第44話

訓練場。朝。太陽がちょうど丘の上に昇り、露はまだ草の上で乾いていなかった。


栞は離れた場所の切り株に座っていた。訓練場を見ていたが、視線はどこか遠くをさまよっていた。手には――冷めたお茶の入った木の杯。持っているが、飲まなかった。


「みんなどうしているかしら…」


栞は離れた場所の切り株に座っていた。訓練場を見ていたが、視線はどこか遠くをさまよっていた。手には――冷めたお茶の入った木の杯。持っているが、飲まなかった。


「みんなどうしているかしら…」


忍を見た。彼は訓練場に立ち、自来也に何かを説明していた。


「あの出来事の後…」


手が杯をより強く握りしめた。


「疾風。血。手が貫通していた」


鳥肌。


「あのときは怖かった…」


視線を逸らした。ゆっくりと息を吐いた。


「でも彼は変わらない。気遣ってくれる。教えてくれる」


「もしかして…戦争? もしかしてそうする必要があったの?」


理解できなかった。しかし信じたかった。


「破途ならこれを理解できただろうに…」


悲しみ。


「会いたい…」


栞が焚き火に近づいた。芳禍が釜の中の米をかき混ぜていた。


芳禍が米を碗に盛り、差し出した。栞は受け取り、火のそばに座った。


黙って食べた。薪のはぜる音だけ。


「彼のこと考えてるの?」芳禍が小声で。


栞はまばたきした。


「誰のこと?」


栞は碗に視線を落とした。微笑んだ。顔が物語っている。


「彼は戻ってくるわ、心配しないで」


栞は頷いた。黙って食べ続けた。


「どれくらいで…?」


芳禍が焚き火で朝食を作っていた――米、野菜、何かが釜で煮えていた。ゆっくりと、物思いにふけりながらスプーンでかき混ぜていた。


訓練場には――忍と自来也。


忍が自来也に近づいた。隣にしゃがんだ。


「今日はお前に新しい技術を教える。魔力の増幅放出の技術だ」忍は前方、訓練場を見ていた。「複雑で危険だ。お前にとっても敵にとっても」


自来也は黙って聞いていた。


「疾風…彼はそんな運命に値していたのか? でも彼は敵だった…」


忍を見た。彼は冷静に技術を説明していた。


「戦争…人が死ぬ…」


息を吐いた。


「先生を理解している…たぶん」


「お前の魔力を川だと想像しろ。普段はそれは穏やかに流れている。必要なときに水をすくう――技術のため、攻撃のため」忍は手のひらを上げた。「この技術――まるでダムを爆破したかのようなものだ。水が一気に溢れ出る。力強く、速く」


「わかりました」自来也は頷いた。「一度により多くの魔力を放出するんですね」


「そうだ。しかし魔力の総量は増えない。貯蔵庫は同じだ。ただより速く燃焼させる」忍は彼を見た。「技術はより強力になる。しかし体に過負荷がかかる。心臓、筋肉、骨――すべてが限界で機能する。巨大な負荷だ」


自来也は遮ることなく聞いていた。


「使用後――無力になる。数日間。もっとかもしれない、どれだけ持ちこたえたかによる。体が回復するまで横になっているだろう」


「数日間…」自来也は眉をひそめた。


「そうだ。だから使うのは確信があるときだけだ――敵が完全に破壊される。最終的に。もし破壊できなければ――彼らはこの技術の弱点を利用するだろう」


忍は数秒間黙っていた。それから立ち上がった。数歩下がった。


「お前はすべてに備えなければならない」声が小さく、より真剣になった。「身近な者の誰かが間違った道を選ぶことにも。誤った道を。そしてお前が彼を止められる唯一の者になるかもしれない」


