第53話
首都の上層。足元に石。風が冷たく、鋭い。
雪姫(ゆきひめ)が広場の端に立っていた。下を見下ろした。都市は段々に建てられていた——一つの上にもう一つ、滝のように山の麓へと降りていった。上層は狭く、下層は——広い。最も下の層は——広く、広大だった。
そこが燃えていた。
移動式の塔が壁に到達していた。久志(ひさし)の兵士たちが溢れ出した。何百人も。何千人も。路上での戦い。至る所で戦闘。雪姫の兵士たちが抵抗していた。防衛を保っていた。しかし敵が突破していた。場所によっては既に家が燃えていた。どこかではまだ戦っていた。叫び声。金属の音。
煙が柱となって上がっていた。炎が屋根を舐めた。オレンジの閃光。黒い雲。
雪姫が手すりを握った。指の下で冷たい石。
後ろに——勇翔(ゆうと)と二人の将軍——五郎(ごろう)と匠(たくみ)。顔が厳しい。堅信(けんしん)と零司(れいじ)が隣に。下を見ていた。
*ドーン*
岩が中層の塔に当たった。石が崩れ落ちた。轟音。塵が柱となった。
*ドーン*
また衝撃。塔が揺れた。基部で割れた。崩れ落ちた。大きな音。破片が下に飛んだ。家に。人々に。
雪姫が感じた。振動が足元の石を走った。爆発から。落ちる岩から。
*ドーン*
また。近い。塵が上から落ちた。髪に。肩に。
下で——叫び声。騒音。混乱。雪姫の兵士たちが下層に向かって走っていた。手に武器。誰かが転んでまた立ち上がった。さらに走った。
——陛下。——五郎の声。静かな。固い。
雪姫が振り向かなかった。
——人々を避難させる必要がある。——彼女が言った。
間。
——私は宮殿に上る。連れてくる…
——陛下。——勇翔が一歩前に出た。——私にお任せを。私が連れてきます。
雪姫が彼の方を向いた。目を見た。
「彼は信頼できる」
勇翔が立っていた。静かに。自信を持って。
——あなたが最優先です。——彼が付け加えた。——陛下は市民を導く必要があります。私はすぐです。
雪姫が黙っていた。一秒。二秒。
頷いた。
——いいだろう。——声がより固くなった。——だが零司がお前と一緒に行く。
勇翔が瞬きした。予想していなかった。
——陛下…
——反論するな。——雪姫が堅信に振り向いた。——堅信、お前は私と一緒だ。人々を導く。
堅信が頷いた。手を剣の柄に。
勇翔が背筋を伸ばした。
——承知しました。
零司を見た。彼が頷いた。それから隣の二人の兵士を。
——お前たちは陛下と共に。護衛しろ。
兵士たちが頷いた。手を剣の柄に。
勇翔と零司が走った。宮殿へ。上へ。階段を。速く。
雪姫が彼らの後ろ姿を見た。それから堅信と兵士たちを。
——行こう。
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天幕。黒い布。巨大。
久志が入口に座っていた。木の椅子に。彫刻の入った。高価な。
彼の前に——首都への眺め。遠い。しかし見える。
壁が破られた。軍が中に。家が燃えている。煙が上がっている。黒い柱が空に。
久志の顔に——不満。喜びではない。満足ではない。
召使いが近づいた。若い少年。手が震えていた。やかんを持っていた。カップに注いだ。細い流れ。蒸気が上がった。
久志がカップを取った。唇に近づけた。一口飲んだ。
温かい。熱くない。
凍りついた。
急に茶を横に流した。地面に。草に飛沫。
少年が凍りついた。
久志が彼を見た。静かに。冷たく。
——遠い土地でそれを集める。——声が平坦だった。静かだった。——数日太陽の下で乾かす。それから商人が買い取る。何週間も山と砂漠を越えて運ぶ。
間。
——何ヶ月もかけて私の土地に届く。——久志がカップを置いた。——そのすべてから私の召使いが最高の茶葉を選ぶ。最高のものから。
少年を見た。
——そしてお前は…私に温かいゴミを出す。
少年の呼吸が速くなった。指が震えた。背中を冷気が這った。
——答えろ。——久志が前に身を乗り出した。——誰がこのすべての労力を無駄にしたのか?私が…地面に流して…それともお前が…既に準備された茶葉に熱湯を注ぐことを思いつかなくて?
