第46話
森が濃くなっていた。枝が服に引っかかり、根が地面から突き出していた。破途が先頭を歩き、茂みをかき分けていた。
突然――押し返された。まるで見えない手が胸を押したかのように。
「何だ…」破途は一歩下がった。
翔も止まり、眉をひそめた。
「感じるか?」滝はこめかみをさすった。「少し頭が回る」
雀が振り返り、彼らの戸惑いを見た。
「ああ、これは魔法文字」微笑んで申し訳なさそうに。「魔法使いや通りすがりの旅人からの保護。道を知らない者を押し返すの」
「どうやって通るんだ?」海翔は後頭部を掻いた。
「私についてきて。近くに」雀は前に踏み出した、まるで見えないカーテンを通り抜けるように。
一行は続いた。圧力が消えた。
さらに十歩――そして森が開けた。
村。小さい。五十人ほど、それ以上ではない。木造の家――質素だが、装飾はないが頑丈。家々の間に洗濯物を干すロープが張られていた。
広場で二人の鍛冶師が赤熱した金属をハンマーで叩いていた。火花が飛び散った。そばで十歳ほどの少年がふいごを回し、炭を煽っていた。
女性がパンの入った籠を運び出し、隣人に声をかけた。彼女が近づき、パンを受け取り、笑いながら何か言った。子供たちが家々の間を追いかけ合い、歓喜の叫び声を上げていた。
煙、新鮮なパン、金属の匂いがした。
「温かい」――破途は思った。
しかしその温かさは、住民たちがよそ者に気づいたとき途切れた。
鍛冶師たちは叩くのをやめた。籠を持った女性は凍りついた。子供たちは母親たちのスカートの後ろに隠れた。
「誰だ?」誰かがささやいた。
「どこから?」別の声、警戒している。
視線の交換。ささやき。手が道具の柄を握りしめた。
雀が前に出て、手を振った。
「私よ! 雀!」
緊張がわずかに解けた。しかし消えなかった。
「雀ちゃん?」年配の女性が目を細めた。「一緒にいるのは誰だい?」
「彼らは…」雀は言いよどんだ。
重い足音。
鍛冶場から男が出てきた。背が高く、肩幅が広い。腕は火傷と切り傷の跡で覆われている。厳しい顔、目尻に皺。白髪混じりの黒髪、短く刈られている。
「みんな、会って、私の父武夫、小さいけれど、とても結束した村の長で、最高の鍛冶師」雀はその男を指した。
彼は娘を見た。それからよそ者たちを。顎が固く閉じた。
「雀」くぐもった、低い声。しかしその中に不満が響いていた。「こっちへ来い。今すぐに」
雀は身震いした。
「お父さん、私…」
「今すぐに」
彼女は頭を下げ、家に駆けていった。武夫は一行を視線で――冷たく、観察するように――見送り、娘の後を追った。
雀は小屋の中の部屋の真ん中に立っていた。武夫はドアを閉め、振り返った。
「何をしでかした?!」声が叫びに変わった。
雀は縮こまった。
「お父さん、私…」
「よそ者だぞ! 我々の村に!」武夫は前に踏み出した。「お前は何を危険にさらしているか理解しているのか?!」
雀は素早く両手を上げた、まるで身を守るように。
「お父さん、怒らないで! 優しいでしょ!」声は震えていたが、微笑んでいた。「やらかしたのは確かだけど…」
「やらかした?!」武夫は頭を抱えた。「これは”やらかした”じゃない! これは…」
「でも、そんなに怖がった子を叱らないでしょ?」雀は一歩前に出て、声が小さくなった。「あそこでどれだけ怖かったかわかる? もう少しで殺されるところだった、お父さん。もう少しで。もう何度も後悔してる。それでもまだ叱るつもり?」
武夫は凍りついた。目の中の怒りが心配と戦っていた。
「何があった?」声が小さくなった。
雀は息を吐いた。
「兵士たち。森で襲われた。彼らは…」彼女は黙り、視線を落とした。「もし彼らがいなければ、私はもういなかった」
武夫は黙っていた。それから重くため息をつき、手で顔を覆った。
「それで、今度はお前の救い主全員を受け入れなければならないのか?」
「彼らはいい人たちよ!」雀は活気づいた。「兵士たちをどう処理したか見るべきだった! 彼らは強い、お父さん。とても強い。そして彼らは黒門に向かっている、街について聞いたことがあるって。ただ一晩泊まりたいだけ」
武夫は長く彼女を見つめた。それから首を振った。
「本当に救ってくれたのか?」
雀は頷いた。
「もう少し遅かったら…」声が震えた。「お父さんには息子しか残らなかったわ」
