第45話

武史は意識を取り戻した。


天井。木の梁、時間で黒ずんでいた。薬草と煙の匂いがした。


動こうとした――体全体がまるで火で焼かれたかのよう。脚。腕。胸。至る所が痛い。


見回した。


小屋。小さい。古いが、清潔。


床――板は擦り切れているが、洗われていた。埃も汚れもない。棚には質素な食器――粘土の碗、木のスプーン。手入れされている。窓のカーテンは色褪せているが、破れておらず、丁寧に結ばれている。天井には乾燥した薬草の束が吊るされていた――カモミール、ミント、他にも何か。炉のそばに薪がきれいに積まれていた。


「ここはどこだ?」


自分を見下ろした。


脚は手作りの添え木――棒が布で巻かれている。腕は包帯が巻かれている。きつく。専門的に。


座ろうとした。


痛みが背中を貫いた。倒れ込んだ。歯の間から息を吐いた。


「起きたか?」声がした。


武史は頭を向けた。


入口に老婆が立っていた。七十歳、もしかしたらもっと。白髪が結われていた。皺があるが、目は生き生きしていた。鋭い。手に小麦粉――どうやら何かを作っていたようだ。


「いつまで寝てるんだい」彼女は付け加えた。「二日も寝てるよ」


武史は彼女を見た。


「俺をここに運んだのはあんたか?」


老婆は冷笑した。


「まあ、自分の足で来たわけじゃあるまい」


武史は眉をひそめた。


「言葉遣いに気をつけろ。年寄りだからって容赦しないぞ」


老婆は眉を上げた。


「それで? 私を追いかけるのかい?」


武史は歯を食いしばった。


「お前、婆さん、完全にボケたのか?!」


老婆は手を振った。


「さあ起きな。食事にするよ」


武史は立ち上がろうとした。腕で押した。また痛み。体全体がまるで石のよう。ベッドに倒れ込んだ。息を吐いた。


老婆は観察していた。胸の前で腕を組んだ。


「私がお前を運んできた…」彼女は冷静に言った。「でもスプーンで食べさせたりはしないよ。もう大きな子だろ」


武史は強く憤慨した。


「何が子だ?! 俺は大人の男だ!」


老婆は冷笑した。


「大人の男が怒ったのかい?」


「怒らせるな、婆さん!」武史は拳を握りしめた。「俺の指揮下には巨大な軍の一部がある! そしてお前の想像に収まらない力が!」


老婆は頷いた。真剣に。


「大人の男様!」彼女は冷笑を浮かべて言った。「起きてください。スプーンで食べさせたりしませんから。これでいいかい?!」


武史は怒っていた。歯を食いしばった。


「俺は治る…」彼はつぶやいた。「それから違う歌を歌わせてやる」


かろうじて押した。痛みを通して。座った。脚を下ろした。立ち上がった。


よろめいた。ベッドの端を掴んだ。


「くそ…」


老婆は黙って観察していた。


武史は歯を食いしばり、一歩踏み出した。それからもう一歩。テーブルまで歩いた。座った。


息を吐いた。


老婆は彼の前に碗を置いた。スープ。濃厚で、野菜入り。いい匂いがした。


「召し上がれ」


武史はスプーンを取った。かろうじて、腕の痛みを通して。すくった。


口に運んだ。


熱い。


舌を火傷した。吐き出した。シューシューと音を立てた。


「あっ! あっ! 何だ、婆さん、熱いって言わないのか?!」


老婆は微笑みながら彼を見ていた。


「大人の男様、舌がいたいたい?」


