第2話:バイト先に、色々と目立つ競馬ガチ勢がいました
「はーい、新人くんこっちお願い」
振り返った瞬間、俺――桐生こういちは一瞬言葉を失った。
「……」
エプロンの前面が、やけに主張している。
というか、主張しすぎている。
「? どしたの?」
首をかしげる彼女――白石ひより。
その動きに合わせて、視線も強制的に上下する。
「い、いや……よろしくお願いします」
「こちらこそー。あ、ひよりでいいよ!」
距離、近い。
そして柔らかそう。
物理的に。
(……集中しろ、俺)
競馬で稼ぐと決めた男が、ここで動揺してどうする。
*
休憩中。
「桐生くんさ、競馬やる?」
唐突すぎる質問と同時に、
胸ポケットから競馬新聞がはみ出ている。
「……ガチですね」
「えへへ」
自覚がないのが一番タチ悪い。
「私、穴党なんだよねー。人気馬、だいたい信用してない」
「それ、長期的には負けますよ」
「うっ……痛いとこ突く」
ひよりはむにっと頬を膨らませる。
その動きでも、やっぱり目立つ。
「じゃあさ」
ひよりが身を乗り出す。
「今度、一緒に競馬場行こ?
私が穴、桐生くんが堅実。最強じゃない?」
「……理論上は」
「よっし決まり!」
俺の返事を待たずに、話は決定した。
――後に俺は知ることになる。
白石ひよりは、スタイルだけじゃなく、
競馬の勘もとんでもなく“デカい”女だということを。
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