第35話

零司の足元で地面が震えた。彼が振り返った——遠くに、木々の間を通して、何か巨大なものが動いていた。轟音。それからもう一つ。


——また奴らだ、——彼が息を吐いた。


慈様のレプリカが前を走り、肩に真司を担いでいた。料理人は抵抗しなかった——ただぶら下がり、穀物の袋のように、視線は虚空を向いていた。


轟音が近づいた。木々が割れ、折れた。


二体のゴーレムが茂みから飛び出した。四つん這いの人間の石の似姿、それぞれが家ほどの大きさ。空っぽの眼窩だが、目的を持って動いていた——彼らに向かって真っ直ぐに。


——速く!——レプリカが振り返らなかった。


「逃げ切れない」


最初のゴーレムが跳んだ。影が彼らを覆った。


レプリカが急に振り向き、まだ真司を抱えたまま。もう一方の手を真っ直ぐ上げた——指を広げた。


雷がゴーレムの腹に打った。爆発。


ゴーレムがバラバラに引き裂かれた。石が雨のように降り注いだ。レプリカがすでにさらに走っていた、まるで何も起きなかったかのように。


——どうやって……——零司が言い終えなかった。


二体目のゴーレムは跳ばなかった。ただ前に突進し、道のすべてを押しつぶした。一歩ごとに地面が震えた。


レプリカが振り向いた。真司がまだ肩に。


ゴーレムが五メートルに。巨大な手のひらが彼らに伸びた。


突進。地属性、質量増加と体強化の技。


上から下への足での打撃。ゴーレムの頭に直接。


パキッ。


頭がバラバラに砕け散った。破片が四方八方に飛んだ。


衝撃波がゴーレムの体を通った。体が耐えられなかった。バラバラになった。


レプリカが着地した。真司がまだ肩に、微動だにしなかった。


——さらに走る。


前に突進し、瓦礫を振り返らなかった。


-----


慈様の周りの空気が熱で震えた。炎と風の巨大な龍が木々の間を這っていた——五体、それぞれが家ほどの太さ。攻撃しなかった。ただ平行に移動し、追い込んでいた。


「翔と芳禍が一緒に働いている。賢い」


足元の地面が震えた。ゴーレムが右から飛び出した——もう一体、新鮮な。その肩に黒い人影が座っていた——武の球体からのレプリカ。


慈様が止まらなかった。円を描いて走り、ゴーレムの脚をかわした。火で補強されたハリケーンが横から打った——彼が一瞬周りに真空を作った。空気が消え、炎が燃料不足で消えた。


