——俺たちはここで死にかけていたんだぞ!なのに奴は結婚式を挙げていたのか?!
——違う!——翔が手を振った。
——じゃあどうなんだ?!
洞窟から破途が出てきた。手に——鎌。古く、暗い刃。
全員が黙った。
——それは何だ?——滝が武器を指差した。
——土産だ。——破途が肩をすくめた。
翔が思い出した。
——そうだ!武夫が渡すよう頼んでいた。
包みを取り出した。本を破途に、袋を滝に差し出した。
滝が中を覗いた。目が見開かれた。
——おおおお!——球体を一つ取り出した。——これってあれだ!
手の中で回した。金属は冷たいが、まるでエネルギーで脈打っているようだった。
——黒門に行くか?——破途が本をリュックにしまった。
——もちろん!——雀が喜んだ。——久しぶりだわ!
道を歩き始めた。滝が熱心に球体を調べていた。雀が翔の隣を歩いていた。破途が先頭、鎌を肩に。
海渡が列を締めくくっていた。無口な。疎遠な。
「たぶんこの方がいい」——彼は考えた、友人たちの背中を見ながら。
*章の終わり*
放蕩息子 @Shakh96
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