第47話

夜。雷雨。空は暗く、重い。稲妻が遠くで閃いた。雷が轟き、雨を待っていた。


武史は丘に立っていた。下を見下ろした。村。ところどころ燃えていた。火が家の屋根を舐めた。煙が柱となって立ち上った。赤い光。悲鳴。人々が叫んでいた。戦いの音。それから――静寂。今は火が燃える音だけが聞こえる。パチパチ。シューシュー。武史は下に向かった。


村の入口で二人の兵士が彼を迎えた。止まった。見つめた。最初は認識しなかった。武史は歩いた。黙って。兵士の一人が目を細めた。それから――見た。頭上の四つの球体。ゆっくりと回転していた。


「武史様!」兵士が背筋を伸ばした。


二人目も。


武史は通り過ぎた。彼らを見ずに。


通り。血。水たまり。遺体。倒れたままに横たわっていた。道路に。誰も片付けなかった。兵士たちが脇を歩いた、気づかなかった、まるでゴミのように。


武史は歩いた。ゆっくりと。見ていた。女性。老人。子供。凍りついた顔。開いた目。至る所に血。横から男が駆け寄ってきた。指揮官。手に松明。鎧。腰に剣。


「武史様!」大きな声。「ご無事ですか? 腕はどうされました? 医者を呼びましょうか?」


武史は答えなかった。さらに歩いた。指揮官が隣を歩いた。


「お待ちしていませんでした」彼は続けた。「でもご心配なく。すべて順調です。予定通りです。損失はありません」


武史は黙っていた。音がまるで霧の中のよう。遠い。くぐもっている。


「領域は制御下にあり、明日次へ移動します…」


武史は止まった。


「誰が全住民を殺す命令を出した?」


指揮官は黙った。彼を見た。


「上からの命令です、武史様。捕虜は取りません」


武史はしゃがんだ。地面に手のひらで触れた。指揮官が近づいた。


「汚れないように…」


武史は凍りついた。何かを感じた。立ち上がった。小屋の一つに向かった。指揮官が後を追った。二人の兵士も。


小屋。ドアが開いている。中は暗い。武史はゆっくりと入った。松明が部屋を照らした。女性が床に横たわっていた。うつ伏せに。彼女の周りに流れ出た血。武史の唇が震えた。彼はしゃがんだ。遺体を見つめた。指揮官が近づいた。後ろで止まった。


「ここに落ち着かれますか?」彼は尋ねた。「兵士たちに言います、すぐにこの小屋を片付けます」


武史の顔に――歯をむき出しにした。急に手を拳に握りしめた。


*バキッ*


指揮官の頭の兜が圧縮された。頭を殻のように潰した。体が丸太のように倒れた。松明が落ちた。転がった。血が兵士の一人に飛び散った。彼はまるでつまずいたかのよう。後ろに倒れた。二人目の兵士は凍りついた。口が開いている。何が起こったか理解できなかった。速く呼吸していた。頻繁に。静かな部屋で聞こえる。武史は松明を拾った。立ち上がった。


「二人とも消えろ」振り返らずに言った。


兵士たちは小屋から素早く飛び出した。


武史は見回した。何かに気づいた。床に――ドア。地下室。慎重に開けた。暗闇。急がずに降りた。松明を下に向けた。隅に――子供。女の子。五歳ほど。座って、膝を抱えていた。彼を見ていた。武史は止まった。


「俺が怖いか?」彼女を見て尋ねた。


静かな声。いつもより柔らかい。


女の子は黙って首を横に振った、否定して。


武史は微笑んだ。


「勇敢だな。ここで何してる?」


女の子は下を見た。


「ママがここに座ってるように言った」


武史は頷いた。


「言われたんだな…いい子だ」


間。


「名前は?」


「華」


「華…」武史は繰り返した。「俺は武史、タキでいい」


静寂。


「君のママが俺をお前のところに送ったんだ。お前をママのところに連れて行けと言った」


女の子は彼を見た。


「ママは死んでるでしょ?」


武史は黙った。


「賢い子だ…とても賢い」


間。


「助けさせてくれるか?」


女の子は頷いた。目に涙。駆け寄った。彼を抱きしめた。武史は黙って上を見た。彼女に自分の涙を見られないように。彼は華が通った痛み、恐怖、恐怖のすべてを抱擁の震えを通して感じた。


