第2話 家の事情
そもそも、普通の民だった私が聖女にならなくてはいけなくなったのは、家の事情があったからだ。
私の家は、一般的に見ても貧乏と分かるような家。
母が前に体を使ってもらったとされる小さな屋敷の、その8分の1ほど。
私の部屋………とは言ってもベッドとライトしかない………がその4分の1ほどだ。
ベッドとは言ってもあのフカフカな気持ちのいいベッドではなく、体の半分が収まるほどの小さな段ボールみたいなもの。
たまにアリが登ってきたり、ネズミが枕元にいたりする。
こんな家庭環境の中、買い物に行っていた母と父が通り魔に刺され、即死。
私に残されたのは、母と父がコツコツ返していた借金一億円と、わがままな一個下の妹・ヘレナだけ。
これだけだ。
毎日必死に生活していた。
ありったけのお金を集めて食べたパンは、いつもよりおいしく感じた。
掃除したって出てくるほこりに嫌気が差した。
たまに同じ服を着て、臭いなって思いながら、一日中生活した。
それで良かった、良かった。
これだけ、家があって、食べ物も食べられて、服が着れて、それだけで良かったのに。
一つ、嫌なことがあったり、幸せが崩れたりすると、他のものも全部崩れていく。
何で、何で?
はぁ、とため息をつきながら、私は「やりたくない!」とうだる妹を連れて王邸へ向かった。
これが、私が聖女になった成り行き。
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