前に一歩——真空が消えた。もう一歩——新しい真空。そうやって移動し、一秒前に空気がなかった死のゾーンを残した。


ゴーレムが追いついた。巨大な手のひらが上から。


慈様がしゃがみ込み、手のひらを地面に。塵が濃密に上に舞い上がった。視界がメートルまで落ちた。


塵の雲から水流が飛び出した。枝ほどの太さ、途方もない圧力で。ゴーレムを脚から肩まで斜めに通り、真っ二つに切断した。肩の武のレプリカも——真っ二つに。


ゴーレムが崩れた。レプリカが元に戻り始めた。


——勇敢なゴキブリだ!——武の声がどこか上から聞こえた。


慈様が塵の雲から飛び出し、ちょうど間に合った。炎の竜巻が一秒前に彼が立っていた場所を通った。地面が硬い物質に変わるほど熱くなった。


武の五体のレプリカが慈様を囲んだ。


一体が新しいゴーレムの肩に、観察していた。


四体が地上に——同期して動き、輪を締め付けた。


最初が前に突進した。拳での打撃——真っ直ぐ、速い。


慈様が右に揺れた。拳が顔の横を通り、髪に触れた。


二体目が横から。もう一打。


回避——肩を横に、最小限の動き。拳が横を飛んだ。


「各打撃……質量が接触の瞬間に増加する」


気づいた——レプリカが打撃の前に重くなり、周りの空気が重さで歪んだ。


三体目が後ろから。腕を掴もうとした。


慈様がレプリカの腕を肩越しに引いた。足払い。レプリカが彼を越えて飛び、四体目にぶつかった。


五体目が上から。脚がハンマーのように、すべての質量を一点に。


横に突進。脚が地面に打った——クレーター、亀裂が表面に走った。


炎の龍。三体、まるで隕石のように。


後ろに跳躍。龍が彼が立っていた場所を通った。


空気の刃。何十も、四方八方から。


跳躍、空中で宙返り。刃が足の下、頭の上、横を通った。一つも当たらなかった。


着地。レプリカがすでにここに。


左から打撃。回避。右から打撃。前腕でブロック、横にそらす。下から打撃。跳躍。


肘をレプリカの顎に——横から、鋭く。頭が揺れ、割れた。同じ肘を後ろに——後頭部に。頭が変形し、流れた。


一秒——回復した。


「核は頭にない」


回転。脚で頭を。より強い打撃——頭が砕け散り、力で消えた。


元に生えた。ゆっくりだが、確実に。


上から巨大な影。


ゴーレムの巨大な手のひらが慈様の真上に落ちていた。


横に一歩。手のひらが地面に打った——轟音、塵が柱となり、地面が震えた。


二つ目の手のひら。上からまた打撃。


もう一歩。滑らかに、余分な動きなし。手のひらが外れた。


レプリカが再び囲んだ。


「各動き——最小限のマナ。効率を最大に」


四体が同時に。拳、脚、掴み。


慈様が彼らの間を動いた。回避、ブロック、そらす。手が閃いた——レプリカにかろうじて触れ、打撃をそらした。力を使わず、リダイレクトしようとした。


炎の竜巻。周りで渦を巻いた。


一瞬真空。炎が消えた。


上から空気圧。地面に押しつぶそうとした。


横に突進——ゾーンから出た。


攻撃が四方八方から、同時に、休む暇を与えずに来た。


彼が回避した。滑らかに、正確に。余分なものはない。


「しかし長くはもたない」


再び真空。再び走る。


ある瞬間、急に片膝をついた。荒く呼吸していた——息切れ。


何かが空気を切った。彼が聞こえなかった——真空が音を遮断した。空気の振動を感じなかった——空気がなかった。


三つの土の砲弾。ねじれ、鋭く、矢の速さで飛んでいた。


最初が前腕に当たった。貫通した——片側から入り、もう片側から出て、拳ほどの穴を残した。


二つ目——少し上、肩に。同じ穴。


三つ目——肘に。骨が砕けた。


慈様が止まった。腕を見た。それがぶら下がり、ふるいに変わっていた。血が川のように流れた。


——手をもぎ取ってやった!——武が上から浮かび、微笑んでいた。


雷が慈様の健康な手に輝いた。損傷した腕の肩を自分で打った。


腕が落ちた。ただ地面に落ち、数回痙攣して止まった。


炎。手のひらを切り株に当てた。焼けた肉の匂い。出血が止まった——傷が焼灼された。


顔が揺れなかった。


上から影が覆った。ゴーレムの巨大な手のひらが、彼の真上に落ちていた。


慈様が健康な手を上げた。拳の中——三本目の斧、腰にあったもの。柄を握った。


ゴーレムの手のひらが打った。


慈様が持ちこたえた。片手で、脚を地面に踏ん張って。足元の地面が割れ、メートル下に沈んだ。しかし持ちこたえた。


「そろそろ使うべきか」


マナが斧から体に流れ込んだ。小川ではなく——流れ、一気に。


髪が逆立った。風からではなく——オーラから、体から噴き出す。白く、ほぼ透明だが、見える。周りの空気が荒れ狂った。


目が白くなった。完全に——虹彩、瞳孔、すべて。


腕が再生し始めた。ゆっくりだが、見える——骨が成長し、筋肉がそれに巻きつき、皮膚が覆った。十秒で切り株が腕になった。


頭上に五つの球体が集まった。炎。水。空気。雷。地。複雑な軌道で回転し、空中に跡を残した。


——私はもちろん師匠ではないが、——慈様の声が大きくなり、共鳴した。——五分なら君たちに割ける。


雷が彼の体から飛び出した。一つではなく——十の放電が同時に、四方八方に。上から押していたゴーレムが小さな石に砕け散った。その肩の武のレプリカも——同様に。球体がかろうじて逃げ出し、主人のもとに戻った。


武が黒い覆いに包まれた。五つの球体すべてが鎧に融合した——密で、隙間がない。


雷が止まらなかった。慈様の周りに何度も何度も打った——地面に、空中に、四方八方に同時に。各放電が空中に光る跡を残した。まるで力そのものが外に破裂し、体に収まらないかのようだった。