武夫は目を閉じた。ゆっくりと息を吐いた。
「わかった、わかった」手を振った。「助けてくれたなら…泊まらせよう」
雀は輝き、父に抱きついた。
「優しいって知ってた!」
ドアが開け放たれた。
十四歳ほどの少年が入ってきた。暗い髪、真剣な顔。大地――武夫の息子。
「父は正しい!」彼は厳しく言い、姉を見た。「またやらかしたな! いつまでやるんだ?!」
雀は父を離し、弟に向き直った。
「あなたが私の立場なら…」
「一人で森になんか行かない!」
「一人じゃなかったわ! 私と一緒に…」
「やめろ!」武夫は手を上げた。「大地、鍛冶場を手伝ってこい。雀、客たちに寝る場所を見せろ」
大地は不満そうに何かつぶやいたが、出て行った。雀は申し訳なさそうに微笑み、彼の後を追った。
武夫は玄関に出た。一行は村の入口に立っていた――まだ住民たちの視線の下に。
「娘から聞いた」武夫は胸の前で腕を組んだ。「彼女を救ってくれた。そのことに――感謝する」
破途は頷いた。
「泊まっていけ。食事、屋根、これはもちろん娘を救ってくれたことには比べられないが、それでも」武夫は手を振った。「雀が寝る場所を見せる」
村の住民たちは顔を見合わせた。誰かが頷いた。誰かはまだ警戒して見ていた。
しかし徐々に緊張が解けていった。
雀が手を振った。
「さあ! 家を見せるわ」
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夕方。
テーブルがテラスに出された。住民全員が集まった。子供たちが周りを走り回り、笑っていた。女性たちが食事を運んできた。
そしてなんという食事。
焼き肉――普通のものではない。暗色で、こんがりとした皮、香辛料の匂いがした。きのこと一緒に煮込んだ野菜。拳大の肉の塊が入った濃厚なスープ。新鮮なパン――まだ温かい。
滝は武夫を工房から呼ぼうとしたとき、開いたドアから奇妙なものに気づいた。五つの球体、頭ほどの大きさ、金床の近くに置かれていた。金属製だが、奇妙なオーラがある――まるで内部でエネルギーが脈打っているかのよう。
「これは何だ…」
近づき、手を伸ばした。
「考えるな!」武夫の鋭い声。
滝は飛び上がり、振り返った。鍛冶師が入口に立っており、険しい顔。
「これは玩具じゃない、若者」武夫は通り過ぎ、工房のドアを閉めた。「これは武器だ。とても危険な。そしてお前には確実に手に負えない」
「でも何なんですか?」滝は閉じたドアから目を離せなかった。
「お前が心配する必要のないものだ」武夫は彼に向き直った。「見たことを忘れろ。お前のためだ」
声は厳しく響いたが、目には後悔と恐怖が閃いた。
「みんなが待っている」滝がつぶやいた。
「では行こう」武夫は滝を連れて行った、彼が困惑している間に。
肉の塊はすでに海翔の手にあった。一口で目が転がった。
「すごい…胃の中まで鳥肌が!」
滝はテーブルに座り、皿を見た。
「これは…本物の食事か?」
彼は少しゆっくりと食べたが、同じように貪欲に。礼儀正しくしようとしたが、できなかった。
破途はスープのスプーンを取った。味が口の中で爆発した――塩辛く、濃厚で、薬草のわずかな苦み。
彼は食べた、どれだけ長くこんなものを食べていなかったか示さないようにしながら。しかし手は自然とおかわりに伸びた。
年配の女性が笑った。
「食べて、食べて! 遠慮しないで!」
滝はすでに三つ目の肉に手を伸ばしていた。海翔がテーブルの下で彼を蹴った。
「豚みたいに食うのはやめろ」
「だって? 美味しいじゃないか!」
翔は黙って食べたが、皿はすぐに空になった。
雀は父の隣に座り、微笑んでいた。
「好き?」
破途は頷き、口を拭った。
「とても」
武夫は彼らを観察しながら、杯から何かを飲んでいた。表情が柔らかくなった。
「よく食べるな。どうやら、空腹だったようだ」
破途は否定しなかった。
「ええ。そうでした」
大地は向かいに座り、姉を不満そうに見ていた。しかし黙っていた。
破途はこれすべてを見て考えた。
「温かさ。食事。屋根」
久しぶりに――平穏。
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欲樹の領地。
小百合の居室。
彼女は窓辺に座り、庭を見ていた。手には――本だが、ページはめくられていなかった。
