第32話

朝。嵐戸から数キロの森。


雪が足元で軋んだ。新鮮で、清潔——一夜で過去のすべての跡を埋めた。数日前に何千もの死体が横たわっていた場所に、今は小さな丘や塊のある白い覆いだけ。


——それでも寒い。——芳禍が身震いし、スカーフを鼻まで引き上げた。


自来也が鉄の水筒を取り出し、手の中で直接温めた——炎が指の間で踊った。蓋を開けると湯気が上がった。


——飲め。


芳禍が一口飲み、栞に渡した。彼女が水筒を胸に押し当て、凍えた指を温めた。


——凍えているなら、スープを作れる!——芳禍が生き生きした。——材料は少しだけど、雪はたっぷりある。溶かして、温めて……


——落ち着け。——自来也が水筒を取り戻した。——あの世に急いでいない。


——またそれ!私は完璧に料理する!


——お前のスープの残りを花壇に捨てたら、花が枯れた。草が今も生えない。三ヶ月目だ。


——それはたった二回!——芳禍が彼の肩を突いた。——偶然!


——隣人に翼キツネザルがいた。なぜ「いた」か分かるか?


——まあ……三回。分かった、三回!でもそれでも偶然!——彼女が腕を組んだ。——心を込めてもてなしたかったのに、キツネザルに食べさせた!


——賢い隣人だ。——自来也が鼻を鳴らした。——動物虐待者だが。


開けた場所に出た。下に——凍った湖、ガラスのように滑らか。


-----


氷の縁に漁師が座っていた。


四十歳くらいの男。毛皮に包まれている。首に——奇妙なネックレス。歯だが、何か……おかしい。端が少し曲がっている。


「どんな生き物がこんな歯を持つ?鮫蛸?」


手に——前腕ほどの大きさの魚。鱗が虹色に輝いていた:青、緑、紫、また青。生きた虹。


ナイフが尾の鱗の下に入った。慎重に、角度を付けて。てこの原理——鱗が跳ねた。雪に落ちて灰色、普通になった。次。そして次。几帳面に、尾から頭へ、成長に逆らって。それから横の動き——層全体。カメレオン魚がナイフの各動きで色を失っていた。


——おじさん、嵐戸への道を教えてくれませんか?——自来也が近づいた。


漁師が顔を上げた。白髪混じりの明るい髪、疲れた顔、しかし目……目は鋭く、注意深かった。観察している。


——お前たちは誰だ?なぜ街が必要だ?


——旅人です。——自来也が開放的に微笑んだ。——あなたの商品について聞いています。珍しく、洗練された。


——旅人には名前があるか?


——自来也。これが芳禍と栞。


男が頷き、魚に戻った。最後の列の鱗を剥いだ。


——時雨と呼ばれている。街はそこだ、——ナイフで東を指した、——二キロ、それ以上ではない……


凍りついた。


視線が栞に釘付けになった。彼女が水筒を唇に運んでいた。湯気が凍てつく空気の中で白い雲となって上がっていた。


「湯気?冬に?金属の水筒から?」


ゆっくりと立ち上がった。ナイフがまだ手に。魚が雪に落ちた。


——なぜお前たちのマナを感じない?


笑みが消えた。顔が厳しく、他人のようになった。


「くそ!偏執症!」


*ヒュー!*


水の鞭が湖から跳ね上がり、氷の一部を折った。鞭のように速い。自来也が手を突き出した——空気が彼、栞、芳禍の周りに球体として渦を巻いた。鞭が球体を打ち、水が扇状に飛び散った。


