紅のタトゥー

薄川 零

紅のタトゥー 序章 もしそこへ戻ることができるなら…

 1987年1月……

 まだ19歳な僕だったが……

 前年末から抱えていた、いわゆる『恋のトラブル』……

 即ち……あれだけ蜜月だった彼女……二つ年上のあやさんから僕は、17歳高2のミサコとの関係を誤解されたまま……

 引っ叩かれて、完璧に別れを告げられたまま……年が明けた。


 その、ミサコ……

 ヨシロウくんと言う『学校の彼氏』が6月から居たにも拘わらず……

 あやさんの元カレの、マサヤさん……

 それから僕……

 そして、僕のアパートに同居させていた……元バンドメンバーのシンと……

 次々と『二股相手』を変えて行ったミサコだったが……

 『今の彼氏(二股相手)』と言うことになっている、シンが警察に捕まり留置所止留めとなっていることを、未だ知らなかった。

 そのままでは……「シンに会いに来た」との建前で、またも僕のアパートへと来てしまう可能性は充分にある……

 そんな可能性を残しておくこと自体が、あやさんへの『誠意』ではないと判断した僕は……

 ミサコの通う本厚木高校の三学期の始業式の朝を狙い、ミサコとのケジメをつけに行き……

 今度こそ、もう二度と会わないためにも……


「シンは今、池袋警察署留置所。面会に行きたければ勝手に行け。但し、アパートへは二度と来るな」


 と……伝えたいことのすべてを伝えた上で、最後の別れを告げたのだった。


 これで漸く……あやさんに赦しを乞う資格を得たと、あやさんのアパートへ行ってみたら……

 あやさんはその前の週に引っ越していて、既に次の住民が住んでいたんだ。

 あやさんから貰った名刺に記載の勤務先へ電話しても……

「(あやさんは)今年から異動で、新宿支社には既に居ない……異動先の情報は社内規定に拠り部外者には教えられない」

 と言われてしまい……

 結局あやさんとは、それっきりだった。


 あんなに……あやさんとは、あんなに愛し合っていたというのに……

 もし……そこに戻ることができるなら……

 何を犠牲にしても……すべてを捨ててもいいと……思っていたが……

 人の『縁』というものは、ほんの小さな巡り合わせで……

 こんなにも脆く崩れ去ってしまうのだということを……

 実感し、学んだ……恋だったんだ。


 然しながら、人の『縁』は……

 その、ほんの小さな巡り合わせで……

 逆に、紡がれると言うことでもあるのだと……

 同じく、実感し学ぶこととなった……

 仮に『恋』とは呼ばなかったとしても……

 そんな『縁』に満ちた物語を、これから綴ることにする。


 それは……

 アカネ……そしてスズカと言う……

 17歳の、現役ヤンキー二人組との……

 出逢いだった。

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