第40話

宮殿の牢獄。翌日。


*ポタ、ポタ、ポタ*


水滴が時を刻んでいた。扉は今や外から施錠され、鉄の閂が廊下の衛兵の動きごとに軋んだ。


足音。軽く、慎重に。


破途(はんと)は見覚えのある房の前で立ち止まった。格子越しに長椅子の上の人影が見えた。


——つまり、あなたでしたか、終おじさん?


人影が動いた。顔が松明の光に出た。終月(しゅうげつ)——かつての王、今はただの囚人。


——つまり、お前だったのか、破途。——疲れた微笑み。


破途は格子の前にしゃがみ込み、指が冷たい鉄格子を握った。


——わかります——あなたの息子のことでした。しかし力は不釣り合いでした。あなたもそれを理解していたのに、それでも……


——息子の名誉のために立ち上がらなかったら、どんな父親だろうか?——終月は立ち上がり、近づいた。


——父親としては、おそらく良いでしょう。——破途は視線を上げた。——しかし王としては?今、あなたの国はどうなっている?


沈黙。水滴の音だけ。


——あなたを哀れに思いたい。——破途は続け、立ち上がった。——しかしあなたは復讐に、欲樹(よくじゅ)は貪欲に……そして無実の者が苦しむ。何万もの兵士が土を肥やす。まあ、肥やすことになる、雪が溶けたら。


喜びのない冷笑。


——とはいえ兵士たちは自ら戦争に行く。彼らも理解できない。今やっとわかった——戦争に勝者はいない、庶民の中には。王が果実を刈り取り、農民が息子を埋葬する。名誉を生きた人間と交換する。


——鍵穴から世界を見て、急いで裁く。——終月は背を向けた。——私の戦いは、お前が見ているものではない。


——あなたの戦いとは何ですか?まだ息子の死を自分のせいにしているのですか?罪はなかったのに?


——いや、私には罪がある。——静かに。——子供は親の責任だ。そしてすぐにこの罪は消える。安らぎを得る。


——自分を責める。処刑を贖罪として。——破途は首を横に振った。——なぜ戦争をする必要があったのですか?


終月は黙って、房の暗闇を見つめていた。


「戦争の途中で理解した——息子は戻らない。しかし止めるには遅すぎた。復讐は罪を洗い流さない。死だけができる」


-----


小百合(さゆり)の部屋。


蝶がガラスの球体の中を舞っていた。青い翼に金の模様。


「あなたは檻の中、私と同じ。美しく、金色だが、檻」


小百合はガラスに触れた。蝶が反対側から指に止まった。


——この循環すべて……権力、金、血。あった、ある、あり続ける。——囁き。——永遠の車輪。


「蓮(れん)……あなたの父の遺体は見つからなかった。悼むことさえできない、ましてや埋葬など」


扉が開いた。菖蒲(あやめ)がワインの瓶を持って入ってきた。


——妹よ!一緒に祝おう!


——何があったの?——小百合は驚いて振り返った。


——忍(しのぶ)が決着をつけた。我々の勝利だ!——菖蒲は二つのグラスに注いだ。——一日だ!彼には一日しかかからなかった!


——どうやって?


——彼らの魔物を殺した。王を捕らえた。——ワインを一口。——もし父が最初から彼を送っていたら、雷志(らいし)を恐れずに、こんなに金を失わずに済んだのに。


——命でしょう?——静かに小百合が訂正した。


——それもだ。——無関心に。


——終月はどうなるの?


——処刑。——菖蒲は椅子に座り、足を組んだ。——公開処刑。他の者が理解し、逆らわないように。公式な権力移譲。


——でも戦争は終わった!——小百合は急に立ち上がった。——なぜ無意味な犠牲を?なぜ殺す必要が?


——あなたはわかっていない。——冷たく。——そうしなければならない。父が決めた。説得はできない。


涙が小百合の頬を伝った。


——私たちは彼の息子を殺した。国を奪う。そしてあなたは言う——本人も殺さなければならないと?


——政治だ。——菖蒲はワインを飲み干した。——あなたはこの世界には柔らかすぎる。


小百合は窓に背を向けた。映り込みに——直途(なおと)の顔。笑顔で、優しい。


「ごめんなさい。私の家族のこと。できなかったこと……私はこれを望んでいない。でももう巻き込まれた。沼のように——もがけばもがくほど、深く沈む」


-----


酒場「銅の錨」の上の部屋。


壁沿いに四つの狭いベッド。窓辺に——冷めた茶の入った杯、隣にリンゴの芯。隅に暖炉、夜からまだ温かい。椅子の背もたれに自来也(じらいや)のシャツが掛かっている——彼は慌てて忘れた。窓の隙間から差す陽光が木の床に筋を描き、何百人もの宿泊客に踏まれて擦り減っている。


破途はリュックのベルトを締めていた。最後の確認——胸の母の首飾り、腰のナイフ、水筒。


扉が軋んだ。忍が入ってきた。


見渡した——全てのベッドのしわくちゃなシーツ、栞(しおり)の枕の上のハンカチ、ベッドの下に忘れられた芳禍(ほうか)のミトンに気づいた。


——出ていくのか?


——はい。——破途は振り返らず、固定具を確認していた。


——どこへ?


——黒門(くろかど)。


——まだ力を渇望しているのか?