芳禍が一瞬で反応した。空気の龍——蛇の形の渦——が時雨に激突した。


漁師が飛んだ。五十メートル。百。しかし足で着地し、氷の上を滑った。


カメレオン魚が雪に横たわっていた。灰色の鱗が悲しい紙吹雪のように周りに飛び散った。


——機敏な子供たちだ。


水が湖から上がった。小川のように彼に流れ、体を覆った。鎧。爪。四つん這いになった——もう獣、人間ではない。


——そんなに怒って、——自来也がつぶやいた、——まるでお前の料理を食わされたかのように。


——今は冗談を言う時じゃない!——芳禍が真面目になった。


——分かった、分かった……


時雨が息を吸った。


*切り裂く笛!*


水の流れ——いや、水の刃——が口から飛び出した。左から右へ、時雨が急に頭を回した。


木々が紙のように切られて倒れた。岩が割れた。どこか左でヘラジカ雌ライオンが吠えた——後ろ脚がきれいに切断された。雪の上の血。子供たちが散った。


自来也が渦を強めた。空気が猛烈な速度で回転し、流れを迎えた。轟音。飛沫が氷の塵になった。


「師匠がこれに備えさせた……でもこれは魔神レベルだ!」


切られた岩が雪崩を引き起こした。雪が頂上から降った。


*雪崩の轟音!*


白い壁。何トンもの雪。自来也が流れと雪崩の両方から障壁を保持した。


そして……


雨。


冷たく、重い滴。真冬の晴れた空から——雨。


「何だ……マナの匂いがする!でも奇妙で、異質な!」


——滴に触れるな!——自来也が叫んだ。——雨はおそらく敵の技術だ!


時雨が水の仮面越しに微笑んだ。


「一度雨に触れさえすれば……」


氷が割れた。水が壁となって上がり、三人を囲んだ。空気の球の周りの水の牢獄。


水の牢獄が収縮した。圧力が毎秒増した。


「長くは持たない」——自来也の思考が駆け巡った。


芳禍と栞を見た。緊張で歪んだ彼らの顔を。


「魔神レベル……俺は彼を倒せない。でも少なくとも遅らせられる」


——聞け!——自来也の声が厳しい。——俺が通路を作る。お前たちは走れ!


——何?!——芳禍が彼に向き直った。——いや!


——議論の余地はない!俺が彼を止める!


——置いていかない!


——妹のことを考えろ!——自来也が栞を見た。——彼女のことを!お前がここで死んだら誰が守る?!


芳禍が凍りついた。視線が栞に飛んだ——彼女が黙って見ていたが、目に懇願。


「くそ……くそ!」


——分かった……——声が途切れた。——でも戻ってきて!聞こえる?!


——もちろん。——自来也が微笑んだ。


嘘。二人とも知っていた。


芳禍が栞を背負った。


自来也が空気を一点に集中させた。ドリルのように回した——猛烈な速度、切り裂く流れ。


——掴まれ!


空気のドリルが水の壁を貫通した。トンネル——狭いが、十分。


——今だ!


空気の流れが少女たちを掴んだ。大砲から撃ち出したように外へ——遠く、力が続く限り。


穴を通して自来也が空気を吸い込んだ。たくさん。できる限り全て。


内側からの圧力。


*バン!*


水の牢獄が満杯の泡のように破裂した。水が四方八方に飛び散った。


——走れ、芳禍!——最後の叫び。


-----


嵐戸。地下牢。二日間の苦痛な待機。


——おい、四人!——警備兵が格子を開け放った。——出ていけ。


——何?——破途が瞬きした。


——本気?——滝が跳ね起きた。


——残りたいなら——お前たちの問題だ。


全員が一斉に出口に飛び出した。


——終おじさん!——破途が隣の独房で止まった。——俺たちは自由だ!


——それは正しい。——暗闇からの声が疲れていた。——幸運が微笑んでいる間に、逃げろ。次は最後になるかもしれない。


——一緒にいてくれてありがとう。——破途が感謝した。


——もう行け。


上で太陽が目を打った。


——そして覚えておけ!——警備兵が叫んだ。——街で魔法は——だめだ!その場で死刑!戦時中だ!


