第55話
階段がまるで終わらないかのようだった。勇翔(ゆうと)が二段飛ばしで駆け上がり、零司(れいじ)がかろうじてついていった。肺が焼けた。脇腹が痛んだ。武(たけし)の球体からの黒い鎧が胸にぴったりと張り付いていた。
最後の踊り場。勇翔が大規模な扉の前で止まった。両脇に二つの人影——護衛。若い顔、退屈そう。
一人が欠伸した。
勇翔が凍りついた。一秒。息を吸った。
——お前たちここで何をのんびりしてる?!——声が廊下に轟いた。
護衛たちが飛び上がった。一人が剣を落としそうになった。
——勇翔様!私たちは…広間を守るように命じられました!
——何を守る?!——勇翔が近づいた。——戒厳令だ!敵が突破した!お前たちはここで彫像のように立っている!
零司が後ろから近づいた。荒く呼吸し、手を膝に。
「今でも彼は指揮している…まあ、正しいことをしている」
護衛たちが目を合わせた。目にパニック。
——申し訳ありません!すぐに…
勇翔が手を振り、扉を押した。重い木がきしんだ。
——馬鹿者!
中に入った。護衛たち——彼の後に。
軍議の間。中央に大きなテーブル——地図が広げられている。軍の印、都市、川。端に二つの水差し。匂いからしてワイン。壁際に本棚——床から天井まで。ホルダーに松明。炎がぱちぱち音を立て、影が壁で踊っていた。
勇翔が本棚に突進した。最初の本を掴んだ。床に投げた。
——違う…
もう一つ。後に続いた。
——違う!
三冊目。四冊目。
——勇翔様?——護衛の一人が近づいた。——お供させてください!何かお手伝いを?
勇翔は聞いていなかった。本が次々に飛んだ。棚から塵が舞い上がった。
——雪姫(ゆきひめ)様が話してくれたのに…——ぶつぶつ言った。——攻撃の前に…どこにあるか言ってた…
厚い本を引っ張った。引っかかった。より強く引いた。
*カチッ*
静かな音。機械的。
棚の一部が震えた。落ちた本があった場所で、木製のパネルがずれた。小さな隠し場所。
零司が近づいた。
——何だこれは?
勇翔が手を差し込んだ。取り出した…石。
真珠のような乳白色。拳ほどの大きさ。表面が滑らかで、まるで磨かれたかのよう。内側から弱く光っていた。それとも松明からそう見えた?
——何だこれは?——零司が目を細めた。
勇翔が石を手の中で回した。
——少年、俺も知らない。——声がより静かに。——でもこれが原因ですべてが起きているようだ。
護衛たちが見ていた。黙って。一人が口を開け、何か尋ねようとした。
足音。
ゆっくりとした。規則正しい。廊下を。
全員が凍りついた。
足音が大きくなった。近い。
最初の護衛が背筋を伸ばした。手を剣に置いた。
——おい、兵士!——彼が扉に向かって叫んだ。——お前、方向を間違えたようだ!戦場に行け!下だ!
足音が止まらなかった。
扉にシルエットが現れた。
静か。腰に剣。ゆっくりと入ってきた、まるで散歩のように。視線がすぐに勇翔の手の石に。
勇翔が急に振り向いて破途(はと)を見た。
——馬鹿者!彼は味方じゃない!
護衛たちが剣を抜いた。破途と他の者の間に立った。
破途が止まった。彼らを見た。それから石を。
——ここでお前たちを殺す必要はない。——声が平坦だった。——石を渡せば平和に暮らせる…
間。思い出した——都市が燃えている、軍が門にいる。
——まあ、ほぼ。
勇翔がゆっくりと石を隠し場所に戻した。
——お前を待っていた。
最初の護衛が一歩前に出た。剣が破途に向けられた。
——降伏しろ!さもないと容赦しない!