自来也はまばたきした。そんなことは予想していなかった。


それから笑った。小さく、しかし心から。


「でも先生の方が私より強いじゃないですか」微笑んでいた。「先生なら誰でも止められます。まして先生を止めるなんて私には力が足りません」


忍は彼に向き直った。真剣な顔。


「時に弱さは力不足からだけではない…」


自来也は黙った。


「…力不足から?」


-----


森。日が夕方に傾いていた。


翔が先頭を歩いていた。額の血は乾いていたが、頭はまだ痛んでいた――鈍く、うずくような痛み。手を上げ、触れた。痛い。


近くに――破途、滝、海翔。


後ろに――少女。赤い髪が乱れ、一房が顔に落ちていた。翔の背中を黙って見ていた。遅れることなく歩いていた。


「あんな力…一人で…みんなに対して!」


思い出した――炎の壁、竜巻、爆発。紙のように木々を焼き尽くす炎。


「本当に強い男性」


頬がわずかに赤くなった。視線を横に逸らした。


滝が翔の隣を歩いていた。肩をさすった――爆風で打たれた後まだ痛んでいた。


「なあ」疲れた声だが、軽い冷笑を含んで。「お前の限界を見たと思ってた。でもお前はそこでも俺を騙してたんだな」


翔は答えなかった。ただ歩いた。


「マジで」滝は彼を見た。「あれは一体何だったんだ?」


「わからない」短く。「ただ…やった」


「“ただやった”」滝は鼻を鳴らした。「もちろん。ただ森の半分を焼いただけだ」


海翔が笑った。後ろを歩き、かろうじて立っていられる状態だった。


「俺はもう終わりだと思った。あの男が爆発を投げてきたとき――絶対死ぬと思った」


「俺も」破途は後頭部をさすった。「痛かった。とても痛かった」


少女が歩を速めた。翔と並んだ。横から彼を見ていた。


「あなたは…」小さく、不確かに。「いつもそんなに強かったの?」


翔は身震いした。振り返った。すぐそばに彼女の顔を見た――緑の目、赤い髪。


「彼女…こんなに近くに」


頬が赤くなり始めた。素早く顔を背けた。


「わからない」


「わからない?」彼女は首を傾げた。「生まれつき? それとも訓練?」


「訓練」


「どこで訓練したの?」


「…いろんな場所で」


「彼女はいるの?」


翔はつまずいた。転びそうになった。バランスを取った。


「な、何?!」


滝と海翔が大笑いした。


「あ、ごめんなさい!」少女が手で口を覆った。「そんなつもりじゃ…ただ気になって」


破途はにやりとした。翔に近づき、肩を叩いた。


「気にするな。彼はいつもこうだ。寡黙な英雄だ」少女を見て、ウインクした。「彼から言葉を引き出すのは大変だ。でも必要なら――お前のために森を焼くぞ」


翔はさらに赤くなった。歩を速め、前に進んだ。


「なぜ彼女はそんなことを聞く? なぜ私は赤くなる?」


少女が笑った。静かに、旋律的に。


「ごめんなさい。本当に困らせるつもりはなかったの」


翔は振り返らなかった。ただ歩いた。


-----


小川で止まった。水がせせらぎ、透明で冷たかった。


海翔が草の上に倒れた。


「もう無理。これ以上歩けない。足が取れそうだ」


滝が隣に座った。水筒を取り出し、一口飲み、破途に渡した。


少女が小川に近づいた。水辺にしゃがんだ。翔を見た――彼は離れたところに立ち、頭を押さえていた。


「ねえ」静かに呼んだ。「大丈夫?」


「ああ。ただ頭が痛い」


彼女は立ち上がった。近づいた。額を見た――乾いた血、傷がわずかに腫れていた。


「座って」小川のそばの石を指さした。


翔は彼女を見た。理解できなかった。


「座ってって言ってるの」より強く。


彼は座った。不安げに。


少女は自分のチュニックから布の切れ端を引きちぎった。小川に近づき、水に浸した。絞った。戻った。


翔の額に布を当てた。


彼は身震いした。