足元の地面が蜘蛛の巣状に割れた。石がエネルギーに引き寄せられて浮遊した。


翔が瞬時に反応した。手を前に伸ばした。


慈様の周りに点が輝いた。何百も。小さく、明るく、蛍のように。それぞれが——爆発の胚。


時間がまるで止まったようだった。慈様がそれらすべてを見た——空中に浮かび、脈打ち、爆発の準備ができている。一瞬。爆発までの一瞬……


消えた。


爆発。


次々と、ほぼ同時に。轟音が一つの咆哮に融合した——耳をつんざくような、骨に振動する。地面が地震のように揺れた。炎と煙の柱が何十メートルも上に上がった。


唸りが数秒続いた。クレーター——何十ものクレーター——が一秒前に慈様が立っていた場所を覆っていた。


しかし彼はそこにいなかった。


横に立っていた、五十メートルほど離れて。白いオーラが明滅していた。


——彼は一度に出すマナの量が私たちの誰よりも多い。——芳禍の声が感情なし。——慎重に。


——奴が俺より強いと思うのか?!——武が怒り始めた。


——過小評価するのは愚かだと思う。


——たとえそうでも!——武が吠えた。——何で怖がらせる!


-----


慈様のレプリカが海渡の周りを円を描いて走っていた。脚が地面を滑り、まるでスケートのように——地の技、地面から離れずに移動できる。


炎の龍がレプリカの手から飛び出した。巨大で、口を開けた。海渡に突進した。


彼が手を前に上げた。地面から水が——同じ土から、根から——上に噴き上がった。自分の龍を形成した。二つの龍が衝突し、シューシューと音を立てて蒸発した。


——コピーで俺と遊ぶのか?——海渡が微笑んだが、目は冷たかった。——無礼だ。


レプリカが答えなかった。炎が強まった——空気が炎を補給し、より明るく、より熱くした。海渡の水龍が負け始めた。


海渡が目を閉じた。集中した。地面の深いところで何かを感じた。


笑みが広がった。


手を前で組んだ。地面が震えた。海渡の足元から噴水が飛び出した——普通ではなく、巨大で、強力な。水が上に打ち上げられ、周りの空気が震えるほどの力で。


水龍がサイズで三倍になった。炎を圧倒した。完全に消した。


噴水から何十もの水糸が飛び出した。針金のように細いが、切れる。四方八方からレプリカに飛んだ。


レプリカが跳び、回避した。一本の糸が近すぎた——髪の房を切った。もう一本——脚に、細い切り傷を残した。


レプリカが空気の刃を放った。海渡が水の盾を上げた——刃が衝突し、消えた。


戦いが続いた。レプリカが攻撃し、海渡が防御し反撃した。


-----


慈様が一瞬宙に浮いた。


視線が走った。翔。彼が横に立ち、観察していた。


「今だ」


慈様が目が追えないほど速く動いた。


翔の前に現れた。彼が瞬時に反応した——手を前に、爆発波。炎と圧力が同時に。


慈様が空気で横に押し出された。武に向かって飛んだ。


二本の指を前に伸ばした。先端に——雷。明るく、集中した。


武が遅すぎて理解した。回避しようとしたが、慈様が速かった。


指が胸の黒い覆いに触れた。雷が一点に打った。


割れた。覆いが砕け始め、亀裂が蜘蛛の巣状に広がった。


——ありえない!——武がショックを受けた。


——あああああ!——慈様がより強く押した。


亀裂がさらに広がったが、覆いは壊れなかった。密すぎ、その創造にマナが込められすぎていた。


しかし武が下に飛んだ。隕石のように、空気を突き破って。地面に衝突した——百メートルの溝、塵が柱となった。


慈様が空中に浮いた。体が耐えられないのを感じた。マナが速すぎて、一度にあまりにも多く出ていた。心臓が飛び出しそうなほど速く打っていた。目の前が暗くなった。