破途が彼らを見た。鎧を。鉄が松明の光で輝いていた。
——お前たちはそんなに鎧に頼っている…——声がより静かになった。——過ぎるほどに。
最初の護衛が突進した。剣——水平の振り。速く。自信を持って。
破途がブロックした。金属が鳴った。一歩前に。足——膝の内側に打撃。
*カチッ*
護衛が片膝をついた。叫んだ。
破途が近づいた。自由な手で護衛の手首を掴んだ。彼の剣を胸に押し付けた。自分の刃で——上から下へ喉に。胸当てと顎の間に正確に。
破途が彼の手から剣を取った。今は二本の刃。
すぐに、二人目の護衛が上から攻撃した。
破途が振り向かずにブロックした。回転して一歩前に。二本目の剣——先端を上に、顎を通して。
*グサッ*
剣の先端が頭頂から出た。護衛が凍りついた。目が上を向いた。
破途が刃を引き抜いた。血が刃を伝って流れた。護衛が倒れた。
勇翔と零司が分かれた。両側から囲んだ。
破途が両方の剣を持っていた。一人を見たり、もう一人を見たりしていた。
「これすべて好きじゃない…」
零司に突進。右の剣で振り。
零司が受け流した。火花。
左の剣——下から上へ。
零司が一歩後ろに。刃が顎からミリメートルのところを通過した。
後ろから——勇翔。剣を振り上げた。
破途が回転した。両方の刃で十字にブロックした。
勇翔が押した。より強く。
破途が押し返した。後ろに転がった。
勇翔が後に続いた。
——一秒一秒を楽しむつもりだ。
声が冷たかった。目に——期待。
破途が立ち上がった。剣を横に。
再び突進。勇翔に。
振り。勇翔が受け流した。静かに。自信を持って。
二本目の剣が横から。
勇翔が前腕でブロックした。腕の鎧が耐えた。
足を前に。胸に蹴り。
破途が吹き飛んだ。宙返りした。膝をついた。
「強い。ひどく強い」
勇翔が微笑んだ。
——小銭を落としたか?!
破途が立った。一本の剣を柄を上に向けた。握りを変えた。
再び攻撃。零司が横から遮った。振り。
破途が一本の剣でブロックした。保った。その場で回転して二本目の刃で。
刃が零司の太ももを通過した。内側、胸当てが守らないところ。
血。熱い。脚を伝って流れた。
——あああ!
零司が後ずさった。手を傷に。
破途が黒い鎧に気づいた。
「何だ…」
——見覚えがある…——ぶつぶつ言った。——武は時々感傷的すぎる。
勇翔が前に突進した。上から剣。
破途が避けた。反撃——勇翔が横に逸らした。
また連続。速い。激しい。
*ガキン-ガキン-ガキン*
破途が後退した。テーブルへ。
勇翔が休息を与えなかった。打撃。また。また。
破途が受け流した。剣が打撃で震えた。手が痺れた。剣で打撃。
勇翔が剣で彼の一本の剣をブロックした。
二本目の剣が先端を勇翔に向けて突進する。
勇翔が右手で——破途の二本目の剣を横に逸らした。篭手の金属が軋んだ。同じ手で、顎に拳。
*ドカン*
破途が吹き飛んで一本の剣が落ちた。背中からテーブルに激突した。地図が飛び散った。一つの水差しが揺れた。
目が泳いだ。口の中に血の味。
「くそ…」
水差しに気づいた。二つ。いっぱい。匂いを感じた。中でワインが揺れていた。
壁の松明。炎。明るい。
勇翔が近づいた。破途の剣を彼の足元に蹴った。
——立て。——声が静か。——これを十分に楽しみたい。
破途が剣を拾った。立ち上がった。
——通常、ハンデをもらうのは好きじゃない。
振りかぶった。勇翔に剣を投げた。
勇翔が弾いた。無造作に。
*ガチャン*
破途が既に水差しを掴んでいた。後に投げた。
勇翔がまた弾いた。自動的に。
水差しが剣に当たって割れた。ワインが跳ねた。飛沫——鎧に、兜に。目の隙間に。
——これがお前のすべての芸当か?!
声が嘲笑的。
今度は壁から引き剥がした松明を投げた。
炎がワインに触れた鎧に。
*ボッ*
炎。瞬時に。兜に、肩当てに。
ワインが内側に入った——隙間を通って。顔の真横で燃えた。
勇翔が吠えた。鉄を通してこもって。
——んんんん!!!