沈黙。
召使いが唾を飲み込んだ。
——私…すぐに直します。
声がかすれた。かろうじて聞こえた。
久志が後ろに寄りかかった。
——行け。
少年が去った。ほとんど走って。
久志が再び首都を見た。
「早くこの頑固な首都を取らないと」
肘掛けを握った。
「そして破途(はと)と決着をつける」
後ろから——足音。重い。鎧を着て。
指揮官。止まった。
——陛下。
久志が振り向かなかった。
——指揮官たちの間では準備できているか?
——はい、陛下。——指揮官が背筋を伸ばした。——首都で直接捕まえます。そこで判決を下し、処刑します。
久志が頷いた。
——いいだろう。——声がより固くなった。——生きて首都を出させるな。
——承知しました。
指揮官が去った。
久志が首都の上の煙を見ていた。
唇に微笑が触れた。冷たい。
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暗い。湿っている。土と石の匂いがした。
雪姫が先頭を歩いていた。手に松明。炎が壁を照らした。凸凹。石。湿っている。水が細い流れとなって流れていた。
堅信が後ろに。手に剣。彼の後ろに——二人の兵士。警戒して。
彼らの後ろに——市民たち。何百人も。もっとかもしれない。群衆。子供たちが泣いていた。誰かが祈りを囁いていた。誰かが黙っていた。足を引きずっていた。
洞窟は広くなかった。場所によっては低かった。誰かが頭で天井に触れた。うめいた。さらに進んだ。
雪姫が後ろでこのすべてを聞いていた。
「数キロ通った。もうすぐ出る」
前方に——光。弱い。薄暗い。しかし光。
——もうすぐ出られる。——彼女が大声で言った。
数人が安堵のため息をついた。
雪姫が速く歩いた。松明を前に。光がより明るく。近い。
「みんなが無事だといいけど…」
勇翔を思い出した。零司を。
「彼らは大丈夫」
出口が見える。丸い穴。日光が中に注いでいた。
突然——誰かが前に押し出された。少女。若い。顔が怒っている。肘で押した。
——通して!
誰かが倒れた。叫んだ。
——気をつけて!
少女は聞かなかった。前に進んだ。老人を押しのけた。彼が膝をついて倒れた。
——通してってば!
群衆から抜け出した。出口に向かって走った。
雪姫が止めようとした。間に合わなかった。
少女が光の中に飛び出した。止まった。目を閉じた。顔を空に上げた。
胸いっぱいに呼吸した。一回。二回。三回。
顔に——微笑。広い。安堵した。
二人の兵士が後に出た。辺りを見回した。手を剣に。
少女が目を開けた。出口に振り向いた。
*ドーン*
爆発。
三つの体が飛び散った。瞬時に。破片。血。飛沫が石に。洞窟の壁に。前の人々に。
叫び声。
——何だこれは?!
——駄目!
誰かが倒れた。誰かが後ろに走った。押し合い。パニック。
堅信がショックを受けた。一秒。我に返った。
剣を抜いた。前に突進した。
——全員後ろに!——彼が叫んだ。——中に隠れろ!
洞窟から飛び出した。
光が目を切った。目を細めた。
雪。氷。白い野原。太陽に輝いていた。
前方に——シルエット。太陽が彼の金色の仮面に反射していた。しゃがんでいる。三十メートルほどのところに。
堅信がよく見た。
海渡(かいと)。
微笑。広い。
雪姫が後に駆け出した。堅信の隣で止まった。
海渡を見た。
冷気が背中を這った。風からではない。雪からではない。
海渡が立ち上がった。ゆっくりと。急がずに。
堅信をより近くで見た。手に剣。
微笑が消えた。顔に苛立ち。
——この剣にはうんざりだ!——声がより固くなった。——お前に突っ込んでやろうか…
堅信が柄を握った。
——なら来いよ!
海渡の唇の端が震えた。怒り。
雪姫が堅信を見た。
——誰だ?!知ってるのか?!
堅信が海渡から視線を逸らさなかった。顔に——歯を剥き出した顔。
——深雪(みゆき)のことで悲しんでいるのはこいつのせいだ。
雪姫が凍りついた。
恐怖が消えた。瞬時に。
呼吸が重くなった。平坦になった。
怒り。熱い。内側から温めた。
——つまりこいつが…深雪にあんなことをしたのか?
海渡が笑った。
——深雪?——頭を傾けた。——どいつだ?全員覚えちゃいない。
間。微笑んだ。
——あああ…あの女か!——指を鳴らした。——対話を試みた。でも彼女は恥ずかしがり屋だった。ずっと黙ってた。
微笑がより広くなった。
——ほとんど。
雪姫が剣を抜いた。ゆっくりと。鉄が鳴った。
——好きなようにしろ。——彼女が堅信に言った。——でも最後の一撃は——私のものだ。
堅信が頷いた。
——喜んで。
海渡が両手を横に広げた。
——お前がもっとおしゃべりだといいな!——彼が叫んだ。——じゃあ始めよう!
