第43話
城は山の麓に聳え立っていた。灰色の石、重厚な壁、細い塔。雪が屋根や軒に積もり、白い斑点となって周囲の斜面を覆っていた。風が建物の間を駆け抜け、銃眼で口笛を吹いていた。
雪姫は テラスに立っていた。広い場所、石の手すり。ここからは谷の景色が開けていた――道、森、丘。どこか地平線の向こうで、久志の軍隊が進軍していた。
勇翔が傍らに立ち、両手を背中に回していた。少し離れたところに二人の将軍。五郎――白髪、左目を横切る傷跡。匠――四十歳ほど、厳しい顔つき。
「彼らはすぐに来る」と雪姫が言った。「すべてを準備する必要がある」
「集落にはすでに通達済みです、陛下」五郎が答えた。「住民の大半はすでに首都に、城壁の内側に。安全な場所に」
雪姫は五郎を見た。それから勇翔を。
「それで、あなたの新しい知り合いたちは?」
勇翔が一歩近づいた。
「焔たちは残りの住民を護衛するはずです」
雪姫は頷いた。
「三つの町」勇翔はさらに近づき、まるで空中に地図を描くように。「二つは互いに近い――そこに仲間たちが向かった。最後の一つには焔が行った」
雪姫は眉をひそめた。
「彼らは道を知っているの? それにどうしてその焔が一人で町全体を? あなたは彼を一人で送ったの? もし彼に何かあったら?」
勇翔はわずかに微笑んだ。
「まずないでしょう、陛下。誰はともかく、彼なら疑いません。それに、道を示すために小さな部隊をつけました」
雪姫は息を吐き、再び谷を見た。
「彼らが頼りになる者たちであることを願うわ。あなたが彼らを信頼していることを。そして彼らが成し遂げられることを」
「仲間たちは戦場で私の同志となりました」勇翔は背筋を伸ばした。「私の信頼を勝ち取りました。命さえも」
沈黙。
「物資は長く持つの?」雪姫が尋ねた。
「半年の籠城に耐えられます、陛下」匠が答えた。「厳しい気候と環境のため、久志の軍隊はそれだけの期間でかなり減るでしょう」
「彼の軍隊が城壁の外で半年も待つとは思えないわ」
「毎日兵士の訓練、武器の点検を行っています」五郎が彼女に向き直った。「陛下、我々は準備万端です」
雪姫は頷いた。
「もう一つある」と彼女は付け加えた。「隣国は自分たちが次になることを理解している。兵士の一部を送ってきた」
勇翔は眉を上げた。
「賢明な判断です」
「首都からの秘密の出口を自ら確認して」と雪姫が言った。「念のため」
「承知いたしました」
勇翔は頭を下げて去った。
雪姫は一人残された。地平線を見つめていた。風が髪をなびかせていた。
「彼らにそのような力を手に入れさせてはならない…誰にも…」
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昼。
武史は町から少し離れたところに立っていた。多くの家、静寂。人っ子一人いない。
「どうやら住民はもうここから連れ出されたな」
しゃがみ込んだ。地面に手のひらで触れた。
「四人。明らかに住民ではない。二人は手に武器を持っている。兵士だ」
後ろに下がった。近くに岩だらけの土地、ところどころ岩壁。
力を込めた。まるで岩盤から四つの巨大な板を切り離したかのように。それぞれ家ほどの大きさ。四つの四角いブロック。
手を握りしめた。
ブロックが圧縮された。小さくなった。さらに小さく。
四つのほぼ完璧な球体に変わった。彼の背丈ほどの大きさ。
武史は町を見た。
「まあ、住民はいない」彼はつぶやいた。「兵士に手を出すなとは言われていない」
町を観察していた場所へ向かった。
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町の中。
焔と三人の兵士が空き家の一つに入った。疲れていた。
「さて…」兵士の一人が長椅子に座りながら言った。「住民は兵士の護衛で雪姫様の領地へ向かっている」
焔は頷いた。
「あとは首都へ向かうだけだ。丘の向こうで零司たちと合流できることを願う」
兵士の一人がベッドに横になり、もう一人が椅子に座った。三人目が台所へ向かった。
「お客様だということを忘れるな」
「はい、焔様…」横になった者が言った。「ただ休んでいるだけです。こんな柔らかいベッドに横になれる機会がいつあるでしょう?」
焔はわずかに微笑んだ。