手を兜に。外そうとした。指が滑った。
剣が落ちた。床に落ちた。
熱。耐えられない。肌が焼けた。目が涙を流した。
兜を引き剥がした。投げた。
顔と髪が燃えていた。
——ああああ!殺してやる!
腕を振り回した。盲目的に。
——どこだ?!
破途が既に二つ目の水差しを持っていた。
勇翔の頭に直接注いだ。
炎がより明るく燃え上がった。
勇翔が叫んだ。さらに大きく。
——ああああああ!!!
つまずいて、膝をついた。手が顔を消そうとした。肌が水疱になった。
破途が剣を拾った。前から近づいた。
勇翔が顔を上げた。目は——赤い隙間。何も見えなかった。
——どこだ…どこだ…
剣が上から入った。口を通して。下へ。
体が震えた。止まった。
破途が刃を引き抜いた。
勇翔が倒れた。切り倒された木のように。
*ゴオオッ*
鎧が石の上で音を立てた。
——やあああああ!!!
零司。叫びが裂けた。野生的。絶望的。
勇翔に這った。血が彼の後を引いた。太ももの傷から。
破途が隠し場所に向かった。石を取り出した。手の中で回した。
——こんな騒ぎ…——声が疲れた。——すべて一つの石のせいで。
壁の開口部に向かった。そこにテラスがある。
下を見た。
都市が燃えていた。煙。叫び声。路上で戦闘が続いていた。
破途が振り向いて鎧と盾を見た。
「試さなければ、分からない。」
そこに向かった。
零司が彼の脚を掴んだ。指が震えた。血に。
——どうして…どうして俺を知ってる?!——声が嗄れた。——答えろ!少なくとも今!
破途が止まった。下を見た。
零司が下から見上げた。涙が頬を流れた。手が震えた——痛みから、失血から。
破途がため息をついた。さらに進もうとした。
零司が離さなかった。
——頼む…真実を…少なくとも今…
破途がまた止まった。
間。
しゃがんだ。
顔が近い。零司が見た——目。灰色。冷たい。しかし何か他のもの。深く。
——お前は…かつて過ちを犯した者だ。——声が静かだった。——そして俺は…その過ちの代償を求めた。
間。
——俺はお前の息子だ。そしてお前は俺の父だ。
零司が凍りついた。目が見開かれた。
——何?!何のたわごとだ?!——声が裂けた。——何を言ってる?!俺はただ真実を求めただけだ!
——信じろ。——破途が背筋を伸ばした。——今俺はかつてないほど真剣だ。
零司の目を見た。
——二十五年前、俺はお前に再び会った…お前が俺たちを母と二人きりにした後。より良い生活のために。
声がより固くなった。
——周りに友達。家に新しい家族。そしてお前の満足した顔の笑顔…
拳を握った。関節が白くなった。
——お前は知らないだろう、俺たちに何があったか。何ヶ月も飢えた。食べ物が足りなかった…母が耐えられなかった。
目を細めた。
——そしてお前は温かく暮らしていた。愛の中で。豊かさの中で…俺はそれに満足しなかった。
零司が見ていた。唇が震えた。
——いや…そんなはずない…
——しかし死は…——破途が続けた。——お前のような者には簡単すぎる。
間。
——俺たちの過去——それが俺たちを作った。しかしそれを俺たちから奪ったら…俺たちは何になる?
——だから決めた。お前の記憶を奪う。誰も認識しないように。若い体を与える。誰もお前を認識しないように。そして永遠の若さを…できるだけ長く続けるために。
零司が見ていた。目に——恐怖。理解できない。否定。
——俺が…お前の父?俺がお前を捨てた?
言葉が困難だった。
——いや…そんなはずない…
破途が立ち上がった。壁の鎧に向かった。盾を外した。鉄製。
それから開口部へ。振り向いた。勇翔の体を見た。
——今回は引き分けに同意する。
盾を胸に押し付けた。
跳んだ。
零司が横たわったまま残された。
血が水たまりに広がった。太ももから。止まらなかった。
天井を見ていた。
——俺が…これを彼にしたのか?
囁き。
——俺がこれすべての原因か?
涙がこめかみを流れた。
隣に——勇翔の体。焼けた肉の匂い。
沈黙。
松明のパチパチ音だけ。
そして遠くの下からの叫び声。
章の終わり。
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