第17話
追撃してくるヒロインたちの網からも逃れるため、彼は一か八か、その古代転移魔法陣へとダイブしました。
視界が強烈な白光に包まれ、次に目を開けたとき、そこは太陽の光さえ届かないほど巨大なキノコと毒々しい色彩の花々が咲き乱れる**『黄昏の魔女の森』**でした。
「……どこだよ、ここ。空が紫だし、カラスが三つ目だし……」
ヤマトが困惑しながら歩き出すと、森の奥にひっそりと佇む、巨大なカボチャのような形をした家を見つけました。
その前で、一人の少女が大きな釜をかき混ぜながら、泣きそうに身悶えていました。
漆黒の尖り帽子を被り、露出の多いローブを纏ったその少女こそ、数百年を孤独に生きる天才魔女リリス。しかし、彼女は今、自ら調合した『全自動・魔力感度ブースト薬』を誤って浴びてしまい、大ピンチに陥っていました。
「あ、うぅ……っ。だれか……だれでもいいから、この『疼き』を止めて……。風が吹くだけで、脳が……溶けちゃうのぉっ!!」
彼女の肌は、薬の副作用でピンク色に上気し、服が擦れる音だけでビクンと肩を揺らしています。
「(……関わっちゃダメだ。でも、あの釜が爆発したら森ごと吹き飛びそうだぞ!?)」
ヤマトが恐る恐る近づくと、リリスは彼から漂う「究極の癒やし成分」を敏感に察知し、血走った瞳で飛びついてきました。
「……あ、貴方……いい匂いがする。……お願い、その手で……私の『魔力の暴走』を鎮めて……っ。じゃないと、私……絶頂したまま死んじゃうっ!!」
『――検知:超高濃度・錬金術薬物による「全神経の過負荷」状態』
『補足:解毒には、彼女の魔力の起点である「みぞおち」への直接干渉が必要です』
『スキル【神聖なる悦楽の再生】……本日は【魔女の秘薬・中和絶頂(ウィッチ・ポーション・ブレイク)】を起動します』
「……わかった! じっとしてろよ!」
ヤマトはリリスの薄いローブ越しに、熱を持ったみぞおちへと掌を押し当てました。
「――っ!? ぁ……ひぃ、あああああああああああああっ!!?」
リリスの帽子が飛び、背中が激しくのけぞります。
ヤマトの魔力が、彼女の神経を焼き焦がさんばかりの薬毒を、一気に「純粋な快感エネルギー」へと変換して排出させます。
「すごい……っ! 薬で高まった感度に、貴方の魔法が……っ。頭の中が、星降る夜みたいに、チカチカして……ああぁぁっ! 魔法の杖が……勝手に、光り出しちゃうぅぅっ!!」
リリスの魔力が暴走し、周囲の植物たちが彼女の絶頂に呼応して、一斉に甘い芳香を放ち始めます。
数分後。毒は消え、リリスはヤマトの膝の上で、荒い息をつきながら彼を「獲物」として見つめました。
「……決めた。貴方は今日から、私の『使い魔(夫)』よ。……私の実験を、その指で助けてもらうわ。……逃げようとしたら、貴方を小さな可愛いカエルに変えて、一生私の胸の間で飼ってあげる……ふふっ」
(ついに人間外の扱いかよ!!)
しかし、森の境界線を破壊して、聖騎士団、海賊、聖女、そして地底の機械人形たちが一斉になだれ込んできました。
「ヤマト様ぁ、魔女の家にお呼ばれですかぁ!?」
「(……もう、誰か俺をどこか遠くに飛ばしてくれ!!)」
ヤマトは最後の手段として、リリスの「首筋の魔力核」に指を突き立てました。
「ごめんリリス! 【終焉を刻む指先(ラスト・ピリオド・タッチ)】!!」
「――っ!? ぁ、ふあ……魔法の、向こう側が……見えるぅぅぅ……あへぇぇぇっ!!」
リリスが幸せそうに気絶した瞬間、彼女の持っていた転移の杖が暴走。ヤマトは再び、光の渦に飲み込まれていきました。
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