「もういい…やめろ。俺たち二人とも勇敢な奴らだ…さあ、ここから出よう」


女の子は彼を離した。涙を拭った。


武史の頭上の球体の一つが降下した。地面が完全に覆った。武史の複製が形成された。地面から。


武史は女の子を見た。


「怖くないだろ?」


「うん」


「彼がお前をここから連れ出す。俺はここで誰かと話す。そしてお前のところへ」


女の子が彼の手を握った。


「一人にしないで」


タキは微笑んだ。


「勇敢だと思ってたのに…すぐだ、お前のところへ。約束するか?」


女の子は手を離した。


「ほんの少しだけ…それと…ママも…連れて行って」


タキは頷いた。


「必ず」


複製が女の子を抱き上げた。小屋から飛び出した。ここから遠くへ。


雷が鳴った。雨が降り始めた。二つ目の球体が降下した。再び地面からの複製。上に上がった。母の遺体を取った。遠くへ運んだ。


武史は小屋から出た。通りを見た。雨が降っていた。至る所に死体が横たわっていた。兵士たちがその間を歩いていた。家に入った。物を運び出した。誰かが酒を見つけた。笑っていた。飲んでいた。戦利品を喜んでいた。死体の間で休んでいた。重要な戦いの前に。


武史はゆっくりと中央広場に向かって歩いた。雨が顔を流れた。腕が下に、怒りで震えた。指がまるで遊んでいるかのよう。動いていた。地面から蔓が現れた。最初は細い。それから太く。長く。もう一つ。そしてまた。最初は武史の後ろの通りに。それから――家の中に。床の下から直接。


悲鳴。恐怖。蔓が兵士の足を掴んだ。引っ張った、より強く巻きついた。何かが砕けた。大腿骨。兵士が叫んだ。痛み。耐え難い。熱い血が流れた。蔓が首を巻き、締めたとき叫びが途切れた。


別の兵士が家から飛び出した。手に剣。蔓が彼の前に生えた。兵士は斬った。しかしすぐに新しいものが生えた。腕を巻いた。剣が落ちた。蔓が胸を巻いた。締めた。肋骨が砕けた。一つ。もう一つ。兵士は喘いだ。息を吸えなかった。蔓が締めた。ゆっくりと。容赦なく。もう一つ砕ける音。胸郭が耐えられなかった。陥没した。口から血が流れた。兵士は力を失った。


武史は歩いた。雨が降る。より多くの蔓。すべてより太く。長く。家の中に。通りに。悲鳴。恐怖。


「やめてくれ!」誰かが叫んだ。


「助けて!」別の声。


蔓が一人の兵士の両足を掴んだ。上に引っ張った。逆さまに吊るした。別の蔓が腰を巻いた。下に引っ張った。兵士が叫んだ。蔓が異なる方向に引っ張った。筋肉が裂けた。皮膚が割れた。


*バキッ*


兵士が真っ二つに引き裂かれた。血が通りを満たした。


武史の顔に歯をむき出しにした表情が現れた。唇が震えた。彼は歩き、恐怖と悲鳴が彼に付き添った。ほぼ全員が助けを求めていた。血がどんどん増えていった。蔓は最初に殺した。それから成長した。武史が歩いた通りに、彼の後ろには蔓に覆われた人影と家が残った。


武史はゆっくりと町の真ん中の広場に向かって歩いた。感じた。そこには――彼の技術を通して兵士を感じることができない。誰も感じない。


「どうやら、魔力を抑制する柱がそこにあるようだ」


ポイントに近づいた。境界に。そこから地面に立つものは何も感じなかった。止まった。


「罠だ」


蔓が死体の鞘から剣を取った。武史の手に渡した。武史は前に踏み出した。


*静寂*


ゆっくりと中央に進んだ。突然横から――兵士、剣を振った。武史は刃を下向きに先端で逸らした。柄を顔に。兵士が後ろによろめいた。刃で喉を――血が飛び散った。兵士が喘ぎながら倒れた。