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堅信と雪姫が分かれた。異なる方向から進んだ。氷の上を。
海渡が中央に立っていた。見ていた。静かに。
手を伸ばした。掌を下に。
氷から水が伸びた。細い流れで。指へ。手を包んだ。手首。手首を。
十字に振った。
*ヒュッ*
水の糸が指から飛び出した。細い。鋭い。両者に向かって飛んだ。
空気を切った。その下の氷を。深い切れ目。
雪姫が手を伸ばした。
近くの氷から水が飛び出した。急に。渦を巻いた。速く。もっと速く。
球体。雪姫の周りを高速で回転した。
糸が球体に当たった。飛沫。
堅信は止まらなかった。糸が彼に向かって飛んでいた。剣を前に。
糸が刃に触れた。力を失った。ただ水が跳ねた。
「水を操れるのか?!」
堅信が雪姫に視線を投げた。信じられなかった。
海渡が見た。眉をひそめた。
「あの馬鹿な剣が!」
しゃがんだ。掌を氷に。
氷が割れた。大きく。亀裂が横に走った。
水が上がった。もっと。高く。
突然——戻って落ちた。急に。
——何だ…?!
海渡の隣に剣が突き刺さった。氷に。
堅信の剣。
海渡がそれを見た。それから横を。
雪姫が彼に向かって飛んでいた。横から。氷が彼女を瓶の栓のように押し出した。
剣を振り上げた。
海渡が跳び退いた。急に。横に。
雪姫が通り過ぎた。刃が首からミリメートルのところを通過した。
落ちた。転がった。足で立ち上がった。
突進。剣で横から打撃。
海渡が一歩後ろに。避けた。
雪姫が再び。上から下へ。
海渡が横に揺れた。雪姫の剣を掴んだ。
肘で顔に。急に。激しく。
雪姫の頭が後ろに跳ねた。
もう一度。肘で顎に。
膝で腕に。指が開いた。剣が落ちた。
海渡が剣を掴んだ。振り向いた。足で雪姫の腹に。
彼女が吹き飛んだ。背中から倒れた。氷の上を転がった。
堅信が既に近くにいた。駆け寄った。手に剣。
振り下ろし。
海渡が雪姫の剣で受けた。
*ガキン*
火花。
堅信が再び。上から打撃。
ブロック。
*ガキン*
連続。速い。打撃。ブロック。打撃。ブロック。
金属の軋み。大きい。鋭い。
洞窟から聞こえた。市民たちが聞いていた。恐れていた。
海渡が振った。堅信が横に避けた。
堅信が反撃。水平に。
海渡が一歩後ろに。
回転しながら。足で堅信の頭に。
当たった。こめかみに。
堅信が横に倒れた。氷の上に。転がった。
海渡が突進。堅信から。離れて。
跳んだ。回転しながら。
空中で感じた——マナが戻った。
「範囲から出た!」
手を下に伸ばした。
*ゴオオッ*
氷が割れた。爆発した。巨大な波が上がった。氷の下から。高い。広い。
堅信を覆った。流した。運んだ。
雪姫が手を伸ばした。波が凍り始めた、堅信を遠くに流さないように。しかし全部ではない。一部だけ。
「彼の剣が邪魔だ!」
波が彼をさらに運んだ。しかしゆっくりと。
海渡が着地した。見ていた。
「氷も使えるのか?!」
堅信も同じことを考えていた。ショックで。
水が海渡の手を覆った。分かれた。大きくなった。
巨大な手。大規模。各側から六つずつ。
氷に突き刺さった。いくつかの場所で。巨大な塊を掴んだ。
海渡が回転した。投げた。
氷の塊が飛んだ。堅信に。雪姫に。
雪姫が手を伸ばした。彼女に向かって飛んでいた氷山の軌道を変えた。
堅信が見た。彼に向かって飛んでいる。巨大。
横に跳んだ。転がった。
もう一つの塊。反対側に跳んだ。
三つ目。跳んだ。空中で回転した。着地した。
突然——轟音。大きい。増していく。
氷の下の水から何か巨大なものが上がり始めた。
*バキッ*
氷が割れた。横に開いた。
水が飛び出した。渦を巻いた。柱となって上がった。
竜巻。
巨大。高さ五十メートル。中央の下に——海渡。手を横に。流れを制御していた。
水が回転した。轟音を立てた。飛沫を上げた。
竜巻から水流が飛び出した。細い。圧力がかかっている。各側から複数。
円を描いて飛んだ。崖を切った。氷を。石を。
二つの水流が異なる方向から——雪姫に直接。
雪姫が片手を伸ばした。近くの水が氷から飛び出した。球体に渦を巻いた。彼女の周りを回転した。水流をブロックした。
水流が絶え間なく圧力をかけて、球体が押し戻されて背後の崖に押し付けられた。
雪姫のもう一方の手が上へ。竜巻へ。
水が凍り始めた。下から上へ。速く。氷が螺旋状に這った。上へ。さらに上へ。
竜巻が凍った。巨大な氷の彫像に変わった。凍った螺旋。
雪姫が周りの球体を消して手を下ろした。荒く呼吸していた。
「マナをたくさん使った…」
堅信が剣を鞘に入れた。急に。
——雪姫!——彼が叫んだ。——俺を投げろ!