「いいだろう。休ませてやろう。稼いだ」
ベッドの兵士が目を閉じた。
「俺のダチョウ馬が待ってる」彼はつぶやいた。「生まれたときから世話してきた。早く帰りたい」
二人目の兵士が苦笑した。
「俺は家の近くの山地が好きだ。畑仕事の後――熱いパンに蜂蜜と肉。特別な至福だ」
焔は頷いた。胸が温かくなった。
「普通の人々。普通の願い」
三人目の兵士が台所で物色し、棚を覗き込んでいた。
「何をしている?」焔が尋ねた。
「何か食べ物があるかと思って、焔様」
「言っただろう、お客様だ、人のものに触るな」
「でも、焔様、ただ…」
瞬間。何かが壁を貫いた。そして兵士の頭を。彼はジャガイモの袋のように倒れた。焔は凍りついた、何も理解できなかった。それからすべてが爆発したかのように。砲撃。壁を通して。木材、石、肉を一斉に貫いた。焔――障壁。自動的に、本能的に。砲弾――小さく、硬い――跳ね返った。軌道を変えた。貫通しなかった。彼は素早く障壁を拡大したが、遅かった。兵士たちは何もする間もなかった。血。埃。瓦礫。食器が飛び散った。ベッドは穴だらけ。テーブル。台所の鉄鍋――完全に穴が開いた。
砲撃は止まなかった。激しくなった。砲弾がより密に。より頻繁に。焔の障壁に当たって――四方に跳ね返った。壁を貫いた。右隣の家――砲弾が完全に貫通した。左も――同じだ。壁が崩れた。屋根の一部が内側に落ちた。焔がいた家が崩れていった。壁はまるでふるいのよう。天井がきしんだ。梁が落ちた。もう一本。屋根の一部が崩れ落ちた――瓦礫が下に降り注いだ。
焔は中心に立っていた。障壁が持ちこたえた。周囲――廃墟。埃が柱のように。砲撃が止んだ。
*静寂*
焔は障壁を下ろした。見回した。三つの遺体。まるで死を避けられると思っていたかのように横たわっていた。至る所に血。周囲の家々――廃墟に。物が散乱していた。埃が空中に漂っていた。
「何が…」
理解は即座には来なかった。それから――燃えるような怒り。
「あああああ!!!」
家から飛び出した。
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周囲を見回した。
突然――上から。隕石のように。
*ドォン*
男が町の中心に着地した。地面から小さな盛り上がりが立ち上がった。彼は座った。頭上で何かが回転していた。
焔は見ていた。
男はどこにも行かず、まるで彼を待っているかのようだった。
焔は歩いた。歯をむき出しにした。速度を上げた。走った。
急に地面から離れた。飛んだ。
少し近づいた。
「この頭上の球体…」
思い出した。会話。素繰からの能力の説明。
「毒の花粉。触れると石化。力を何倍にも増幅する覆い…武史」
焔は男から三十メートルの位置で停止した。
武史は座っていた。観察していた。
埃の粒子がすでに放出されている。地面だけでなく、空気中も感じ取っていた。
気づいた。
微細な粒子が通過しない。焔を迂回している。まるで球体のように。
「花粉はここでは明らかに役に立たない…」
「やはり本当だったか…」武史が声に出して言った。「そしてお前は生き延びた」
焔は理解できなかった。
「何人いる? どこから来た?」声は厳しい。「答えれば――速く痛みなく死なせてやる」
武史は笑った。
「あははは!」
焔は拳を握りしめた。
「お前は本当に父親の息子だ」武史は冷笑した。「ただ彼は無口だが、決意は同じだ」
焔は凍りついた。
「父親の息子?」
「お前は私の父を知っていたのか?」彼は息を吐いた。
武史は首を傾げた。
「どうして知っていた? 今も知っている」
「そんなはずはない! お前は嘘をついている!」
「彼も短気だ」武史は再び冷笑した。
焔は浮遊していた。激しく呼吸していた。
「彼が生きているなら、どうなっている?! どこにいる?! 言え!」
武史は立ち上がった。
「なら力づくで」
武史は手を上げた。
焔は突進する準備をした。
武史は地面に手のひらを打ちつけた。
*ドォォン*
地面からの波。巨大。広範囲。土、埃、家を集めて焔に向かって押し寄せた。
そして武史の下の地面は、まるで波の反対方向に。
焔は横に逃げようとしたが、波が広すぎた。
後方に吹き飛ばされた。両手を横に。
爆発。
数十。波の全長に散らばっていた。
火花。まるで蛍のように。