素早く買い物をした——パン、干し肉、水の入った水筒。そして街から去った。


岸沿いを歩いた。森を通るより短い。


二キロほど進んだ。海渡が突然止まった。


——聞こえる?


遠くで雷。しかし空は晴れている。


最初の雨滴が飛んできた。


——触れるな!——海渡が急に叫んだ。


翔が瞬時に反応した。全員の周りの薄い空気層が限界まで加熱された。滴が蒸気となって唸り、到達しなかった。


——奇妙な雨だ。——海渡が鼻を鳴らした。——水は俺の元素だが、これは……おかしい。


*轟音!*


そしてかろうじて聞こえる叫び:


——走れ、芳禍!


「これは声……」


——そこに俺の家族が!——破途が飛び出した。


——狂ったか?!——翔が止めようとした。


——家族だ!


彼の周りの空気の流れ——滴を弾き飛ばした。稲妻——加速。駆けた。


——くそったれ!——翔が後を追った。——彼の後を!早く!


-----


水の牢獄が内側から破裂した。空気圧がそれを引き裂いた。自来也がそこから出た。空気の流れが彼から吹き出し、滴が彼に触れるのを防いだ。


「流れを保て!滴に触れさせるな!」


しかし時雨がもうその場に立っていなかった。少女たちが急いだ方向に向き直った。


——どれくらい大声で悲鳴を上げるか興味深い?——時雨が肩越しに投げた。


そして走った。四つん這いで、獣のように。水の装甲が彼を巨大にしたが、遅くはなかった。


「いや!」


自来也が後を追った。脚が疲労で燃えたが、恐怖が前へ駆り立てた。


*ヒュー!*


水の尾——時雨の体の延長——が後ろに鞭打った。自来也がその下に潜り、後頭部で尾がどれほど近くを通過したか感じた、まるで死の手が空気に触れ、冷たい風を残したかのように。左の木が打撃で爆発した。破片と雪が四方八方に飛んだ。


再び打撃——右から。かわし、転がった。


「空気の球は消費が大きすぎる。かわす必要がある」


幹に飛び、空気で跳ね返った——追加の加速。もう一本の木、もう一回の跳躍。追いついていた。


尾が蛇のように木々の間を駆け巡った。各外れ——樹皮と雪の爆発。


自来也の顔の歯を食いしばった笑みが震えていた——恐怖から、怒りから。


「彼らに触れてみろ!」


横打ちのために加速した。空気が拳の周りに圧縮された。


時雨の水の足がすぐに横に振られた。


自来也が手のひらで空気の流れを作って跳ね返す時間があった——緩衝。しかし打撃の力……


湖に向かって飛んだ。空中で転がりながら。


*バリッ!*


稲妻。足に、その端に放電。ほぼ正面からの打撃——水の装甲に直接。


硬い層が貫通された。しかしその先——タールのような粘性の水。


足の周りの空気——瞬間的な追加打撃と同時にドリルのように。水が開いた。破途が跳ね下がった。時雨が飛び、道のすべての木を倒しながら、自来也の後を追って海へ。木々の割れる音が森中に聞こえた。


時雨が何が起きたかすぐに理解しなかった。立ち上がった。首を回した。


——もう一匹のネズミ?——時雨の言葉が笑顔で。


破途が森から飛び出し、自来也の前に立った。破途の顔に——純粋な怒り。


——誰も俺の白雪姫に触れさせない!——破途が叫ぶ。


時雨が跳んだ。足での打撃——破途がかわした。回転からの二度目の打撃、またかわした。


そしてそこに異なる方向から……


三体の土の龍が雪の下から飛び出した。滝がそれらを操っていた——巨大で、粗いが、速い。


氷の上を海渡が滑った。水の弾丸が連続で飛んだ。当たり、装甲から跳ね返り、周りの氷を砕いた。


——右から回れ!——滝が叫んだ。


——見える!——海渡が振り返り、撃ち続けた。


翔が離れて立っていた。片手が全員の上に熱のドームを保持していた——巨大な、数十メートル。もう片方の手が彼と滝を局所的な障壁で守っていた。


「どこからそんなにマナが?!」——時雨に閃いた。


——何の卒業生の集会だ?