武史はスプーンを握りしめた。


「うるさい!」


老婆は冷笑した。


武史はスープに息を吹きかけた。また試した。慎重に。


美味しい。


黙って食べた。老婆は向かいに座った。見ていた。


「美味しくできた」武史は目を上げずにつぶやいた。「泊めてくれてありがとう」


老婆は頷いた。


「どういたしまして。勘定は後で払ってもらうよ」


わずかに冷笑した。


武史は痛みにもかかわらず微笑んだ。


「調子に乗るなよ、婆さん」


間。


老婆は立ち上がった。炉に向かった。鍋の中の何かをかき混ぜた。


「なんで逃げなかったんだ?」武史が尋ねた。「ここに軍隊が来る。お前は一人だ。しかもその性格で。持たないぞ」


老婆は振り返った。


「どこに行けと?」声は冷静。「ここが私の家だ。私が持っているすべて。運命がこの家のために消えることなら、そうなるべきだろう」


武史は彼女を見た。


「頑固だ」


老婆はテーブルに戻った。


「ここは保養所じゃないよ」彼女は言った。「早く立ち直りたいなら――すべて自分でやろうとしなきゃならない」


武史は頷いた。真剣に。静かに。


「ありがとう」


老婆は手を振った。


「どういたしまして。パイは食べるかい?」


武史は冷笑した。


「仕方ない。持ってこい」


老婆は座り直した。


「それでいい。少ししたら近くの森に行ってベリーを採ってきておくれ。私たちにパイを作るよ。私も久しく食べてない――森に行くのが面倒だった」


武史は笑った。


「婆さん、お前は本当に死が全く怖くないらしいな」


老婆は肩をすくめた。


「何を恐れるんだい? 運命がそうなら、逃げられない。それにもう長居したよ」


武史は彼女を見た。


「お前の爺さんはどこだ、婆さん?」


老婆は黙った。窓の外を見ていた。


「いないよ。もう五年になる」


間。


「すまない…」武史が言った。


老婆は鼻を鳴らした。


「泣きでもするのかい」


武史は眉を上げた。


「やめろ!」


老婆は冷笑した。


「長居したよ…」彼女はより静かに繰り返した。「だから何とか時間を潰してる。森から大人の男を引きずってきて、まるで看護婦みたいに世話をしたり」


「何が看護婦だ?」武史は憤慨した。「俺は自分で立って食べてる!」


老婆は首を傾げた。


「トイレにも自分で行くのかい?」


「やめろ!!」


静寂。


老婆は微笑んだ。立ち上がった。


「待て…」武史は思い出した。


「俺の球体はどこだ?!」


「お前を拾ったとき、そばに金属の球体が見えなかったか?」


「お前の後をついてきた球体かい? かろうじて家まで引きずった――頭上に浮いて、まるで繋がれているみたいに。それから落ちた。隅に片付けたよ」


武史は見回した。


隅に、壁際に――四つの金属球体。彼のもの。


「ふう、なくなったと思った!」


「何のベリーで何の森だ?」武史が尋ねた。「教えてくれ。力をつけたら行ってみる」


老婆は微笑んだ。


「よく言った。今は休みな」


-----


昼。陣営。


何百。何千ものテント。目の届く限り。ほぼ地平線まで広がっていた。灰色の布、白、茶色。大小の幕舎。その間に焚き火――煙が柱のように立ち上っていた。声の騒音、金属の音、馬のいななき。