波が押し戻された。
大きな轟音。
すぐに、瓦礫、石、泥から二体の巨大なゴーレムが現れた。
轟音。四つん這いで、焔に急速に近づいていた。
焔はわずかに苛立っていた。
「彼は私を過小評価している…」
ゴーレムが全力で手のひらで打った。
見えない障壁が防いだ。
再び打撃。再び防御。
焔――爆発。
*ドォン* *ドォン*
最初のゴーレムを容易に破壊した。
二体目が彼に飛びかかった。
爆発。
二体目のゴーレムが破壊された。
すぐに、武史が後ろから飛び出した、まるでゴーレムの瓦礫から。黒い鎧に覆われていた。
打撃。
焔の球体に当たったが、音はなかった。
「重力球体…父親の息子だ!」
球体はまるで地面に押し付けられたかのよう。亀裂が地面を走った。打撃の巨大な力。
「これが彼の球体にできることか」――焔は考えた。
武史は打撃に最大限の力を注いでいた。貫通できなかった。
突然――爆発。瞬間的。武史は気づかなかった。爆発が彼を横に吹き飛ばした。
再び爆発。そしてまた。爆発の連続。彼を地面に叩きつけた。爆発の連続が彼をそう保持した。
焔の周囲に炎の竜巻が形成された。背後から巨大な龍蛇が炎で現れた。武史をさらに地面に叩きつけた。
巨大な温度。
焔は観察していた。
球体のスーツが加熱されていた。黒いスーツが赤色になった。しかし外側だけ。
巨大な温度。武史が横たわっていた石が加熱され始め、溶け始めた。
焔――真剣な顔。
爆発が止まった。龍の形をした炎――止まらなかった。
突然武史の頭がわずかに持ち上がった。彼は冷静に立ち上がった。
焔は炎を強めた。効果がなかった。
「この男の罠に陥りたくなければ、爆発を避けなければならない」
急な突進――武史が焔の球体の上に。上からの足での打撃。
*ビキッ*
地面が割れた。武史は跳ね返り、瞬時に横に――さらに打撃。重力が逸らした。打撃。防御。さらに打撃。
「彼は障壁を試している」
焔は飽きた。自分の周囲に炎の竜巻を放った。周囲の温度が上昇した。炎の音から唸りが立っていた。
「今は持久力の勝負だ」
武史は理解していた。
「高温は鎧が耐える。しかし空気が少なくなっている。震源地に近いほど、呼吸が困難になる」
距離を保った。
炎の竜巻が成長した。拡大した。高さを増した。
武史は焔から飛行で逃げ始めた。
彼の後ろ――龍蛇の形をした五つの炎の尾。巨大。太い。地面に衝突し、追いつこうとしていた。周囲に唸りが立っていた。竜巻がすでに大きすぎて、空全体が炎に包まれた。
「時間は私の味方ではない…」
武史は円を描いて飛んでいた。焔はより高く上昇し、彼を見るために。背後で炎の竜巻が回転していた。
突然焔が気づいた。武史は飛んでいた。しかし彼の頭には黒いスーツの一部がなかった。
「彼の兜はどこだ?」
武史はずっと円を描いて飛び、炎の尾から逃げていた。急に突進した。両手を合わせた。地面に落ちた。反転した。片膝をついた。
*ゴォ*
地面から球体が飛び出した。焔の障壁の背後に位置した。
「これは経験済みだ。お前は私の障壁を突破できない」
突然――焔の周囲の地面が上昇し始めた。地面の二つの半球のように。焔は集中を失った。これを見た。炎の龍がすぐに消えた。
二つの巨大な地面の板。真ん中に小さな焔。この土の塊と比べて。
地面が素早く上昇した。すべての家、植物、木、岩壁、すべての景観――二つの半球の形で。焔は逃げる時間がなかった。それに理解していた――間に合わない。
地面が瞬時に閉じた。焔は最大限に障壁を使った。両腕を脇で交差させた。
武史は両手を握りしめながら叫んだ。
「あああああ!!!!」
鼻から血が流れた。
地面の球が圧縮され始めた。
*ゴォ*
圧縮された。さらに轟音。さらに圧縮された。
焔は障壁を強めた。圧力を感じていた。
「この攻撃は違う。まるで彼が持っているほぼすべてを注ぎ込んだかのようだ」
武史はより大きく叫んだ。
「あああああ!!!」
「中央に一つの球体があり、内側から引き寄せて圧迫していた。そしてほぼすべての残りの力が外側に」
形成された地面と石の球が圧縮された。直径十メートル以下になった。
内部の圧力が巨大。
焔はこれを感じていた。
彼の鼻からも血が流れた。
「あああああ!!!」
武史は球を観察していた。疲れ切っていた。ほぼ消耗していた。
