第11話

​「……はぁ、はぁ。ここまで来れば、流石にアマゾネスたちも……」

​ヤマトが立ち止まった瞬間、足元の蔦が蛇のように蠢き、彼の足首をガッシリと掴みました。

​「うわっ!? なんだこれ!」

​抗う間もなく、無数の蔦がヤマトの手首、腰、そして胸元へと絡みつき、彼を森の中央にそびえ立つ、巨大で禍々しい巨樹へと引きずり上げます。

それは太古の昔からこの島を支配する魔樹の女王、ドライアドのクロエでした。

​しかし、彼女の様子はどこか不気味でした。樹皮は乾いてひび割れ、葉は枯れ落ち、その中心部にある女性の姿をした本体は、苦しげに喘いでいます。

​「あ……あぁ。魔力が……足りない……。誰でもいい、私を……潤して……っ」

​『――検知:古代幻想種「世界樹の末裔」の重度の枯死状態を確認』

『補足:大地全体の魔力循環が滞っています。治療には「直接的な核への接触」が必要です』

『スキル【神聖なる悦楽の再生】……本日は【万物開花の絶頂(エターナル・グリーン・オーガズム)】を強制起動します』

​「ちょっ、世界樹相手に発動するのかよ!?」

​ヤマトの体が蔦によって引き寄せられ、ドライアドの「核」である彼女の胸元の柔らかな樹皮に、掌がピッタリと吸い付きました。

その瞬間、ヤマトから噴き出した黄金の魔力が、毛細血管のような根を通じて森全体へと逆流しました。

​「――っ!? ぁ、ああぁぁぁあああああああああっ!!!」

​森全体が、まるで一つの生き物のように震え、鳴動しました。

ヤマトの手が触れている場所から、生命エネルギーがドクドクと注ぎ込まれ、枯死寸前だったクロエの体は一瞬で瑞々しい若葉のような肌へと再生していきます。

​「あ、あああ……っ! 何これ、熱い……熱い魔力が、根っこの先まで、隅々まで……っ! 私、咲いちゃう……全部の枝が、咲き乱れちゃうぅぅっ!!」

​クロエの叫びと連動するように、周囲の枯れ木が一斉に花を咲かせ、ピンク色の甘い花粉が霧のように舞い上がります。

ヤマトに絡みつく蔦は、もはや拘束ではなく、愛おしい者を愛撫する触手のような動きに変わり、彼の服を優しく脱がせ、敏感な肌を執拗に弄り始めました。

​「もう……放さない。貴方は、私の森の『王(しんじゅ)』よ。貴方の魔力がないと、私……また枯れちゃう……っ」

​さらに恐ろしいことに、ヤマトの魔力が森全体に行き渡ったことで、島中の植物が「発情」し始めました。

ヤマトを追ってきたルナリスやバルバラたちも、突然動き出した蔦や花々に絡め取られ、甘い香りに意識を朦朧とさせています。

​「ヤマト……っ、お前の魔力……こんなところまで……あぁ、ずるい……っ」

​森全体がヤマトを愛でるための巨大な性感帯と化した、文字通りの地獄(パラダイス)。

クロエの本体である女性が、完全に蕩けた顔でヤマトの首筋に舌を這わせます。

​「ねぇ、ヤマト……。私の『種子』も、貴方のその熱い魔法で……中まで、パンパンにして……っ」

​(このままじゃ、森の肥やしにされる!!)

​ヤマトは最後の力を振り絞り、クロエの「核」のさらに奥、魔力の供給源である『根源の芽』へ指を突き立てました。

​「これで……静まってくれ! 【終焉を刻む指先(ラスト・ピリオド・タッチ)】!!」

​世界樹の末裔にとって、それは宇宙の誕生を見るような衝撃でした。

​「――っ!? ぁ、ふえ……あ、あああああああああぁぁぁ……っ!!」

​クロエは全身から大量の甘い蜜を噴き出し、全枝全葉を激しく震わせた後、至福のあまり一瞬で全ての活動を停止させ、深い眠り(強制到達)へと落ちました。

​「……今の、うち、だ……」

​ヤマトは蔦の拘束が緩んだ隙に、蜜でベタベタになった体のまま、森の出口へと転がり落ちました。

しかし、その先は……なんと、ヒロインたちが蔦に捕らわれ、無防備な姿で悶えているビーチでした。

​「……あ。ヤマト……見つけた……」

​朦朧とした意識の中で、ルナリスがヤマトの足首を掴みます。

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