破途はついに振り返った。目には以前の若さの熱がない。何かが変わった。


——わかったことがあります。——ベッドに座り、リュックを隣に。——あなた方全員を見て。この戦争を。正しい者も間違った者もいない。ただ権力を持つ者と、従う者だけ。今日守る者が、明日は攻撃する。無限の円環。


忍は壁に寄りかかった。陽光が彼の顔に落ち、皺を浮き上がらせた。


——それでも出ていくのか?


——だからこそです。——破途は立ち上がった。——少なくとも……そこから出る必要がある。


長い沈黙。下の酒場で机を動かす音だけが聞こえた。


——私は老いた、破途。しかし魂は——戦士の魂だ。——忍は窓を見た。——生涯、力の道を歩んできた。頂上に答えがあると信じていた。幸福。意味。


窓から離れ、弟子を真っ直ぐ見た。


——そこで何を見つけたと思う?虚無だ。冷たく、響く虚無。目的のない力は——呪いだ。もし尋ねるなら、なぜ私がまだ生きているのか……


喜びのない微笑み。


——生き延びている。他の方法を知らないから。しかし本当に生きていると感じるのは、ここで、お前たちと、今だけだ。


——決めました。——破途はリュックを肩に掛けた。


忍は頷いた。目に——理解と悲しみ。


「彼は変わった。世界の灰色を見た。黒と白は幻想だと理解した。今、この霧の中で自分の道を探している」


——行け。——静かに。——しかし覚えておけ——ここでいつでもお前を待っている。たとえ空手で戻っても。特に空手で戻ったら。


破途は扉に近づき、立ち止まった。


——先生……ありがとうございました。全てに。


——もう行け。——忍は背を向けた。——私が気が変わってお前を縛る前に。


——やはり先生は変態の暗黒面に引かれますね。


——もう行け。——忍は首を横に振った。


扉が閉まった。階段を下りる足音。静寂。


忍は窓に近づき、下を見た。破途が通りに出るのが見えた、そこで別れのために他の者がすでに待っている。


「誰もが自分の道を最後まで歩かなければならない。たとえ終わりに——虚無しかなくても」


-----


酒場の中庭。


栞は門のところに立ち、何かを手に握っていた。破途が近づくと、彼女は駆け寄り、抱きしめた。


涙が静かに流れた。彼女はすすり泣かなかった——ただ泣いていた、胸に顔を埋めて。


——ねえ……——破途は頭を撫でた。——戻ってくる。約束する。


栞は顔を上げ、包みを差し出した。中には——華滝(はなたき)で刺繍したハンカチ。下手で、歪んでいるが、心を込めて。


——だから……忘れないように……道を……


——忘れない。——ハンカチを心臓のそばに隠した。——僕が戻るまでに君は成長する。そしてもうどこにも行かない。


芳禍が駆け寄り、同じく抱きしめた。声を上げて泣き、涙を頬に塗り広げた。


——馬鹿!あなたは馬鹿よ!


自来也は離れて立ち、腕を組んでいた。顎に力が入り、視線をそらしている。


——なぜこんなことをする必要があった?——声は低い。——信じてはいけないとわかっていた。俺たちはお前を受け入れたのに、お前は俺たちをゴミのように捨てる!


——捨てない。——破途は彼に近づいた。——戻ってくる。


——嘘だ。


——いや。


互いを見つめた。それから破途が前に出て、抱きしめた。


——お前は兄弟になった。今まで持ったことのない。


自来也は固まった。それから抱き返した。強く、ほとんど痛いほどに。


——帰り道を忘れるな。——しわがれた声。——俺たちは待っている。


-----


中央広場。正午。


絞首台が広場の真ん中にそびえていた。新しく、新鮮な木の匂い。輪が風に揺れていた。


群衆が密集した輪を作った。女たちは泣いていた。男たちは石のような顔で立っていた。父の肩に乗った子供たち——よく見て覚えるために。


衛兵が通路を開けた。牢から行列が出てきた。


先頭に——衛兵。その後ろに——終月。手は縛られているが、頭は上げている。


道の途中で終月は立ち止まった。


——コートをもらえますか?——終月は穏やかに尋ねた。——寒い。手が震える。民が私が恐れていると思われたくない。


衛兵の一人が自分のコートを脱ぎ、囚人の肩に掛けた。


——感謝する。


絞首台に上った。ゆっくりと、規則正しく。一歩ごとに広場に響き渡った。


布告者が巻物を広げた:


——終月、今や元王!戦争を引き起こした罪で告発される!何千もの死の罪で!降伏拒否の罪で!


群衆は黙っていた。誰かがすすり泣いた。黒いショールの老婆がまるで独り言のように、彼が苦しまないようにと祈っていた。


輪が首に掛けられた。


-----


破途は脇道を歩いていた。リュックは重い——芳禍が一週間分の食料を詰め込んだ。


布告者の言葉を全て聞いた。群衆のすすり泣きの全てを。


「振り返るな。見るな。前に進め」


音——引き金が外れた。


鈍い音。


群衆が息を呑んだ。


涙が破途の頬を伝った。彼は素早く拭った、まるで内側で死にゆく人間性がこの弱さに気づくのを恐れるように。


足を速めた。


背後に——泣き声と祈り。


前方に——黒門への道。


*章の終わり*

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