翔は陣営を歩いていた。


長く歩いた。


テントの脇を、兵士たちの脇を通り過ぎた。彼らは挨拶した。道を開けた。疲れた顔だが、決意に満ちていた。武器を持っている――剣、槍、弓。


火。煙。汗と鉄の匂いが至る所に。


翔は周囲を見なかった。まっすぐ歩いた。


ついに着いた。


陣営の中央にある大きな幕舎。黒い布。


入った。


中には――破途。テーブルに座っていた。彼の前に地図。地図上の駒――軍隊、都市、位置。


目を上げた。


「翔」


翔は頷いた。近づいた。


「海翔はどうした?」破途が尋ねた。


「戻った。ただし、怪我をして怒っていた」


破途は冷笑した。


「怒って?」


「到着時に叫んでいた…」翔は腕を組んだ。「ガキどもを殺せなかったと。芳禍が連れてきた。でもすぐに消えた」


破途は頷いた。


「少なくとも誰かが彼に世界の中心じゃないことを理解させたようだ」


間。


「それに芳禍は最近よく無断で出て行く」破途は付け加えた。「彼女を立場に置くべきだな」


翔は黙っていた。


破途は横を見た。虚空に。視線が一瞬止まった。


「誰かが彼女と話す必要があると思う」


間。


地図に視線を戻した。


「彼女が必要になるかもしれない」破途は続けた。「ここにいてもらわなければ。俺にはこの都市が必要だ」


間。訂正した。


「いや違う。その中にあるものが必要だ。どんな代償を払っても」


翔は頷いた。


破途は地図を見ていた。


「疑いはない。三つ目はそこにある。この久志と協力したのは無駄じゃなかった。彼の耳はほぼすべての国にある」


「この雪姫は狡猾な人物だ」破途は声に出して言った。「何年もの間、彼らはそんな力を持っていることを示唆さえしなかった」


間。


「疑問は…彼女はそれを切り札として残したのか? それとも彼らはそれを活用できなかったのか?」


翔は聞いていた。


「まあ、もうどうでもいい…」破途は地図を指で叩いた。「俺たちが強ければ強いほど、俺のものを取り戻す確率が高くなる」


翔を見た。


「都市は久志に任せよう。それに…彼の必要性はすぐに急激に下がる」


翔は頷いた。


「武史からもまだ知らせがない」彼は言った。


破途は眉をひそめた。


「彼が俺を失望させることは滅多にない」


「兵士を地区に配置した」翔が付け加えた。「徐々に雪姫の都市への通路を封鎖する」


破途は再び地図を見た。


「どう思う…城の塔は十分高いか?」


-----


夕方。


武史は小屋に戻っていた。手には――ベリーが入った籠の四分の一ほど。できる限り。脚が痛んだ。腕がうずいた。しかし歩いた。


「何をしているんだ俺は?」


首を振った。


「誰が夜にパイを作るんだ?」


冷笑した。


「少なくとも美味しいといいが。でも認めなければ…優しい婆さんに当たった」


森を歩いた。周囲の木々、長い影。太陽が沈んでいた。


空き地に出た。止まった。


前方に――小屋。しかし何かおかしい。


武史は注意深く見た。


家の周りの地面が踏み荒らされている。足跡。多くの足跡。何百も。


「兵士だ」


近づいた。


外側には戦いの跡が見える――入口の壊れた食器、ひっくり返った長椅子、地面の血の染み。ドアが壊されている。一つの蝶番にぶら下がっている。


武史は凍りついた。ゆっくりと近づいた。小屋に入った。


静寂。


床に血。遺体。老婆がうつ伏せに横たわっていた。腕が広げられている。彼女の周りの血――暗い水たまり。


武史は止まった。


籠が手から落ちた。ベリーが床に散らばった。


彼はそれらを見て、再び老婆を見た。黙って近づいた。しゃがんだ。


「なんて頑固な…婆さんだ」


静かな声。


緊張した顔に涙。ゆっくりと頬を伝った。


「お前は頑固を通した…彼らに何も渡すつもりはなかった」


手を伸ばした。彼女の手に触れた。握った。


手がわずかに震えていた。


「頑固だ…とても頑固だ…」


突然後ろから。


*ヒュッ*


剣が武史の首元に。


「ということは、お前は彼女を知っているのか?」声がした。


武史は動かなかった。


兵士が彼の後ろに立っていた。若い。鎧を着ている。剣を確実に手に持っている。


「間違った家を選んだな、坊主たち」武史は冷静に言った。


兵士は剣をより強く押し当てた。


「もっと喋ってみろ。すぐに殺したくないんだ。遊ぼうぜ」


武史は涙を拭った。


「すまない…遊ぶ時間はない」


ゆっくりと立ち上がった。


兵士は感じた――剣がまるで凍りついたかのよう。動かない。


引こうとした。できない。


両手で掴んだ。引っ張った。剣が動かない。まるで空気に溶接されているかのよう。


剣を見た。それから武史を。


武史は彼に向き直った。左手を上げた。


隅にあった四つの球体が震えた。


浮き上がった。


武史の頭上に位置した。回転し始めた。


兵士は青ざめた。感じた――体が持ち上がっている。鎧が彼を上に引っ張っている。足が床から離れた。浮遊していた。彼は武史を見た。目が見開かれた。


「武史様?!」声が震えた。「あなたは…武史様! お許しください! 許してください! あなただと気づきませんでした!」


武史は彼を見た。冷静に。静かに。


「これをした者たちはどこだ?」


兵士は呼吸が速くなった。


「全部彼らです! 俺は関係ありません! 全部彼らです!」


武史は一歩近づいた。


「もう一度…」声がさらに静かに。「どこに…いる?」


兵士は速く話し始めた。


「彼らは丘の向こうです! そこに小さな町があります! 領土を占領しに行きました!」


武史は頷いた。


「いい子だ」


手を握りしめた。鎧が震えた。圧縮され始めた。ゆっくりと。


兵士は感じた。呼吸が困難になった。胸が圧迫された。


「武史様…お願い…」


声が詰まった。


鎧は続いた。圧縮された。ゆっくりと。容赦なく。


*バキッ*


肋骨。兵士は喘いだ。息を吸おうとした――できなかった。鉄が胸を圧迫していた。


*バキッ*


腕。内側で何かが折れていた。筋肉が裂けた。骨が砕けた。


兵士は叫ぼうとした。できなかった。喘ぎだけ。目が血走った。何か言おうとした。鎧がさらに圧縮された。喘ぎが途切れた。体が力を失った。


武史は手を振った。兵士の体が小屋から飛び出した。ドアを通り抜けて外に落ちた。


静寂。


武史は老婆にしゃがんだ。再び彼女の手を取った。握った。


「ここで待っていてくれ…すぐに戻る」


間。


「そしてすぐにお前のところに行く」


立ち上がった。小屋から冷静に出た。


*章の終わり*

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