地面の球が落下し始めた。
武史が振り向こうとしたとき、球が黒い炎に包まれ、すぐに音もなく消えた。
焔が現れた。暗く、わずかに透明な炎が彼を覆っていた。彼は浮遊していた。軽い脱力感を感じていた。遠くに黒い人影を見た。まるで座っているかのように。ほぼ最後まで降下した。高い位置から落ちないように。黒い人影から視線を外さなかった。
「彼も恐らくほぼすべてを使った。止めを刺さなければ、まだ…」
瞬間的に地面の下から武史が飛び出した。時間がまるでスローモーションになった。彼は焔の左腕を掴んだ。焔は腕を逸らそうとした。しかし武史は触れることに成功した。
腕が石化し始めた。一瞬で焔は決断した。右腕から炎の光線が放たれた。
*ジュッ*
自ら左腕を切断した。光線はさらに進んだ――地面へ。
*ビシッ*
深い溝。二十メートル。地面が縁で溶けた。
武史は衝撃を受けた。焔の石化した腕を離した。急いで逃げようとした。
焔は止まることなく、光線を武史に向けた。彼は突進したが、光線が右腕を捉えた。
*ジュッ*
肘まで切断した。そして再び――地面に溝。さらに深く。溶けた石が煙を上げていた。
武史は切り株を押さえながら飛び去った。
焔は激怒していた。まるで第二の呼吸が現れたかのように。残りの力をすべて武史の捕獲に注いだ。龍蛇の形をした巨大な炎の尾が再び武史を追いかけた。後に溶けた岩盤を残していた。
武史はできる限り飛んだ。回避した。至る所で轟音。巨大な炎の龍が砲弾のように落下し、武史を捉えようとしていた。彼にはもうほとんど力がない。ある瞬間、彼は落下した、もう浮遊できなかった。数回転した。脚を負傷した。突然、彼は理解した。
「逃げるのは無意味だ」
激しい呼吸。腕はなくても、ところどころ肉と血。脚は打撲だらけ。武史は振り返った。彼の前に――巨大な炎の龍。彼を取り囲んだ。
焔が降下していた。
武史は彼を見た。
「母の目と髪…」と彼は言った。「しかし性格は父親のものだ」
焔は彼の前で止まった。
「お前が私の父がどこにいるか教えるか…」冷たい声。「さもなければお前は灰も残らない」
武史にゆっくりと黒い炎の新しい尾が近づいた。石に触れると――消えた。武史の顔の真正面に立った。驚いたことに、武史は熱を感じなかった。
「どうやら物質を分解するまで加熱するようだ…しかし、なぜか熱は感じない。あの兄弟の一人の技術に似ている」
武史は血を咳き込んだ。しかし微笑んでいた。
「あははは…」咳。「お前に二つのニュースがある。良いものと悪いもの」
沈黙。
「お前の父は生きている。これが良いニュースだ」
焔は凍りついた。
武史は血を吐き出した。
「そして悪いのは…我々の共通の友人が尽力した。そして今、彼は何も覚えていない…何も、誰も」
「なぜお前たちは彼にそんなことをした?! 化け物め!!!」
炎が武史の前にさらに近づいた。極端に近く。武史は死を恐れなかったが、もう微笑んでいなかった。血を吐いていた。腕は火傷。脚――骨折ではないにしても、脱臼のようだ。
「俺は彼に何もしていない!!」武史が叫んだ。「彼は俺の友人だった!!」
武史は息を吐いた。
「彼は戦場にいるだろう。すぐに誰か分かる…」武史は微笑む。「同じ性格だが、魔力は四倍だ」
「本当に彼は何も覚えていないのか? そもそも何が起こったんだ?」
武史は焔を見た。
「俺は彼の記憶を呼び覚まそうとした。しかし無駄だった。お前ならできるかもしれない…」
*咳*
「もし彼が思い出したら、挨拶を伝えてくれ…」
*咳*
「何人いる? どれだけ遠くまで? そして速い死を与えよう」
武史は何か言おうとした。微笑んだ。意識を失った。
焔は彼を正気に戻そうと急がなかった。
「もし彼が騙しているなら」
炎がわずかに脚に触れたが、武史は動かなかった。
焔は止めを刺す準備をしたが、考えていた。
「このような死は速すぎる…恐らく、彼はどのみち助からない」
「彼をここに一人残そう。少なくとも死ぬ前に、これが彼への報いとなるだろう」
彼をここに残すことにした。半死半生で。腕もなく歩く能力もなく。しかし憎しみは離れなかった。
*章の終わり*
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