反対側から――もう一人。受け流し、横に一歩、腹への打撃。兵士が膝をついた。


後ろから――二人同時に。最初が打った――武史は剣を逸らし、前に踏み出して肘で鼻に。


*バキッ*


刃を胸に。引き抜いた。二人目が振った――武史は避け、刃で足首を。兵士が膝をついた。背中への打撃。


もう一人が駆け寄ってきた。武史は剣を槍のように投げた。


*ヒュッ*


胸に当たった。兵士が吹き飛んだ。武史は死んだ兵士の地面の剣を拾った。


次。上からの振り――武史は横に避け、首への打撃。兵士の体が倒れ、痙攣していた。


*静寂*


「ああああああああ!!!」


武史は遺体の中に立っていた。手に剣。顔に雨。突然――どこか後ろから。闇から。


「弓兵…撃て!」


*ヒュッ*


何百もの矢が彼に飛んできた。武史は剣を投げ、かがんだ。最も近い兵士の体を首で掴んだ。持ち上げた。冷静に。確実に。恐れなく。矢が落ちた。彼の輪郭を描いた。体に当たった。一本の矢が脇を通り過ぎた。肩に当たった。武史は体を下ろした。矢を掴んだ。指で折った。抜かずに。矢が飛んできた方向を見た。


闇から兵士たちが現れた。数十。数百。囲んだ。輪。手に剣。締め始めた。武史は中央に立っていた。顎を上げた。雨がまだ顔を流れていた。


「ゴミめ」


群衆から男が出てきた。指揮官。手に松明。鎧。微笑んでいた。


「ということは、反対側につくことに決めたのか…残念だ、残念だ」


間。


「嘘はつかないが…お前はいつも厄介者だった。お前ともう一人…『村人には手を出すな』などと…」


冷笑した。


「これは戦争だ!!! どんな規則がある?! ない!!!」指揮官は息を吐いた。「それなのにお前はここで正しい者を演じている! そんなに正しいなら――これすべてが起こるのを許さなかっただろう!」


武史は怒りで満たされた。


指揮官が近づいた。


「偉大なる武史様…」嘲笑的な声。「お前の直感、戦術、戦闘経験についてどれだけ誇張があったか。実際は――空虚なおしゃべりだ」


間。


「ライオンのように戦うと呼ばれていると聞いた。しかし結局お前は囲まれている。追い詰められた獣のように」


見て微笑んでいた。


「そろそろ終わりにする時だ…」


手を振った。


「奴を捕らえろ!」


兵士たちが動いた。輪が締まった。


「追い詰められたのは俺じゃない!!」武史が叫んだ。「お前たちが肉として差し出されたんだ!!」


*ゴォ*


巨大な岩が兵士の一団に落ちた。押し潰した。血が飛び散った。岩の下の遺体。兵士たちは衝撃を受けた。


「彼には力がないはずだ!! 力がないはずだ!!!」誰かが叫んだ。


突然一つの岩の後に――数十の巨大な岩が落ち始めた。


*ドォン。ドォン。ドォン*


武史の周りの兵士たちを押し潰した。家を。至る所に落ちたが、まるで彼を避けているかのよう。周囲に大きな轟音が立った。一つの岩が家に落ちた。屋根が崩れた。壁が崩れ落ちた。別の――倒れた兵士に。押し潰された。血が広がった。