「父は言った…私たちは去る」
複雑な感情。必要性は理解していた。しかし去りたくなかった。
寂しくなるだろう。場所が。人々が。
蓮が。
彼女は声に出してこれを認めなかっただろう。しかし知っていた。
ドアの向こうで足音。軽いノック。
「小百合様?」蓮の声。
「入って」
蓮が入り、お辞儀をした。まっすぐになったが、視線は彼女に合わなかった。
「お呼びでしたか?」
「ええ」小百合は本を置いた。「座って」
蓮はわずかにためらったが、それでも向かいに座った、不安げに、背筋は伸びていたが。膝の上に手を。
小百合は彼を見た。それから微笑んだ――軽く、しかし含みを持って。
「蓮、もし私が去ったら、ここで誰か私を寂しく思ってくれる?」
蓮は凍りついた。
間。
彼は視線を横に逸らした。膝の上の手が握りしめられた。一瞬呼吸が乱れた。
「何…このような質問は何のために?」
冷静さを保とうとした。
「私は…」声が震えた。蓮は飲み込み、自信を持って話そうとした。「もちろん、寂しく思います。あなたは…私たちにとって重要です」
声は不確かに響いたが、彼は努力していた。
小百合は見ていた。彼の動揺。目の中の恐怖。
彼女には…面白かった。しかし優しく。
「私たち?」彼女は優しく聞き返した。
蓮は頷いた、視線を上げずに。
小百合は息を吐いた。
「父は…もしかしたら、去りたいと」間。「しばらくの間。あるいは永遠に。まだわからない」
蓮は凍りついた。
「彼女は去る…」
しかしそれを示さなかった。ただ頷いた。
「わかりました」
沈黙。
それから小百合が話した――おずおずと、間接的に。
「そこの警備は…望ましくない」間。「また、訓練する。言わなくてもわかるように…時間がかかる。また神経を使う」
蓮はすぐには理解しなかった。
「父に話してみる」声が温かくなった。「新しい警備を訓練するのは時間の無駄だと言う。でもあなたはすでに私を…言わなくても理解してくれる」
彼は視線を上げて微笑んだ。
「でも、あなたはこの土地の出身」小百合は首を傾げた。「許可を求めなければならないわ。でも…努力する」
彼は息を吐いた。安堵が胸に広がった。
「ありがとうございます」
小百合は頷いた。
二人とも理解していた。警備と姫――カップルではない。あり得ない。
しかし今…今はそれは重要ではない。
この数ヶ月、彼は彼女の支えとなった。聞き手。理解してくれる人。
そして彼女は彼にとって――目覚める価値のある存在。
小百合は立ち上がった。
「以上よ。行っていい」
蓮はお辞儀をし、出て行った。
ドアを閉めた。
壁に寄りかかり、息を吐いた。
「人生の小さな喜び…」
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夕食が終わった。住民たちは家に散った。
村の後ろの森の小道が、木々の間を導いていた。月が葉を通して差し込み、光と影のモザイクを作っていた。
雀が前を歩き、翔が――隣に。
「ここは美しい」彼は静かに言った。
「ええ」雀は微笑んだ。「この場所が好き。静か」
沈黙。心地よい。
翔は彼女を見た。
「戻りたいと思う?」
間。それから雀が話した。
「父は有名な職人だった」声が小さくなった。「街が征服されたとき…母は殺された。そして彼はそれをした者たちのために働かされそうになった」間。「彼は拒否した」
雀は止まった。前方を、木々の間の月明かりを見ていた。
「だから…戻りたいけど、傷はまだ新しい」
息を吐いた。
「彼にとって楽ではない」翔は静かに言った。
「ええ、父には辛い。妻を失った。家を。ほとんどすべて」声が小さくなった。「私と大地だけが残った」
翔はゆっくりと頷いた。
「わかる」
雀は彼を見た。
「あなたは?」静かに尋ねた。「家族は?」
翔は止まった。長く黙っていた。
「仲間たちは知らない」くぐもった声。「話したくなかった。愚痴をこぼして慰めを求める者になりたくなかった」
雀は静かに聞いていた。
「子供の頃から多くの魔力があった」翔は自分の手を見た。「炎への適性。強い。強すぎる」
間。
「家族は私を恐れた」声が小さくなった。「修道院に預けられた。僧侶たちが基本を教えてくれた。制御。自制」
彼は拳を握りしめた。