「もう少し。彼らにはもっと時間が必要だ」


五つの空気龍。芳禍がそれらを同時に放った——巨大で、口を開けた。四方八方から飛んだ。


慈様が自分のを作った。五対五。


衝突した。轟音が一瞬耳を聾した。これらの龍の衝突からの空気の刃が四方八方に飛んだ——地面、木々、遠くの丘を切った。一つの丘がただ頂上を切り落とされた。


慈様が感じた——弱さ。技が力をあまりにも速く奪っていた。白いオーラが明滅し始めた。


芳禍の龍が勝ち始めた。四方八方から押し、輪を締め付けた。


慈様が自分の周りに空気バリア球体を作った。龍が衝突したが、突破しなかった。ただその場に留め、押した。


翔が集中した。両手を前に出した。手のひらから——ビーム。エネルギー、集中した、純粋な。慈様に真っ直ぐ飛んだ。


——ダメええええ!——芳禍が理解した。


慈様が気づいた。理解した——空気球体では止められない。


雷が腕に輝いた。普通ではない——暗く、ほぼ黒い。空間の技。


彼の前の空間の一部が裂けた。開いた。鏡のようになった——反射する表面、光を歪める。


翔のビームが「鏡」から反射され、戻った。


慈様が瞬時に手を動かした——「鏡」が回転した。ビームが方向を変えた。山々を通り過ぎ、紙のように貫通した。翔と芳禍に真っ直ぐ飛んだ。


恐怖から、芳禍の空気龍が消えた。


翔が急いでビームを止めた。自分の攻撃が戻ってくる一瞬前に間に合った。


——もうこの技をここで使うな!——芳禍が怒った。——私たちを殺しそうになった!


慈様が落ちていた。白いオーラが明滅し、一秒消えた。


彼の前に武が現れた。黒い覆いが回復したが、彼自身が激怒していた。


振りかぶった。


慈様が腕を交差させた。雷の覆い——明るく、体を包んだ。地属性——体が石のように密になった。


武の拳が打った。


慈様が腕を交差させて打撃を阻止し、下に飛んだ。力で投げられた石のように。


地面に衝突する前に、武がすでにそこにいた。もう一打——手で、胸に。


呼吸が消えた。慈様が感じた——肋骨が割れた。雷の覆いと地の強化が助けたが、完全ではなかった。


横に飛んだ。


武が再び追いついた。脚での打撃——横から、腹に。


慈様が横に飛び、木の枝を突き破った。


「残り……数分。いや、もっと少ない。もっと時間が必要だ」


マナの放出を増やした。白いオーラがより明るく輝いたが、より頻繁に明滅し始めた。代償——今残り二十秒、それ以上ではない。


思考が加速した。周りの世界がまるで遅くなったようだった。慈様が今武の打撃をより明確に見た。


武が再び急に現れて振りかぶった——手で肩に。


慈様が回避した。肩が空中で回転し、標的を外した。二本の指を伸ばした——今度は紫の雷、前のよりもさらに明るい。


武の左肩を打った。


貫通した。覆いが割れた。


彼らが空中で回転した。今度は慈様が上に。


地面に衝突した。隕石のように、土に長い跡を残した。


雷が武の皮膚に触れた。慈様が服従の技を発動した。電気が敵の体を通り、麻痺させた。


武が凍りついた。動けなかった。


慈様がもう一方の手でバリアを作った。円筒形、上向き——透明な壁だが、純粋なマナから密。


バリアに龍が打った——空気と炎。轟音。バリアが震えたが、持ちこたえた。


慈様が手のひらを武の胸に当てた。マナを吸収し始めた。ほぼすべて。他人のエネルギーが彼の体に流れ込み、空になった貯蔵庫を満たした。


武の顔の鎧がマナ不足でわずかに開いた。


——さて……——武の顔に笑み、今でさえ。——俺を殺すのか?