突然――地面が揺れた。


*ビシッ*


地面の下からまるで何かが押したかのよう。深部からの巨大な圧力。地面が膨れ上がった。亀裂が広場を走った――広く、深く。横に広がった。もう一つ。そしてまた。


兵士たちが落ちた。叫んだ。縁を掴んだ。下に滑り落ちた。


亀裂が蜘蛛の巣のように広がった。深い――底が見えない。武史を避けた、まるで生きているかのよう。彼が立っていた場所を迂回した。他はすべて――崩れた。


亀裂が家を真っ二つに割った。壁が内側に崩れた。もう一つの岩が落ちた――兵士の一団に。数人が瞬時に押し潰された。


地面が揺れ動いた。兵士たちが散り散りに逃げた。誰かが落ちた。誰かが飛び越えようとした――間に合わなかった。


一人の兵士が武史に剣で届こうとした。駆け寄った。岩が彼が到達する前に落ちた。


*ベシャッ*


血、うめき声、轟音と破壊。


数秒で静寂、雨だけ。町は廃墟に。武史の周り――亀裂、遺体、瓦礫。彼は中央に立っていた。一人。無傷で。彼は手を握りしめた。感じた――再び元素を操れる。


「ということは、魔法文字の柱が壊れたようだ」


上からまるで何かが落ちたかのよう。武史の地面からの複製二体が隣に着地した。地面が落ちて球体だけが現れ、武史の頭上に上昇した。


-----


朝。武史は二つの墓の前に座っていた。二つの盛り土。質素。上に石。それらを見ていた。考えていた。


「道を間違えたようだ…母さん…」


涙が顔を伝った。


突然――後ろから。


「お前は生き延びたんだな」


*静寂*


「俺を殺しに来たのか?」武史はゆっくりと頭を向けた。


静かな声。恐怖ではない。いや。受容。諦め。


焔がそこに立ち、彼の赤く腫れた目を見ていた、涙が頬を伝っているのを。


「二日で何があった?」


「お前の仕業か?」


武史は顔を背けた。


「いや…俺のじゃない。俺は…彼らを守れなかった」


間。


「町では?」焔が尋ねた。


「そこには…もうほとんど兵士しかいなかった」


「どんな兵士だ? そこには誰も残っていなかった! それとも…彼は復讐を…でも誰のために?! 住民のために?!」


「でもなぜだ?!」


武史は黙っていた。


「どうやら、俺は間違った側にいたようだ…長すぎた…」飲み込んだ。喉が乾ききったかのよう。


「罠か?」


「いずれにせよ…」焔は近づいた。「すべてに代償がある…そしてお前の行いも例外ではない!」


黒い炎が焔の手を覆った、武史の首の近くで。


-----


突然――どこからか華が駆け寄ってきた。


「おじさんに触らないで!」彼女が叫んだ。


武史と焔の間に立った。


武史は急いで彼女を取った。離した。


「大丈夫だ…散歩してこい」


華は身をよじった。


「嫌! どこにも行かない! 彼に触らないで!」


焔は彼女を見た。


「お嬢ちゃん、わかってない。これは悪いおじさんだ」


華は首を横に振った。


「違う! 彼はいい人! 私を救ってくれた…あの兵士たちから! あなたはあの兵士の一人? 彼に触らないで!」


武史は焔を見た。


「これが『ほとんど』だ…俺に好きにしろ。ただ彼女を連れて行ってくれ。その後…」


焔は怒っていた。


「子供の前で処刑できない」


女の子を見た。思い出した。


「俺の友人たちを見たか?」彼は尋ねた。


「いや」武史は首を横に振った。


「彼らは南西の町の移住を手伝っているはずだった」


武史は思い出した。そこから海翔の指揮下の軍隊が来るはずだった。頭を向けた。


「どこにいるか知っている。女の子を安全な場所に連れて行け、俺はお前の友人たちを見つけて返す」


焔は眉をひそめた。


「俺は怪物を始末しに来た、信頼するためじゃない!」


武史は彼を見た。


「お前は彼らを見つけられるかもしれないが、周りで戦争が起こっていて敵はおそらくすでにそこにいる、そしてお前は敵の能力について何も知らない。何で対抗できる? 巨大な力は何もない、正しい応用がなければ」


焔は考えた。


「彼は騙している…でもこの女の子。彼女を安全な場所に連れて行かなければ」


武史は立ち上がった。


「俺は何をしたか自覚している…許しを求めない…せめて償う機会を。お前の友人たちを返すと約束する。そして…清算だ」


手を差し出した。


焔は手を見た。彼を。


「俺がバカに見えるか?!」


間。


「わかった…でも握手はなしだ! 女の子は首都に連れて行く」


武史は手を下ろした。


「ありがとう」


焔は頷いた。女の子の手を取った。


「彼の目。二日で何があったんだ?!」


*章の終わり*

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