「爆発が周りにあるときは勇敢なのに、濡れた布を額に当てられると震えるのね」布を持ち、丁寧に押し当てていた。「我慢して、血が洗い流されるから」


翔は凍りついた。彼女はとても近くに立っていた。彼女の指が彼の額に触れ、冷たい布が傷に押し当てられていた。頬が再び赤くなった。


少女は気づいた。微笑んだ。


「トマトみたいに赤いわよ」


「ち、違う!」


「まあいいじゃない」布を外し、傷を見た。「きれいになったみたい。痛い?」


「あまり」


彼女は隣の草に座った。小川の水を見ていた。


「ありがとう」静かに。「みんな私を救ってくれた。もしあなたたちがいなかったら…どうなっていたか」


「どういたしまして」翔は彼女を見なかった。「ただ…助けた」


「いいえ、本当に」彼に向き直った。「あの男…彼は私を捕まえていた。あるいは殺していた。でもあなたたちは命を危険にさらした」


翔は黙っていた。


破途が近づいた。隣に座った。


「ところで、君の名前も知らないんだ」


少女はまばたきした。笑った。


「本当ね! 自己紹介もしてなかった」立ち上がり、お辞儀をした。「私は雀」


「雀…」破途は繰り返した。「きれいな名前だ。俺は破途。こっちは翔、滝、海翔」


みんなが頷いた。


海翔が肘をついて起き上がった。


「それで君はどこから? 森で一人で何してたんだ?」


雀は座り直した。両腕で膝を抱いた。


「私は村から。鍛冶師の村」彼らを見た。「黒門って聞いたことある?」


「職人の街」滝が頷いた。「聞いたことある。そこで魔法文字入りの武器を作ってるんだろ。俺たちそこに向かってる」


「作っていた」雀は悲しげに微笑んだ。「昔は作っていた。街が征服されたとき、多くの偉大な職人が逃げた。あちこちに。私の父は主任鍛冶師。街にいたすべての職人――彼の弟子たち」


「君の父親が?」破途は身を乗り出し、興味を持って。


「そう。彼は遠くまで行けなかった。自分の土地を離れたくなかった。私たちは森の奥深くに住み着いた。簡単には行けない場所に。そこで他の職人たちと暮らしている、残った人たちと」


「森の中?」海翔は眉をひそめた。「なんで他の土地に行かなかったんだ?」


「父は言った――これは俺たちの土地だって。ここで生まれ、祖先たちが暮らした。捨てたくなかった」雀は小川を見た。「私たちは隠れている。でも生きている」


「残った鍛冶師の居場所について少しでも知っている者すべてが追われている。きっと、彼らのために働かせたいんでしょう」


「それで君は村の外で何してたの?」翔が尋ねた。初めて自分から質問した。


雀は赤くなった。頭を下げた。


「私は…街を見たかった。もう一度。久しぶりだった。懐かしくて」溜息をついた。「帰り道で見つかった。追われ始めた」


「好奇心旺盛だな」破途は苦笑した。


「うん…」雀は申し訳なさそうに微笑んだ。「じっとしていられないの。父は言う、私はいつもどこかに行きたがる、何かを見たがるって」


翔は彼女を見た。彼女は微笑んでいたが、目には悲しみがあった。


「彼女は控えめだ。でも好奇心旺盛」


胸の中で何か温かいものが動いた。


「それであなたたちは何のために黒門に?」雀は興味深げに彼らを見た。


破途と滝が顔を見合わせた。


「強くなりたい」破途は肩をすくめた。「どこで…まあ、魔法について学べるか探してる。力を得るために」


「修業を」滝が付け加えた。「技術、属性。何でも」


「君の父親はそれを手伝えるかな?」海翔が起き上がり、興味を持って。


「たぶん」彼女は不安げに微笑んだ。「自分で話してみたら」


「そこにまだ魔法使いはいるの?」破途は身を乗り出した。「それとも修業について書いた本を書く人とか? 魔法に関連した何か?」


雀は考え込んだ。


「何人か職人がいる。魔法に詳しい人たち。でも少ない。記録、本、技術、研究、何かそういうものはあるみたい…」間。「あなたたちを助けられるかわからないけど…」彼女は森の方を見た。「私たちの村の近くに洞窟がある」


