第2話
「……なあ、ルナリス。そろそろ離してくれないか? 歩きにくいんだけど」
森を抜け、隣町の宿場を目指す道中。ヤマトは困り果てていた。
先ほどまで瀕死だったはずのダークエルフ、ルナリスが、まるで巨大な雛鳥のようにヤマトの右腕に抱きついて離れないのだ。
ただの抱擁ではない。彼女の豊かな胸の膨らみがヤマトの二の腕を完全に包み込み、歩くたびにその柔らかい弾力が、ダイレクトに伝わってくる。
「……嫌だ。貴方は私を『汚した』。私の体の中に、あんな熱いものを流し込んで……。責任、取ってくれるのだろう?」
ルナリスが上目遣いでヤマトを見上げる。その瞳には、かつての森の守護者としての矜持はなく、ただ一人の男に「中まで癒やされた」女の、蕩けるような情欲が混じっていた。
「汚したって……言葉を選べよ! 治療だろ!?」
「治療でも何でもいい。……あんな感覚、知らなければ平穏に死ねた。だが、知ってしまった……。今も、貴方の手が触れた場所が、疼いて止まらないんだ……ッ」
ルナリスはそう言うと、自らヤマトの手を取り、自分の細い腰から、さらに下――まだ熱を帯びたままの自身の太ももの内側へと導いた。
「ひゃっ!? お、おい、何を……!」
「静かにしろ……。まだ少し、呪いの残滓がある気がする。……もう一度、さっきの『魔法』をかけてくれ。もっと、深く……」
彼女の吐息が荒くなる。ヤマトの指先が、彼女の極上の肌に触れた瞬間、脳内のシステムメッセージが再び軽快に鳴り響いた。
『――検知:対象の精神状態が「発情・依存」に移行』
『治療効率200%ボーナス適用。愛撫による魔力循環を開始します』
「うわ、また勝手に……っ!」
ヤマトの指先から、ジンジンとした熱が発生する。
ルナリスの肌は、ヤマトの魔力を吸い上げるように吸い付いてくる。彼女はヤマトの首筋に顔を埋め、獲物を狙う肉食獣のような、けれど甘い声を漏らした。
「……あ、ああぁ……っ! 良い……ヤマトの指、すごく良い……。中が、とろとろに溶けて……っ」
彼女の尖った耳が真っ赤に染まり、激しく震える。
ヤマトは懸命に理性を保とうとするが、密着するルナリスから溢れ出す、熟れた果実のような芳醇な香りと、艶かしい声に、股間が悲鳴を上げ始めていた。
「(ダメだ……これ以上続けたら、俺の理性が先に焼き切れる!)」
ヤマトは何とか手を離そうとするが、その時、ルナリスの力がふっと強まった。
彼女の爪が、ヤマトの背中にわずかに食い込む。
「……逃げようとしたら、足の腱を切ってでも繋ぎ止めてやる。貴方は、私の救世主(飼い主)なんだから……」
ゾクッとするような、真剣な声音。
感謝が重なりすぎて、完全に「ヤンデレ」の領域に踏み込んでいる。
「わ、わかった! わかったから! ちゃんと宿まで連れて行くから、その怖い目はやめてくれ!」
ヤマトは冷や汗を流しながら、彼女をなだめる。
どうにかこうにか、二人は夕暮れ時に宿場町へと辿り着いた。
だが、ヤマトはまだ知らなかった。
この町の一番大きな屋敷……**「侯爵家の別邸」**では、原因不明の『魔力衰弱症』に侵され、日に日に体が敏感になりすぎて、衣服の摩擦ですら絶頂してしまうという奇病に苦しむ、処女の令嬢が彼を待っているということを。
そして、その令嬢を護衛する生真面目な女騎士が、ヤマトの「破廉恥な治療」を目の当たりにした時、どのような「歪んだ正義感(独占欲)」に目覚めるのかを――。
「……まずは、このダークエルフをどうにか剥がして、一人で寝る方法を考えないと……」
ヤマトの長い夜は、まだ始まったばかりだった。
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