慈様が黙っていた。目を見つめた。それから立ち上がった。


武がまだ動けなかった——服従の技が保持していた。


慈様がゆっくりとバリアから出た。


爆発。巨大で、同時に、四方八方から。翔がすべてを一度に放った。


雷の覆い。地の強化。慈様が持ちこたえた——傷一つない。しかし周りの地面がクレーターに変わり、轟音が一瞬耳を聾した。


翔と芳禍が彼の前に立っていた。攻撃を急がなかった。評価的に見ていた。


「私たちの方がマナは多い。しかし一つ間違った技で——そして彼は反撃できる」——芳禍が考えた。


「バリアは初めて見る。彼は武を服従させた?まだいくつの技を隠している?」


——近づかせるな。——芳禍が翔に小さく言った。——そして触れさせるな。


慈様が急に四つん這いになった。これから行うことの最良の支え。


マナが口の前に集まった——残っているほぼすべて。


翔が理解した——回避できない。


発射した。炎のビームが翔に真っ直ぐ飛んだ。


瞬時に手を前に伸ばし、翔が自分のビームを放った——炎のエネルギーから、純粋で、集中した。


二つのビームが衝突した。


唸り。低く、振動し、骨に浸透する。まるで地球そのものが緊張から呻いているようだった。


衝突の中心で球体が形成され始めた。最初は黄色、それから白——見るのが痛いほど明るい。エネルギーが逃げられず、両側から圧縮された。


熱気。耐えがたい。周りの空気が沸騰し、波で歪んだ。球体の下の地面が溶け始めた。


——ここから離れろ!——翔が叫んだ。


芳禍が舞い上がった。速く、振り返らずに。


遠くから何かが閃いたように見えた。速すぎて見分けられなかった。


球体が急に限界まで圧縮された。


最初は沈黙。絶対的な。まるで世界が息を止めたかのように。


それから——白い閃光。目を閉じても見えるほど明るい。一瞬周りの全員を盲目にした。


爆発。


波。衝撃的、破壊的。四方八方に同時に広がった。


木々がただ折れたのではなく——蒸発した。一瞬で灰に変わった。石が溶け、砂がガラスになった。遠くの丘が滑らかにされた、まるで誰かが巨大な手でそれらを撫でたかのように。


轟音。耳をつんざくような。ただの音ではなく——物理的な圧力、胸に打つ。近すぎた者の鼓膜が破れた。


風。ハリケーンの力。まだ立っていたすべてを吹き飛ばした——震源地から一キロの木々、石、瓦礫。


轟音が続いた。十秒。二十秒。地面が地震のように震えた。


風花では人々が通りに飛び出した。地平線を見つめ、そこで第二の太陽が輝いた。


月森では衛兵が壁の上で凍りついた。白い輝きがここからでも見えた——何十キロも離れたところから。


それから——沈黙。爆発前と同じく絶対的な。


ただ煙。塵と蒸気の柱が、空に五キロメートル上がっていた。


-----


零司が走っていた。レプリカが隣で、まだ真司を運んでいた。


閃光を見た。遠くだが、明るく——一瞬第二の太陽のように。


涙が頬を伝った。


顔が歪んだ。唇が剥き出しになり、歯が食いしばられた。


「慈様……」


——走る。——レプリカが止まらなかった。


零司が後を追った。涙が流れたが、拭わなかった。


-----


すべてが静まったとき、沈黙が残った。


クレーター。途方もない。直径一キロメートル——もっとかもしれない。縁が溶け、地面が黒いガラスに変わった。中心に——深さ百メートルの穴。


武が横たわっていた。慈様のバリアが彼を守った——割れたが、最後まで持ちこたえた。服従の技がまだ彼を保持していた。


翔が立っていた。熱気は彼に怖くない——炎属性が守っていた。しかし疲弊して見えた。


芳禍が隣に降りた。クレーターを見つめた。


横に慈様が横たわっていた。ほぼ全身火傷。皮膚が赤く、ところどころ黒い。荒く、ヒューヒューと呼吸していた。雷の覆いが完全に彼を守れなかった。


目が開いている。空を見つめていた。


煙の中から海渡が出てきた。手に——慈様の斧。彼と戦っていたレプリカの核だったもの。


慈様の隣に投げた。斧が石にカチャンと音を立てた。


——お前のおもちゃだ。——冷笑した。


隣にしゃがみ込み、手を上げた。


慈様が持ち上げられた——海渡が彼の体を操っていた。


——ダメええええ!——芳禍が前に踏み出した。


海渡が急に拳を開いた。


慈様が引き裂かれた。爆発が体をバラバラにした。染みと破片が残り、四方八方に飛び散った。


武の周りのバリアが消えた。服従も——同様に。


——これで問題解決だ。——海渡が立ち上がり、マントで手を拭いた。


芳禍の手が拳に握られた。目が赤くなった——涙からではなく、激怒から。海渡に向かった。


海渡が手を上げた。芳禍が止まった——したくなかったが、体がただ凍りついた。


——愛しい人。——海渡が近づいた。——落ち着け。でないと私たちは同じ船に乗っていると思っていたのに。


芳禍が憎しみを込めて見つめた。


——これだけがお前を救っている。


海渡が微笑んだ。身をかがめ、耳元で囁いた。


——お前が寝返ることを決める瞬間を待っている。ただ長く待たせるな。


制御を外した。


芳禍が膝をついた。力が残っていなかった——肉体的にも感情的にも。涙に溺れたい欲望。しかしできなかった……


ここではない。


*章の終わり*

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