そして気づいた——雨が地面に達していない。蒸発している。


「俺の切り札が無効化された。別の方法が必要だ」


腕を交差させた。水の糸——何百もの最も細い刃——が扇状に飛び散った。


——防御!


破途と自来也の空気の渦。海渡の水の障壁。翔の熱の壁——その下の砂が所々ガラスになった。


滝が切られた岩の塊を掴み、時雨に一つの流れで投げた。石が怒った蜂の群れのように回った。


周りの森が破片に変わっていた。


——興味深い。——時雨が翔を見た。——最強?


水の流れのために息を吸った。放出した。


流れが熱の壁に当たり、蒸気になった。雲が開けた場所を包んだ。


上から空気の龍が打った。芳禍が戻ってきた、栞が背中に。


——俺なしで楽しもうとした?——破途の隣に立った。——そして新しい友達を見つけた!


——馬鹿!——自来也が鼻から血を拭いた。——走れと言っただろ!


——黙れ。置いていけなかった。


時雨が評価した。七人。そして雨が働かない。


水の球に丸まった。刃が周りで踊った——切る、息切れするまで。


——俺に計画がある!——破途が叫んだ。——稲妻が覆いを粘性にする!空気が広げる!一緒に打つ!


——マナが尽きる!——自来也が叫んだ。


——俺も!


自来也の下の地面が湿った。水の触手が横に引っ張った。彼がそれらを引き裂いたが、障壁が落ちた。刃が無防備な体に飛んだ。


破途が急に片手で自来也の周りに新しい障壁を作り、もう片方で自分のを保持した。


「ほとんど届いた……俺の友達が危険だ!」


翔の怒りが燃え上がった。三体の炎の龍が彼のオーラから飛び出し、時雨を包んだ。


「何?!雨の遮断中にまだ攻撃する?!」


炎が装甲の水を沸騰させた。それが蒸発し、海から新しいものが取られた——ほぼ無限のサイクル。しかし炎と蒸気の中で時雨が盲目になった。


——今だ!


芳禍——二体の空気の龍ドリルが時雨の両側から。自来也と破途——稲妻。硬いものが粘性になった。空気が穴を開けた。


そしてこの穴に翔が集められる限りの熱をすべて向けた。


叫びが一秒続いた。水が内側から沸騰した。時雨が自分の装甲の中で煮えた——脳がほぼ瞬時に痛みから切れた。


体が倒れた。


全員が地面に崩れた。翔以外——彼は激しく息をついていただけ。


——お前……——滝が星型に横たわった、——ずっと手加減していた?!


翔が目を回した。


——役立たずだった。——海渡がつぶやいた。——俺の元素なのに、役に立たない……


——素晴らしい仕事。——後ろからの声。


疾風が芳禍の背後に音もなく現れた。空気が体の各センチメートルを圧迫した——七人全員の完全な固定化。


——お前たちを解放するのは間違いだと知っていた!


破途が動こうとする。


——試してみろ!友達が思い出になる!


——おじさん……——芳禍がかすれた。——許して……でも……


疾風の脚が崩れた。腕が垂れた。雪に顔から倒れ、血が出るまで舌を噛んだ。


——ごめんごめん!マナがほとんど尽きた……毒を出す必要があった……保持できなかった……


「麻痺毒……力がある限り保持していた」


栞が脈を確認した。頷いた——生きている。そして破途に微笑んだ。


「良かった、俺たちには血中に解毒剤があり、あの三人組は震源地から十分遠い」——破途の思考。


沈黙。風だけ。


——誰か……——滝の声。——説明してくれ……これは何だった?!


*章の終わり*

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