第24話 甘い話は、向こうから来る
メールの件名は、
やけに丁寧だった。
*
《競馬メディア運営のご相談》
*
「……来た」
俺が呟くと、
ひよりが即座に反応する。
「怪しい?」
「半分」
*
差出人は、
聞いたことのある名前。
小規模だが、
界隈では知られている
競馬系メディア。
*
「内容、読む?」
「もちろん」
*
《あなたの分析記事を拝見しました》
《予想ではなく、資金管理という切り口に興味があります》
《当メディアで連載をお願いできませんか》
*
条件。
・原稿料
・成果報酬
・名前はペンネーム
・顔出し不要
*
「……悪くない」
ひよりが率直に言う。
「でも」
俺は、
画面を見たまま言う。
「縛られる」
*
連載。
露出。
信頼。
同時に――
自由を失う。
*
「ねえ」
ひよりが、
少し真剣な顔で言う。
「選択肢、
増えたよね」
*
その通りだ。
前世では、
こんな話、
一度も来なかった。
*
「桐生くん」
「はい」
「断っても、
勝ち」
「受けても、
勝ち」
*
それが、
一番怖い。
*
メールの最後に、
こう書いてあった。
《一度、オンラインで
お話できませんか》
*
面談。
言質。
契約。
*
(競馬より、
緊張するな)
*
桐生こういちは、
静かに思う。
金を増やすフェーズは、
終わりかけている。
次は――
守りながら、
広げるフェーズだ。
*
その一歩目が、
今。
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