「洞窟?」滝は眉をひそめた。


「そう。でも、誰もそこに行かないように言われてる」声が小さくなった。「何か魔法的なものがあるって。何か強力なもの、ただ…否定的な」


静寂。風が枝でざわめいた。


「君は行ったことある?」翔が尋ねた。


雀は頷いた。


「興味が湧いて。見に行った」申し訳なさそうに微笑んだ。「でも入れなかった。そこのオーラが…圧迫する。とても強く」


海翔は身震いした。


「行かない方がいいんじゃないか?」


「もうお漏らししたのか?」滝はにやりとした。


「ああ、もちろん」海翔は鼻を鳴らした。「どこにでも突っ込む意味がわからないだけだ」


雀が笑った。


「まあ、怖がらないなら、行ってみたら」真剣になった。「でも、本当に入れさせてくれない。父は言う――危険だって。でも…」肩をすくめた。「あなたたちは強いから。もしかしたらできるかも」


破途と滝が再び顔を見合わせた。


「面白そうだな」破途は後頭部を掻いた。


翔は黙っていた。雀を見ていた。


「洞窟…何か否定的なもの…」


雀は立ち上がった。服の埃を払った。


「まず村に。お礼をしたいの。父は喜ぶわ。食事も出すし、休ませてくれる。それから――自分で決めて」彼らを見た。「どう?」


破途、滝、海翔が顔を見合わせた。


「食事?」海翔が活気づいた。「無料の食事?」


「そう」雀が笑った。「無料よ」


「俺は賛成」滝が手を上げた。


「俺も」破途が立ち上がった。「翔は?」


翔は雀を見た。彼女は彼を見て、答えを待っていた。


「いいだろう」頷いた。「行こう」


雀は大きく微笑んだ。


「ありがとう。さあ、道を案内するわ」


-----


黒門近くの陣営。夕方。


焚き火の周りにテントが立っていた。兵士たちが座り、食べ、小声で話していた。煙と焼いた肉の匂いがした。


陣営の中央――大きなテント。中には――テーブル、地図、蝋燭。


堅次がテーブルの前に立っていた。地図を見ていた。手の棒がゆっくりと回転していた。


烈が入ってきた。険しい顔、埃まみれ。鎧は擦り切れていた。近づき、テーブルの前で止まった。


「堅次様」


棒が止まった。


「報告せよ」


烈は息を吐いた。


「森で妨害がありました。村の者ではない若者たち。少女を捕まえるのを邪魔しました」


静寂。堅次はゆっくりと彼に向き直った。


「ガキどもにお前が膝をつかされたのか?」


声は静か。危険なほど静か。


烈は拳を握りしめた。


「いいえ。不意打ちを食らう前に撤退しました」


「撤退した」堅次は一歩前に出た。「お前は何もせずに撤退したのか?!」


手の棒が急に伸びた。棒になった。先端が烈の喉元に。


彼は凍りついた。顎を上げ、冷たい金属を肌に感じた。


「堅次様…」


「説明しろ」堅次は棒を外さなかった。「速く」


烈は均等に、冷静に話した。


「報告のために戻りました。彼らはもっといるかもしれません。その一人は――炎の魔法使い。とても強力です。一人で対処できる確信がありませんでした。そこでの無意味な死は鍛冶師探しの問題を解決しなかったでしょう」間。「もっと兵士を集めて戻りたかったのです」


堅次は目を見つめた。一秒。二秒。


棒が消えた。元の棒に戻った。


「炎の魔法使い…」


テント内を歩いた。両手を背中に。棒が指の間で回転していた。


「もし単に臆病風に吹かれただけなら…」


止まった。烈に向き直った。


「質より量では勝てない」声がより硬くなった。「私自身がお前と行く」


烈は頷いた。


「仰せのままに」


「お前の捕虜は何か言っているか?」


「いいえ。まだ黙っています」


堅次が近づいた。まっすぐ目を見た。


「話し始めるまで止めるな」


「承知しました」


「下がれ」


烈は出て行った。


堅次は一人残された。地図を見た。そこに記された森に指を走らせた。


「もうすぐ…もうすぐ」


*章の終わり*


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