「暴れたわけじゃない。ただ…力が制御を失った。特に眠っているとき。悪夢。感情」息を吐いた。「ある夜…腕を振った。偶然に。修道院全体を焼きそうになった」
雀は凍りついた。
「その後、私は…去るように言われた」翔は苦々しく冷笑した。「怒らなかった。理解していた。彼らは恐れていた」
沈黙。
「それから数年が経った。自制しようと努力している。友人たちが助けてくれる」雀を見た。「彼らと一緒に制御を学んでいる。完全に自分を支配できるようになりたい」
雀が近づいた。
「あなたは自分をよく制御している」優しい声。「あの兵士と戦ったとき…友人の誰も傷つかなかった。私も傷つかなかった」
翔は彼女を見た。
「気づいていたんだ」
「もちろん」雀は微笑んだ。「あなたは私たちを守っていた。そしてその間、力を制御していた。それは…印象的」
翔は会話の中で初めてわずかに微笑んだ。
「ありがとう」
彼らは並んで立っていた。月明かりが枝を通して差し込んでいた。
雀は手を伸ばし、彼の手のひらに触れた。
「あなたは一人じゃない」静かに。「覚えておいて」
翔は彼女の手を握り返した。
「君もだ」
沈黙。温かい。
それから雀は手を離し、微笑んだ。
「行きましょう。もう遅いわ。父が心配し始める」
翔は頷いた。
彼らは戻った。並んで。
「一人じゃない」――翔は思った。
そして久しぶりに――それを信じた。
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破途は客家の玄関に座り、星を見ていた。
足音。武夫が影から現れ、隣にしゃがんだ。
黙っていた。
「娘が言っていたが、あなたたちは黒門に向かっているのか?」武夫の声は冷静で、圧力はない。
破途は頷いた。
「ええ」
「なぜか、秘密でなければ?」
破途は肩をすくめた。
「探しているんです…学べる場所を。強くなるために」
武夫は目を細めた。
「本? 師匠? 武器?」
「助けになるものすべて」
間。
「なぜ力が必要なんだ?」武夫は彼を見た。
破途は黙った。答えたくなかった。
武夫は押さなかった。待った。
沈黙が長引いた。
破途は話題を変えた。
「雀が洞窟について何か言ってました…」慎重な声。「村の近く。そこに何があるんですか?」
武夫は緊張した。顎が固く閉じた。
「そこに行く必要はない」声が厳しくなった。「そこでは後悔以外何も見つからない」
破途は彼に向き直った。
「でも何かあるんですか?」
「ある」武夫は前を見ていた。「存在する。しかしそれはお前を助けない。お前がすでに持っているものを奪うだけだ」
間。
「お前は自分でも気づかないうちに、欲望の奴隷になる。それがお前を奈落に導く」武夫は破途に向き直った。「そしてお前の欲望は…お前が望むものは…お前が必要とするものではないと思う」
声が小さくなった。
「信じてくれ…私はこれを経験した」
破途は眉をひそめた。
「あなたは…そこにいたんですか?」
武夫は直接答えなかった。
破途は歯を食いしばった。
「私は失ったものを探しているんです…」くぐもった声。「唯一持っていたもの…」
武夫はゆっくりと頷いた。
「お前は力が失ったものを取り戻すと確信しているのか?」間。「力がそれを助けると?」
破途は彼を見た。
「私を助ける唯一のものは――力です」
武夫はため息をついた。
「秘密を教えよう」声が柔らかくなった。「時に私たちが盲目的に追いかけるもの…私たちが望むものは、私たちが必要とするものではない。よくあることだ」
間。
「そして私たちが必要とするものは…しばしば私たちのそばにある。そして私たちの傲慢さと頑固さだけが、目の覆いのように、それを見ることを妨げる」
破途は彼を見ていた。
「あなたは失ったものがあったんですか?」静かに尋ねた。
武夫は頷いた。
「ある」
「それを取り戻すために何をしますか?」
武夫は目を閉じた。
「すべてをする」声が震えた。「そしてすべてをした」
間。長い。
「しかし代償は…」武夫は目を開けた。その中に痛みがあった。「どんな代償で…」
彼は立ち上がった。
「考えろ」武夫は最後に破途を見た。「洞窟に行く前に」
闇の中に消えた。
破途は一人残された。
星を見ていた。
「代償…」
*章の終わり*
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