雪姫が一瞬ショックを受けた。
「何?!」
考え終える前に。
凍った竜巻に手を伸ばした。
六匹の水の龍が氷の彫像から飛び出した。それを壊しながら。巨大。中央に向かって飛んだ——海渡がいた場所へ。
*バキッ*
竜巻が割れた。中から水が飛び出した。
六匹の龍。反撃。向かい合って。
海渡が後に飛び出した。氷の破片から。
*ドドドン*
龍が衝突した。爆発。水が四方八方に。轟音。
同時に。
堅信の近くの氷の下から水が飛び出した。脚を掴んだ。後ろに引っ張った。回転させた。
堅信が空中に。円を描いて飛んだ。
雪姫が彼を海渡の方に投げた。それから龍を凍らせた。氷に変えた。雪に覆われた。巨大な氷の彫像。
堅信が飛んだ。剣を抜いた。振り下ろし。
海渡が避けた。かろうじて。
堅信が凍った龍に当たった。押し退けた。海渡に突進。
連続攻撃。ブロック。
*ガキン* *ガキン* *ガキン*
速い。激しい。
雪姫の近くから水が飛び出した。どんどん多く。凍った。巨大な氷の塊。
雪姫が投げた。海渡に。
*ヒュッ*
飛んだ。巨大。重い。
堅信と海渡が剣を交えた。塊が飛んでくるのを見た。
横に。両者とも。同時に。
連続を続けた。
——俺に当てようとしてるのか、それとも奴に?!!——堅信が叫んだ。
——ごめええん!——雪姫がもう一つ投げた。——でも気をつけてええ!
また横に。また打撃。
塊が氷を壊して水の中に落ちた。氷の下に。波。氷が揺れた。割れた。
堅信と海渡が氷山の上に。揺れた。バランスを取った。
打撃。ブロック。止まらなかった。
突然——海渡が振った。外した。
堅信が剣を持った彼の手を掴んだ。自分に引き寄せた。
自分の剣を海渡の肩に突き刺した。深く。
海渡が痛みでシューと音を立てた。
堅信が押した。凍った龍へ。剣で固定した。
海渡が堅信の手を掴んだ。しっかりと。剣を抜かせなかった。
堅信の顔に——歯を剥き出した顔。憎しみ。純粋な。
両者とも緊張していた。互いを掴んでいた。
雪姫が見た。
「今だ!」
手を伸ばした。水が上がった。高く。凍った。巨大な氷山。堅信の上に。
「重い…長く保てない」
手が震えた。
——逃げろ!——彼女が叫んだ。——力がない!かろうじて保ってる!
海渡が理解した。瞬時に。
「死ぬなら…」
堅信の手を離した。前に一歩踏み出した。剣が肩にさらに深く入った。
堅信がショックを受けた。
「何を…」
海渡が蹴った。膝の内側。激しく。
*バキッ*
堅信が膝をついて倒れた。叫んだ。
海渡が自由な手で首を掴んだ。しっかりと。
堅信の首に剣を突き刺した。深く。
堅信が凍りついた。口から血が流れた。細い流れで。震えた。海渡を見た。
海渡が微笑んでいた。広く。
——死ぬなら…——声がかすれた。——派手に!
雪姫が見た。
——やああああああああ!!!!
手が震えた。一瞬のためらい。
離した。
*ゴオオッ*
巨大な氷山が落ちた。彼らの上に。氷が割れた。砕けた。沈んだ。
水が溢れた。両者を下に引きずり込んだ。速く。深く。
雪姫が膝をついた。手を氷に。雪を握った。激しく。指が白くなった。
荒い呼吸。顔が震えた。涙が流れた。雪に滴った。
沈黙。
風だけ。冷たい。空っぽ。
章の終わり。
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